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インド仏跡巡礼⑬カビラ城/僧院跡

釈尊のお骨の壺が発掘されたストーパから、バスで8分程走ると、
四角い赤レンガを積んで造られた、カピラ城の僧院跡に着く。

平原の中でポツンと突き出た僧院は、子供の頃に作ったブロッグ
玩具「REGO」の砦のようで、キューブ感にあふれていた。

カクカクした門から入ると、大きなスクエア・ガーデンがある。

その中庭の周りを修行僧の (これもまた) 四角い個室が並んでいる。
1辺が5部屋ほどに区切られ、4辺の合計で20部屋ほど?ある。

屋根は風化して崩れたのか、元々、青空教室なのか、何も無い。


僧院では、様々な僧が仏の教えを学ぶ為に、寝食を共にして、
四六時中、修行三昧の日々を過ごしていたのだろうか?

中庭では、大勢の僧が唱える経が、響き渡っていたのだろうか?

向きは不明だが、中央に仏像を安置していたような、台座が残さ
れている。それを仰いで、礼拝が繰り返されていたのかも知れない。

灼熱の夏は、酷寒の冬は、全てを洗い流す、壮絶な雨季は‥
僧たちは此処で、何を思い、何を願い、何を祈ったのだろうか?

四角いパーツを積むレンガ建築に、細かな意匠性は望め無いが‥

「REGO」のような大胆なフォルムは、単純である故に、なおさら
機能美が際だち、また、想像の翼も大きく広がるようだ。


私は僧院の壁の上へ登り、ぐるりと歩いて回り、大きさを確認した。

今度は下に降りて、レンガで囲まれた、一部屋に入ってみる。
六畳間ほどの大きさだろうか? 広くは無いが、緊張感がある。

部屋の中央に座り、ゆっくりしたい、と、思うが、周りに気配が無く、
慌てて、四角い 「REGO」の砦から表の世界へと。舞い戻った。

僧院の外壁の一角では、茶色の牛が一頭、昔からずっと其処で
待っていたように、何食わぬ顔で人を迎え、見送っていた。

すでに、四角いデジタル数字は、午後3時を表示している。

確か今日の予定では、釈尊入滅の地「クシナガル」へ着いて、
涅槃堂とラマバール最後の説法地跡に、行くはずだが‥

オイオイ、いよいよ “インド時間” が、動きだしたのか ?

先行き不安も、いっぱい乗せて、バスは「カピラ城」を後にした。

インド仏跡巡礼⑭へ、続く

(2014年3月25日 記)

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