スモーク・ウィード・エブリデイ
日本政府はクソだが、大麻を合法化したことだけは立派だったと吸うたびに思う。
「そう思わないか?」
そう隣を歩く犬に話しかけると犬は、
「さあね、だが我々にとって利益があったのは認めるところだ」と気障ったらしい返事をする。
俺がラリっているのかって? 違う。彼はおしゃべりドッグだ。
大麻の合法化で犬が大麻を吸い、偶発的に知性を得た。その衝撃は軽い世界大戦が起きるほどだ。そのため、動物に大麻を与えるのは禁忌となった。
「知性は人だけのものという思い上がりを正せたのは愉快だ」とドッグは言う。嫌な奴だ。これ以上動物が知性を得るのは御免だ。
その時、突然猫が俺たちの前に躍り出る。猫の目は充血していた。
おしゃべりドッグが唸る。
すると猫が口を震わせる。
「……タスケテ」
おい、まさかこの猫。
「どうやら大麻を吸ったようだ」
相棒は真っすぐ俺を見据える。
「どうする探偵さん。この雌猫を殺すか、殺さないか。選ばないとまた戦争になる」
【続く】