翡翠拾い春の旅 後編
宮崎海岸周辺を巡る、富山への翡翠拾いの旅2日目です。まずは朝から部屋付きのヒノキ風呂に浸かってみました。大体、温泉付きのビジネスホテルでは、部屋付きのお風呂が仮にあっても出てくるのはただの白湯の時が多いです。しかし、今回泊まった御宿野乃の部屋付きの風呂は違いました。給湯口から紅茶色の温泉が出るのです。これは嬉しい。朝起きるのが遅くなったので、大浴場を諦めて入ってみたのですが大当たり。しかも消毒無しのようで、温泉をしっかり楽しめました。少し植物由来のモール泉っぽいかな。お肌スベスベで朝から気持ち良い。
御宿野乃のバイキング
ドーミーイングループの宿泊は初めてでした。ビュッフェが美味しいみたいな事を聞いたことがあったので、楽しみにしていましたが、期待以上でした。ちゃんと地ののものが用意されてる。ホタルイカの沖漬けやイクラかけ放題の海鮮丼など、朝からディナーばりの食事を楽しみました。テイクアウトできるコーヒーがあるのも心遣いが行き届いている感じがしました。
《残念ながら、御宿野乃の部屋付きのお風呂と朝食は写真を取り忘れてしまいました》
境A遺跡へ
お腹いっぱい食べて、宿から出発です。この日は前日とは打って変わって良い天気でした。予報では雪マークが付いてた時もあったので、レンタカー借りるのも躊躇ってましたが杞憂でした。
2日目、まずは境A遺跡の現地に行ってみました。朝日町の宮崎海岸近くの段丘上には縄文時代の遺跡が点在しており、朝日海岸で採集した翡翠や蛇紋岩等を加工する工房がたくさんあったようです。
境A遺跡へ行く途中で立ち寄ったPAからの眺め。魚津の街と富山湾を挟んで向こう側には能登半島が見えます。魚津はタイミングが良かったら蜃気楼が見える場所。
境A遺跡は高速道路の工事に伴って発掘されたので、遺跡としての姿はほとんど残っていないだろうなと思って現地に行くと、高速道路と周囲に耕作放棄地があるのみで、元々の土地の原型は留めていませんでした。高速道路関連で発掘された遺跡は残っていないことが多く、「あるある」なんです。しかし、遺跡から海までは少し歩いたら行ける距離で、高台を好む縄文人として翡翠加工工房の立地としては最適なのは分かりました。
市振海岸へ
気を取り直し移動し、宮崎海岸と難所で有名な親不知の間にある市振海岸で翡翠拾いです。この海岸は初めての訪問でした。雨男にしては珍しく、めちゃくちゃ良い天気。
風は強いですが、日差しがあったので暖かく、気持ち良く晴れました。
市振海岸は思ったより小ぶりな石が多かったのですが、良く晴れていた事で、石の色目やキラキラした質感がはっきり分かるので1日目のコンディションと比べると格段に拾い易い。テンションが上がり、石拾いに没頭します。しかし、そうはいっても翡翠は翡翠、簡単には拾えません。2時間ほど粘りましたが、なかなかそれらしきものは見つかりません。
石がキラキラしてます。石拾いに没頭し過ぎると、帰ってからも暫く目を瞑ると瞼の裏にこの石たちのビジョンが脳裏に浮かぶのです。
それっぽい石はあるものの、確証のないまま時間が過ぎて市振海岸を後にしようかと思った頃、2つのそれらしき石を見つけました。それが以下の2つ。
白翡翠と思われる物(鑑定してないので確証はないですが)。ツルツルの面と凹凸の面が見られます。翡翠以外の石は波に洗われ全体的にスベスベ、ツルツルしがちです。ゴツゴツして凹凸があるのは硬い証拠。ツルツルの面には味の素のようなキラキラした結晶が見られます。
人が歩きまくった目立つ場所に落ちてた石。緑から紺色。鉄分を含んでいるためか海翡翠特有のサビが全体的にあるため、一見分かりづらい感じです。
小さい石ですが、今回の石拾いではこの2つが最有力候補でした。ぱっと見いかにも綺麗なキラキラ翡翠ではないので、好きな人にしか分からない感じはありますが、今まで拾ってきた中では上々の収穫でした。白翡翠と思われる物はライトで照らすと光を透過するので、翡翠の可能性は特に高そうです。
↑ 全体的に光を透過させます。一見白っぽいただの石でも透過して中の色素が浮かび上がる美しさがあります。これは色素は白のみですが。
たら汁を求めて
昼まで石を拾い、そろそろお腹が減ってきたので昼食にしました。朝日町から親不知にかけての国道沿いは通称「たら汁ストリート」と呼ばれており、地元メシのたら汁が食べられる食堂が並んでいます。
昭和の絶滅危惧種ドライブイン。最近本当に見ることが少なくなってきて、廃墟になっている所が多く見られる中、朝日町近辺ではドライブインが現役で生きてました。今回立ち寄ったのは栄食堂というお店。お店の裏ちょっと行けば海という立地。昔は海水浴場で賑わったのでしょう。
お店に入るといかにも昭和の食堂といった風情のテーブル席と、畳の席がありました。入ってすぐにガラスケースがあってそこから好きなお造りや煮魚などを自分で取っていくシステム。たら汁はお店の人にオーダーして、ガラスケースから取った惣菜は温め直してくれます。たら汁を頼んで、ケースからどれにしようか悩みながらもお造りとバイ貝、もずくを取りました。
お造りは富山では「さす」と呼ばれてるカジキマグロと、もう一つはおそらく昨日寿司で食べた柳ハチメかな?新鮮で肉厚でした。カジキマグロは脂っこくなくて、でもしっかり旨い。富山は北前船の時代から昆布も有名で、ネバネバしたさすの昆布〆も美味しいです。バイ貝はゆがいた物ですが、これがまた美味。貝の奥まで引っ張り出して食べられるようにステンレスの串みたいなのが付いてます。独特の風味と苦味もあってサザエが好きな私はたまりませんでした。日本酒が欲しくなる。もずくは能登産でしょうか。細いけどしっかりしてて、さっぱりするのでお口をリセットしてくれます。
そして、遂にお目当てのたら汁が来ました。
はい、どーん。テーブルに鍋敷きも置かず、ダイレクトに鍋が投下されます。何というワイルドさ。たらと言えば鍋に薄い切り身を入れて食べるイメージですが、たら汁は頭から丸ごと入ってます。目玉まで食べられるのはなかなかない体験。ガラ入れが用意されていて、そこに骨を入れていきます。味は味噌ベースですが、北国の割には塩っ辛くなくてどんどん飲めてしまうのです。そして、たらの骨ごと出た旨味が凄い。ご飯も進みます。もう、お腹いーっぱいという感じで幸せでした。お酒を飲めたらもっと最高。お店に来ているお客さんは地元の人って感じで、ソウルフードといった印象でした。
翡翠を買う
栄食堂を後にして、そういえば近くに道の駅市振の関があって、そこに翡翠が売られていたなと思い寄ってみました。お店は道の駅にしてはかなり小さい売店みたいな所の一角を区切って売られていたのですが、行ってみると翡翠コーナーは仕切りで閉められていました。諦めて帰ろうと思った所、丁度お店の社長さんが戻られ見せて頂ける事に。
小さなコーナーですが、海翡翠からアクセサリーまで様々な翡翠があって目移りしました。しかも、思っていたより値段が手頃でした。今まではやっぱり自分で拾った物でないとと思っていたのですが、実際本物をたくさん見ると欲しくなる。遂に初めて課金して、翡翠を買ってしまいました。あまりにも綺麗なクリームソーダのような色に一目惚れしてしまったのです。
これが初めて買った翡翠。6000円なら安い。かな。
見よ、この透過具合。光を通すと緑が浮かび上がる神秘的な石。
一目惚れした翡翠を手にして、富山市へ帰路につきました。帰りがけに剱岳を目にして、テンションが上がって謎の翡翠と剱岳のツーショットを撮って帰りました。
青が良いですね。ピンぼけはご容赦ください。
遠くに剱岳が見えます。富山、良いですね。
最後に一っ風呂
旅行の締めくくりに、海風に晒された事もありお風呂に入って帰ろうと思ったのですが、さっと行けそうな温泉が無かったので、ネットで調べてた富山市内の高原鉱泉という銭湯に行きました。地元の方が行く綺麗めの銭湯でしたが、富山市は立山からの伏流水が豊富だけどあって、水が良かった。サウナに入った後の水風呂が特に気持ち良かったです。水が綺麗で豊かな土地はやっぱり良いですね。
旅を終えて
久しぶり々旅行、翡翠拾いでしたがこれまでは新潟糸魚川寄りで拾う事が多かったのですが、今回は富山を巡りました。私の故郷は岐阜県飛騨地方なので、富山は小さな頃からよく訪れている馴染みの場所でしたが、久しぶりに行ってみると新たな発見や、子どもの頃何の感慨もなかった立山の絶景を今見ると、懐かしさと新たに込み上げる感動が混在して不思議な気持ちになりました。
やっぱり、地方の旅行は面白い。また富山に行きたい。手にした翡翠を握って、眺めながらまた行きたくなるでしょう。