石田 祥子

フリーランスのライター/編集者/日本語教師 京都西陣在住。主に地場産業、伝統工芸のつく…

石田 祥子

フリーランスのライター/編集者/日本語教師 京都西陣在住。主に地場産業、伝統工芸のつくり手に関する記事企画・取材・執筆をしています。 興味関心は工芸、アート、本、言語と文化、そして猫!!

最近の記事

背伸びしても いいじゃない

かなり昔のことなんだけど、とあるお店に、ご主人所有のアンティークの棚について、取材しに行ったことがある。 行ってみたら、その棚にバカラのグラスがびっしり飾ってあった。わたしが、これはすごいコレクションですねって驚いたら、ご主人は、いやこれはコレクションじゃないんだよって仰ったのである。 「これは実用品なんですよ。毎日使ってるし、うちでは子どもにも使わせる。割る?割ってもいいんだよ、実用品だから。幼いうちから良いものを使うのも経験のうちなんだ」。 貧乏人のわたしは、ヒェーっ

    • 黒猫氏、7歳のお誕生日 おめでとう。

      先日、うちの黒猫宛に保険会社からバースデーカードが届いた。 バースデーカードには「3月1日」と記載されているが、 彼女の正確な誕生日は分からない。 7年前の5月3日、ゴールデンウィークの朝に出会って、 その時、動物病院で「推定生後8週」と言われたので、 雑に2か月遡って、3月1日を暫定誕生日にしているだけだ。 その日は、ゴールデンウィーク初日。小学生の娘とガラス工房の体験講座に行く予定で、楽しみにしていた。 ところが朝の6時過ぎ、繁忙期のため、連休お構いなしで働いていた夫

      • さよなら、わたしのお姫様(6)

        2023年10月13日、愛猫を亡くした。 16年間、一緒に生きて生活した家族だった。 前回記事はこちら。 2023年10月2日 輸液の再処方のために、病院へ。 毎回診察する必要はないと言われていたが、この数日の間に食欲が急に落ちてしまい、あまり食べなくなってしまったので、結局、診察室へ。 先生が首元の皮膚をつまんで脱水具合を見てくださったが「ものすごい脱水状態」だという。点滴で、足りない水分を補い切れなくなってしまったのだ。彼女の体重に対する量としてはずいぶん多いが、

        • さよなら、わたしのお姫様(5)

          2023年10月13日、愛猫を亡くした。 16年間、一緒に生きて生活した家族だった。 前回記事はこちら。 人の言葉と、しぐさを読んで コミュニケーションが取れる猫だった 白猫氏は賢い猫で、私の意図を読んでくれる猫だった。 人間の言葉も、かなり理解していたような気がする。 ソファに座っていて、私の隣のスペースをトントンと手で叩くと、 彼女は叩いた場所に飛び乗って丸くなった。 何かを指さすと、私の指ではなく、指さした方向に視線を向けた。 ごはん食べる?お魚味?チキン味?と

        背伸びしても いいじゃない

          さよなら、わたしのお姫様(4)

          2023年10月13日、愛猫を亡くした。 16年間、一緒に生きて生活した家族だった。 前回記事はこちら。 「彼女のためにしてやれることがある」 そのことが、私にとっても気持ちの支えだった 病院で点滴の練習をしている間は、 看護師さんが保定をしてくださっていた。 それはもう、ガッチリとした完璧な保定で、私のほうも全面的にお任せできる安心感があったのだが、同じことを自宅でできるかどうかというと、全く自信が無かった。自宅でのトライに失敗したら病院になんと報告しようか、考えて

          さよなら、わたしのお姫様(4)

          さよなら、わたしのお姫様(3)

          2023年10月13日、愛猫を亡くした。 16年間、一緒に生きて生活した家族だった。 前回記事はこちら。 白猫の生きた16年は、 家族各々の人生の大切なピースだった 病院からの帰り道は、呆然としていて現実感がなかった。 彼女がいつかいなくなることなんか、もちろんわかっていた。 でも実際のところ、私は、 いつか来るその時について覚悟をしているようでいて、 今すぐじゃない、まだ時間がある、何となくそう思っていたのだ。 覚悟なんか、本当はできていなかった。誰だってそうだ。

          さよなら、わたしのお姫様(3)

          さよなら、わたしのお姫様(2)

          2023年10月13日、愛猫を亡くした。 16年間、一緒に生きて生活した家族だった。 前回記事はこちら。 10歳差の猫たちの追いかけっこを、 いまでも懐かしく思い出す 我が家の二匹の猫たち、白猫は16歳、黒猫は6歳だった。 若い同居猫の黒猫が遊びに誘うと、大抵は面倒くさそうに追い払うが、何回かに一度は付き合って、激しい追いかけっこをしていた。 年齢差が10歳もある二匹が互角に追いかけっこする時点で十分驚きだが、白猫氏のほうが、ずっと立場が強いのも面白い。いつも黒猫氏が

          さよなら、わたしのお姫様(2)

          さよなら、わたしのお姫様(1)

          2023年10月13日、愛猫を亡くした。 16年間、一緒に生きて生活した家族だった。 私は商業ライターで、 「ブログかnote書かないんですか」と時々聞いてくださる方もいらっしゃるのだが、ずっと仕事以外の文章を公開する場所は持っていなかった。 でも、ついに猫のためにnoteのアカウントを取ってしまった。 文章にアウトプットしなければ、私の思考は常にとっ散らかっている。 感想も、アイデアも、思い出もなにもかも 書き残さなければぐちゃぐちゃに混じりあって消えてしまう。猫のこと

          さよなら、わたしのお姫様(1)