アイラ島 その1 〜ラフロイグ蒸留所〜
シングルモルトウイスキーとしては唯一、プリンス・オブ・ウェールズのワラントを授かってるラフロイグ。
〈ラフロイグ〉とは、ゲール語で「広い入り江の美しい窪地」を意味する言葉らしい。その言葉の通り、蒸留所内の海辺に立って海岸を見渡すと、緩やかな湾状の海岸線を描いている。
この蒸留所の海岸に面した白い建屋の外壁には、大きく「LAPHROAIG」の文字、そして海岸には長短二本の細く古い石造りの桟橋が伸びており(船着場跡かな?)、長い方の桟橋中程に立って内陸方面を眺めると、訪れた観光客やウイスキー愛好家たちにとって、ちょうど良い撮影スポットにもなっている(そのために桟橋がある訳では無いが)。
よりにもよって、この桟橋の上で、今回の旅の撮影データがいっぱいに詰まったままのiPhoneを海に落としてしまった...
しかも、ポケットからこぼれ落ちるソレを咄嗟にキャッチしようとしたが為に、却って桟橋から3メートルほど離れた海の中へと叩き込んでしまった!同行の舘田さん、真砂子さん、千代さんは既にビジターセンターの中に入ってしまって独りぼっち...‼︎
浅い知見のままで訪れたが、ここアイラ島は遠浅の海のはずだし、
(パッと見は膝下くらいに見えた)
今日の空は珍しく、美しい青空だし、
(今回の滞在期間の中では、いちばんの好天だった)
何しろ!撮影データをココで失う訳にはいかないし...!
(「旅」と書いているが、仕事であり顎足枕でアイラを訪れていた)
確か、僕のiPhone11Proは防水仕様だったし...!
(だが今は塩水の中だ、長くは生きられないはずだ!)
と、いろいろを瞬時に思って、これから行おうとしている事が異様であるとは自覚しつつ、ブーツを脱ぎ、パンツを膝上までたくし上げ(ズボンね)、上着の両袖を捲り上げて、一大決心で桟橋から海には入ってはみたものの、海藻が海底一面に覆われており、見た目よりも遥かに深く、場所によっては爪先立ちでもお尻の辺りまでが海水に浸かるほどの深さだった。
下半身の殆どが海水に浸かったまま両手を使い、ひたすらに海底を弄る。
途中に色々な人が色々と声を掛けてくれたけれど、手足の自由が利かない僕には、殆ど英語でのコミュニケーションが取れない(この状況ではジェスチャーが無理)。たぶん、「ココで何してんの?」とか「番号を教えてくれれば発信してあげるよ、画面が光って見つけやすいよ」とか、既に酔っぱらって陽気な人とかが色々と声を掛けてくれた。ただ、構う余裕は僕にはなかった。
おそらく20分近く、祈りながらも海底を手足で探って、、、
遂に!僕のiPhoneが見つかった! しかも電源も点いたままだ! 助かった‼︎なぜか、十人くらいに握手を求められた。
たぶん、アイラに来てラフロイグ蒸留所を訪れた人は多いと思うけれど、そこの海や海藻までもを堪能した人は結構少ないと思う。
そして、九月下旬のスコットランドの海は、思ったほどは冷たくなかった。思い出もできたし、これからはラフロイグも僕の常備酒に加えようと思う。
舘田さん、素晴らしい旅と出会いを、本当にありがとう。
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