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先導力とは人々に明るい未来を想像させる=希望を与える能力

秋になってコロナ感染再爆裂のヨーロッパ。イギリスも例に漏れず、寒い北の方から順調にロックダウン南下中。いずれロンドンもロックダウンに飲み込まれて、僕も封鎖日記シリーズ再開となるのか否か。

とそんな折、アジア方面では「落合陽一×オードリー・タン」という強カードの対談が実現したとか。見たいー!ところがイギリスではNHK見れません。動画も上がってないようなので、アーカイブでキャッチアップ。

なるほど面白い。コロナ渦のこの状況をかくもワクワク楽しく語る対談、こういうの待ってました。僕自身、ロンドン封鎖日記シリーズでは「ポストコロナの楽しい未来」的な話はちょいちょい書いてましたが、ギークな賢人達の未来予測は良質なSFアニメみたいでやっぱりトキメく

ダイバーシティの本質

様々な個性が互いを補い影響し合って、集団としてのフレキシビリティを担保、適応力を高める生存戦略。それはひとつの致命的欠陥による全滅のリスクを回避するシステムです。そしてそれこそが社会性生物の強みであり、多様性が重要である理由です。将来もしオメガCovidみたいな未知の凶悪ウイルスが出現して人類を襲っても、多様性があれば誰かしらがうっかり生き残って新環境に適応するかもしれません。意外なキャラがチームの危機の突破口を開くいつものやつです。

人には個性があり、所詮誰もが何かしらのマイノリティであるので、マジョリティやマイノリティというのは確固たる分断対立構造などではなく、各状況ごとにおける各状態に過ぎません。コロコロ変わります。みんながみんなそれぞれ特別であるという事は、つまりそれは「特別が普通」であり「ノーマル」であるという事です。まるでヒロアカの世界です。

つまりダイバーシティというのは逆説的には一蓮托生というか、所謂「個にして全・全にして個」というやつです。全体主義が強めな日本は「全にして個」は強固ですが、個から全へのフィードバックを許さないので、結果「全」も上手く機能しません。全と個を両方活かして相互循環させる必要がある訳です。

デジタル臨界点

更にそこへテクノロジーが合流。例えば電脳バーチャル世界ともなればそもそもジェンダー論自体吹き飛ぶ訳ですよ。今時オンラインゲーム上でネカマを気にする人なんかいないっつーか、あつ森で楽しく一緒に釣りするのに必要なのはゴースト同士の共鳴だけであって、バーチャル空間では少なくとも性別・人種・容姿・障がい等の物理スペック差別はとっくに超越していると言えます。

0と1のバイナリデジタル宇宙は物質世界を飲み込んでいきます。僕はずっとゲーム業界で働いていたので、社会人当初から割とフルデジタルでした。デジタルで絵を描き、デジタルで発表・販売し、デジタルでマーケとかもやる訳です。紙やインク、出版や流通等の(電力供給以外の)物質資源を消費する事なく、非物質的価値を生み出す仕事とも言えます。情報化可能なものは今後もどんどんデジタルデータに置き換えられ、スタンダードとなって世界中を駆け巡ります。「短期的利潤の最大化」から「長期的合理化」いわゆるサステナビリティへと価値基準が変化すれば、「生産性」が第一指標でなくなるのも必然です。

民主主義と資本主義の成熟期

テクノロジーは当然社会システムにも多大な影響を及ぼします。そのものまさにSNS=ソーシャルネットワークというくらいで、それはこれまでの民主主義や資本主義貨幣経済を一気に古臭いものにしてしまいました。

「民主主義は多数決」とか言われがちですが、本来民主主義のコンセプトは「満場一致」であり、関係者全員が納得する落とし所を見つけるまで議論する、バチカンのコンクラーベのようなものです。代表者選出や投票・多数決はそこへ到達するための手段に過ぎません。勿論全国民を完全納得させるなんて不可能なので、実際は理想論ではあるのですが、「取りこぼし無くみんなで一緒に前進する」という民主主義の理想に近付くためには「マイノリティの意見をどれだけ汲み取れるか」が鍵になってくる訳です。それが成長期を終え成熟期に入った民主主義の姿です。だって多数決が絶対正義ならマイノリティ即全滅です。例えば「日本人」は世界においてマイノリティなので世界経済から切り捨てる、となれば僕たち即全滅です。だから意識高い系の人達はやたら声高に叫んでる訳です。

そしてその成熟した民主主義はデジタルとの相性が極めて高いです。極端に例えるなら「過半数を切る投票率の選挙で当選した汚職忖度政治家による政策」と「国民のスマホから集めたビッグデータをAIディープラーニングで解析した政策」であれば、僕は断然後者を選びます。「民主主義は最悪の社会制度だが、現存するオプションの中では最も暴走リスクが低い分まだマシ」とはチャーチル談ですが、ブロックチェーン技術などはその発展系となり得る可能性を含んでいます。

日本でも首相が変わった途端、突然色々動き出しましたね。デジタル庁設立とかハンコ撤廃とか話題になってますが、やっとやっとやーーーっとスタート地点に立てたのか。いやまだわからんぞ。20年期待を裏切られ続けた手前、そう簡単に信用できません。しかしもし本格的にエンジンがかかれば、この手の作業は日本人の得意分野でしょう。オタク出づる国の本領を存分に見せつけて頂きたい

オードリーという新アイコン

しかし面白い人が出てきたもんです。それが台湾から出てきたというのも面白い。さすが自ら民主化を勝ち取り、ひまわり運動を成功させ、アジア初の同性婚成立まで成し遂げた国。キレッキレのやり手をトランプタイプというなら(若干違和感あるけど)、オードリーは複雑な物事を誰にでもわかりやすく、共感性を伴って伝えられるマザー気質。オバマタイプのカリスマでしょうか。抜群に頭がいい人はどの国にもいますが、日中韓ではこういう新世代の逸材は潰されます。

言うまでもなく2020年は大波乱の年で、混乱は今後数年続くでしょう。だからといって、現状を嘆いてグチグチ言ったり、生贄を見つけて叩いて憂さ晴らししてる暇は無いのです。マジ時間の無駄。そんな事より明るい未来を語ろう。そしてそこへ至るプランを立てよう。それはとてもポジティブでプロダクティブな楽しいプロセスです。そういうワクワクする夢を見せてくれる人に、人々はついて行こうと思うものです。希望へ至る道を感じさせてくれる、それが先導者の能力なんだと思います。


xx


追記: こういう番組こそ全編英語で全世界配信する価値ありだと思うのだが。世界に羽ばたけ落合陽一。まあ相変わらずのガラパゴNHKですな。デジタル庁はよ仕事しろ。








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