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医療従事者の給与はなぜ低い?②


前回のお話はこちらよりご覧いただけます。



収益の大部分を占める「診療報酬」

2024年は、医療・介護・障害福祉
上記3つの報酬が同時に改定される、6年に1度のトリプル改定の年です。

大規模な改定と共に
物価高騰、少子高齢化などの背景からも注目度はかなり高い状況となります。

2024年の改定では、「医療従事者への賃上げ」が焦点となっており
診療報酬の本体部分0.88%の引き上げが確定しております。

0.88%……???
と、私を含め、頭にクエスチョンマークがいっぱいになられている方が大半だと思います。
分かりやすく金額にすると、国が支出する経費負担が「約800億円増」という数字になります。

加えて、看護師や薬剤師らの医療従事者の待遇改善に向けて
賃上げに目的を特化した加算「ベースアップ評価料」も新設することが確定いたしました。




ここまでだけの情報を切り取ると
医療機関や医療従事者にとって大きなメリットとなる改定。
という印象を持たれると思いますが
実は、診療報酬改定全体でみると
大きなマイナス改定であり、賃上げどころではない……」といった悲痛な意見もあります。

その内容について、詳しく解説をしていきます。


実は、2024年の改定で
「生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化 -0.25%」という引き下げも盛り込まれました。

こちらも分かりやすく金額にすると
医療費ベースでは1200億円の削減となります。

加えて、医学的管理のために多くの医療機関が算定している
「特定疾患療養管理料の対象疾患」から
「糖尿病、高血圧、脂質異常症を除外する」ことが確定。
その代わりに、生活習慣病管理料(I)が算定可能となります。

中医協委員を務める長島公之常任理事は
今回の見直しについて以下のように述べております。

「単に、特定疾患療養管理料の対象から高血圧・糖尿病・脂質異常症が削除されるわけではない」と説明。「従来の検査等を包括する生活習慣病管理料は、名称を生活習慣病管理料(I)に変更し、算定要件等を見直した上で継続される予定である」とするとともに、「これまで特定疾患療養管理料を算定して高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理をされていた医療機関の大部分は新たに設けられる、検査料などを包括しない生活習慣病管理料(II)に移行して頂けるのではないか」との考えを示した。

日本医師会

……???

結局どういうことだろう。とお思いの方も多いいと思います。

「特定疾患療養管理料」から「生活習慣病管理料(I)」というものに変更となり
今後このような加算や管理料の代替案が出てくる可能性もありますが
それでもやはり減収になる可能性は高く
「特定疾患療養管理料」の事実上廃止は
医療機関にとって、かなり衝撃な改定となりました。




新型コロナウイルスのパンデミックを経て
医療体制を守ることが、医療従事者を守ることが
いかに大切で重要かを改めて気づいた人は多いと思います。

しかし、その中で
高齢化社会の背景から、需要に対し供給が追いつかないことや
医療従事者の方々が他機関へ流出をしてしまい
人材不足が深刻化している傾向にあります。



人の命を救うため力を尽くしている医療従事者の方々が
正しい評価がなされる環境づくりを願うばかりです。





医療法人takk
糖尿病・甲状腺 上西内科
ito

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たいせつなお時間を割いていただき
お読みくださり、ありがとうございました☻
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