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医療従事者の給与はなぜ低い?①


冒頭より、衝撃的な数字をご紹介をさせてください。

業種別の平均年収ランキングで「医療従事者」の順位は
なんと、110位中106位となっています。
下から数える方が早い順位です。
(医療・福祉・介護サービス:マイナビ転職調べ)

なぜ医療従事者の給与は著しく低い結果となってしまっているのかを
感情論ではなく、データを読み解いて、なるべくわかりやすく解説していきたいと思います。



【医療機関の収益の仕組みについて】

~医療費=自己負担金+診療報酬~


まずは、医療機関の収益の仕組みについて解説いたします。

病院の経営は「医療費」をもとに行われており
医療費は、下記2つに分けられます。

①患者様自身がお会計で支払う金額「自己負担金」

②医療保険者から支払われる「診療報酬」

ちなみにこれを医療保険制度といいます。

そしてこの医療費。

全国一律の公定価格、つまり厚生労働大臣により定められた金額となり
それぞれの病院が自由に決めることはできない仕組みです。

このように公定価格のなかで事業を行うことで
価格競争による営利化を防ぎ、どの病院でも一定の水準を満たした医療を提供できる仕組みになっています。


詳しくはこちらの記事にて解説をしております。
よろしければ、ご覧ください。



スタッフの人件費はもちろん
医薬品・医療材料の購入費、医療機器・機材に係る費用、施設維持・管理費用に至るまで、この医療費から賄っているのです。

医療費の中でも収益の大部分を占める「診療報酬」

この診療報酬は、原則として2年ごとに改定され
その改定内容によっては、クリニックの経営が大きな影響を受けることになります。

その為、医療機関が安定した運営をするためには、コストの削減が求められるのです。


凄まじい勢いで医療が高度化する現在。
設備や薬剤に関わる費用を削減することはできません。

その為、削減することが容易なスタッフの人件費から削減対象となり
賃金水準がなかなか上がらず、それと共に離職者も増える。

国税庁によると
日本国内全体の平均年収は約460万円と言われていますが
医療従事者の給与は、上記金額よりも下回ることが多く
数々のサイトの調査結果からも、上記のような状況が見受けられます。


その結果、人員不足に繋がり、医療機関が倒産したり
勤務医の過剰労働などの問題が発生している負のスパイラルの状況なのです。

つまり医療費の抑制は、医療提供体制の根幹を揺るがす事態に繋がっているとも言えるのです。





医療法人takk
糖尿病・甲状腺 上西内科
ito

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たいせつなお時間を割いていただき
お読みくださり、ありがとうございました☻
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