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【読書まとめ&いろうたの考え】エーリッヒ・フロムの著作を読んで、「よりよく生きる」方法を考えてみた

エーリッヒ・フロムは、二度目の読書感想&考察です。前回は「愛」についてでしたが、今回は「生き方」と「自由」についての著作です。こちらもかなりのボリュームがある本なので、いろうたが独断で選んだ箇所を中心に書いていきます。

「所有」するということ

人は、本能的に「所有したい」という欲求を持っています。文明の発達に伴い、人々はありとあらゆるものを所有することが可能になりました。それでも飽き足らず、新しい物が出れば刺激され、欲します。子どもや家族でさえも支配的に「所有」しようとします。

なぜかというと、人は一人では「無力」だからです。「何も持っていない」=「孤独・孤立」を恐れるのはそのためです。だから人でも物でも、最悪的には支配されてでも「繋がっていたい」と願ってしまったり、肩書きなど、自分を強く見せてくれるものを「所有」しようとしたりするのです。

残念ながら、現代社会はこの、多くを「所有」している人の人間的価値が高評価されるようにできています。たとえ、マスメディアや広告に操作されて「個人」を失うことになったとしても、「人間の幸福と自己実現」を犠牲にしなければ「生き残る」ことができないと思いこんでしまうような社会構造なのです。

自由からの逃走

こうした人間の「孤独」に対する恐怖、また「無力感」や「無能感」から逃れたいという願望が文明を発展させ、オートメーションな社会を作り上げてきたのも事実です。しかし「自然」を征服・超越し、(宗教などの)伝統的な支配から「自由」になればなるほど、人は新たなよりどころを――機械化された社会からの支配や、大勢から好まれる人間になりきって「成功者という肩書き」を――求めるようになります。


真に自由になることはできるのか?

では、人は自由を手にすることができないのか?

フロムの結論はこうです。すなわち、哲学者を含む芸術家や子ども、神経症者(いわゆる社会不適合者)のように、自然で自発的な活動ができれば、それが可能である、と。

彼らの思考、感情、行為は彼ら自身の表現であり、自動人形の表現ではない。

(「自由からの逃走」P285より)

フロムによれば、芸術家は自分自身をある客観的な手段に表現する能力、あるいは訓練が成されているのだそうです(皮肉にも、作品が売れてしまうと「成功者」になってしまうようです)。子どもは言うまでもありませんが、神経症者については、上記のような社会に適応しない(出来ない)点において自己を失っておらず、自由であると言うことが出来ます。

また、「愛するということ」にも記載があったように「愛すること」も自発的な行為の一つです。ただしその愛は、自我を相手のうちに解消するものでもなく、所有してしまうことでもなく、相手を自発的に肯定し、個人的自我の確保の上に立って、個人を他者と結びつけるような愛に限ります。

「よりよく生きるということ」にこんな一文があります。

「良き生 good life とは、努力なき生である」

「よりよく生きるということ」

あらゆるものが自動化されつつある時代に生きるわたしたちにとって、この一文は非常に考えさせられるものがあります。便利な反面、機械に己を支配され、何も考えない人間に成り下がっていると言われればその通りでしょう。耳の痛い話です。


いろうたの考え

フロムの考える真の幸福をわたしなりに解釈すると、

「外側から与えられるものに執着せず、何者でもない『この自分』を認めること。そして内側から発生する思考や原動力によって行動し、成長し続けること」

でしょうか。

内的思考は誰にも支配されない。そういう意味では確かに「自由」です。そして常に外側の問題に疑問を持ち、思考し続け、実行・行動することで自己成長できる。受動的ではなく、積極的かつ能動的に選択・行動していく姿勢が大切だと言えそうです。

現実問題として、フロムの主張を実現するには相当の努力が必要になるでしょう。しかし、以前に取り上げたジェニー・オデル氏の著作「なにもしない」にもありましたが、通知される広告や報道される情報を鵜呑みにせず、絶えずチェックすることもやめ、客観的かつ一定の距離を保つことなら出来そうです。

いずれにせよ、人間らしく生きるのが簡単なことじゃないのは確か。ですが、この社会であえてそれに挑戦するというのも面白いかもしれませんね。……もちろん「嫌われる勇気」や「孤立する覚悟」が必要になってくるでしょうけれど。

自分が出来るかどうかは置いておくとして、小説キャラにはどんどんこのような生き方をさせたいと思っております! 何でも出来ちゃうのが創作の良いところ。これからも、創作の中で「人間らしく思い悩む人間」を描いていきたいと思います!

※ここに取り上げた内容は、いろうたの主張と一致する部分および、最小限のテーマです。「よりよく生きるということ」「自由からの逃走」には上記以外にもフロムの主張が詳述されています。もし興味が湧いた方は、本を手に取ってみて欲しいと思います。
また、本の解釈は現時点でいろうたが感じたものです。一般的な解釈と異なる場合もあると思いますが、あらかじめご了承ください。


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