USSIのイロリバHOUSE

広島県の呉市の離島、音戸という場所にあるモダン古民家宿の「音戸イロリバHOUSE」です…

USSIのイロリバHOUSE

広島県の呉市の離島、音戸という場所にあるモダン古民家宿の「音戸イロリバHOUSE」です。ここは、「瀬戸内海で、ほっこり時間」がコンセプト。オーナーの私にとって音戸で見つけた「ほっこり時間」の画像を中心に共有していきます。

最近の記事

瀬戸内ほっこり時間:23回「室尾にレトロな分かれ道」

街にはワビサビの魅力がある。 とかく我々は、街にたいして賑わいを求めがちだが、その盛りを過ぎて、枯れてきた雰囲気も捨てたものではないと思うのだが。その路地の歴史が想像でき、イマジネーションが膨らんでくる。 東京だと、しょっちゅう建て替えられ、その前は、一体何があったのか、もはや思い出せない。 かといって、街並みをレトロに作り込んでしまうと、何かが違う。さしずめ映画村の雰囲気になる。そこでの生活の匂いが残っていないからだろう。 こちらの写真は、音戸のある倉橋島の反対側に

    • 瀬戸内ほっこり時間:22回「島の反対側には遣唐使船があるのだ!」

      遣唐使船を再現したものが保存されている。場所は、広島県、音戸がある倉橋島にあり、ちょうど島の反対側に位置する桂が浜だ。 造船の島に相応しい展示である。もっともこの島では、飛鳥時代から造船業が営まれていたと記録に残っているが、実際にここで遣唐使船がつくられたどうかは、正確には不明のようだ。確率的に、ここで造られた可能性は高いと思うが。 さらに、その近くにはゴザ船という、小舟が保管されていて、これは、厳島神社の毎年秋の神事に使われる。ここから、漕いで厳島に向かい、その船に乗れ

      • 瀬戸内ほっこり時間:第21回「倉橋の海に感嘆!」

        音戸から島の反対側、遣唐使船がある桂が浜は、美しい海辺である。透明度が高く、昨年、友人にここでのSUPをすすめたところ、あまりに海が透明過ぎて、高所恐怖症には、つらいと言っていた。宙に浮いているように感じたからとのこと。入り江になっているので、当然、波は優しい凪だ。 遠くには、幾重にも島々が見えて、まったくの別世界に来たような感覚になる。 ここへは、音戸から車で、約30分で着けるのだ。音戸を拠点にすると、市街地にも近く、いろいろな楽しみ方ができる。

        • 瀬戸内ほっこり時間:20回「音戸にはアートが増えている」

          広島県の音戸で、アトリエとギャラリーを構える陶芸作家の佐々木しずさん宅がある。私もここを訪ねて、作業中のようすを見学させてもらった。 ここで、ぐい吞みのカップを購入させてもらい、西荻窪で大事に使っている。やはり、顔の見える作家さんの陶器は嬉しい。 特に我が家に来られたゲストさんにお酒を出すときは重宝するのだ。 もともと佐々木さんは、呉市の生まれの方で、美術大学への入学以降、東京方面に暮らし、そこで結婚されて、旦那さんと一緒に、呉市に戻られた。アトリエを構えるにあたり、音

        瀬戸内ほっこり時間:23回「室尾にレトロな分かれ道」

          瀬戸内ほっこり時間:19回「足を延ばして御手洗の歴史地区へ」

          呉市は、いくつか合併したことで、広い範囲になり、海岸線の長さでは、日本一とのこと。 音戸から1時間以上かかるのだが、同じ呉市に、重要伝統的建造物群保存地区が御手洗という場所にある。御手洗に行くには、とびしま海道という離島が並ぶエリアを橋づたいに渡り、その一番奥にある。瀬戸内海の中を走る道路を運転するのは楽しい。そして、その先に、江戸時代から大正時代に建てられた建築物が並んでいる。 音戸を含め、御手洗など、離島には昔ながらの建物が多く残っている。 これには、理由がある。

          瀬戸内ほっこり時間:19回「足を延ばして御手洗の歴史地区へ」

          瀬戸内ほっこり時間:18回「音戸には魅力的な空き家が存在する」

          音戸の鰯浜という一角、古民家が並ぶ旧道を散策していると、古い銭湯を見かけた。残念ながら、ここはすでに営業はしていないのだが、何とも趣のある建物だ。「桜湯」という電灯と石の門柱が可愛らしい。 過疎化が進むこのエリアで、この銭湯の復活は難しいだろう。一方、すぐにどうするか、という結論を急ぐ必要もない。 ある意味、超芸術トマソンなのか。目的を失い、ただ、存在する。自分なりの発見ができるのも、この界隈の魅力と言えそうだ。

          瀬戸内ほっこり時間:18回「音戸には魅力的な空き家が存在する」

          瀬戸内ほっこり時間:第17回「元気な爺様が島をもりあげる」

          音戸のある島の反対側に、倉橋というエリアがあり、ここには多彩な人材がいる。その一人、カープボートの有居さんという方は、もともとはここの出身者だったが、広島市内に出て、商売をされて大成功した後、故郷に帰ってきた。地元のために、何かをしたいという想いで、カープボートを始めたそうだ。さらにお坊さんの資格もあるという変わり種だ。 そのカープボートとは、小さなボートを貸すことを中心に、キャンピングカーの基地もやるなど、アウトドアの魅力を伝えている施設だ。 先日、うかがったら、有居さ

          瀬戸内ほっこり時間:第17回「元気な爺様が島をもりあげる」

          瀬戸内ほっこり時間:16回「造船の歴史に思いはせる」

          呉の駅前から音戸へ向かう間に、目の前で、巨大な船の造船現場を見ることができる。実にデッカイ! かつて、戦艦大和を造船していたドックも残っていて、現在も稼働しているのだ。離島を含めると造船所がたくさんある。 音戸のある倉橋島は、飛鳥時代から造船業があったそうで、江戸時代には北前船をつくっていた。だから、この島には多くの船大工が暮らしていた。 そして、音戸大橋には、毎日のべ700隻の船が行きかう。 そういえば、船の墓場もあると聞いた。解体現場だそうだ。 呉市を一言であら

          瀬戸内ほっこり時間:16回「造船の歴史に思いはせる」

          瀬戸内ほっこり時間:15回「老舗割烹で鯛を食したい」

          音戸イロリバHOUSEから徒歩で1分もかからない位置に、老舗の懐石料理屋さんがある。名前は、戸田本店、海に面した立地だ。 木造の3階建てで、戦前からの建築とのこと。お店も戦前から営業していて、当時は、近くの海軍将校がお忍びで、ここで会合をしたそうだ。その一人、司令長官の山本五十六もいた。彼は、ここで刀剣の舞をして、そのとき刀を柱にぶつけてしまい、その刀傷が残っている。 一方、鯛料理が美味しいとのことで、広島ミシュランに戸田本店が選ばれている。もっともお値段も、それなりにす

          瀬戸内ほっこり時間:15回「老舗割烹で鯛を食したい」

          瀬戸内ほっこり時間:14回「曇天模様も美しい」

          瀬戸内海の美しさの一つに、曇天模様のモヤった島々もあると私は思う。どことなく幻想的だ。そのようなときも、豊かな時間を感じる。 一方で、瀬戸内海を日本の地中海というキャッチフレーズで集客しようとしている場所もあるが、ちょっと待って欲しい。ここ数年、四季折々、瀬戸内海を訪ねたが、快晴の確立は、半分もない。地中海の乾燥した気候とは、まったく異なるのだ。曇天模様の瀬戸内海も素晴らしいのに、地中海を期待した人は、がっかりする。 ましてや、海外からは、地中海に実際に行った人も来るだろ

          瀬戸内ほっこり時間:14回「曇天模様も美しい」

          瀬戸内ほっこり時間:13回「奇跡のレモンカードを味わう」

          自家製のレモンカードについて、紹介しよう。これを一口含むと、豊かな時間を感じるだろう。 レモンカードとは、ジャムやクリームのようにとろとろな味わいだ。 口当たりで、ジャムのような甘味とレモンの香りが爽やかなイギリス生まれのおやつのことだ。レモンと玉子と砂糖とバターでつくるシンプルなスイーツ。 レモンの皮も使い、強い酸味が生まれる。添加物を一切使っていないので、無農薬レモンを使っている。いつもレモンは、呉産である。この前は、無人島のレモンにも挑戦して美味しかった。実際につ

          瀬戸内ほっこり時間:13回「奇跡のレモンカードを味わう」

          瀬戸内ほっこり時間:12回「アイドル犬のいる町の酒蔵」

          広島県は、酒どころである。それは、吟醸酒の発祥地ということもあり、酒造りへの情熱が今も受け継がれているのだ。呉市にもいくつもの蔵元があり、その一つ、音戸の古い酒蔵を紹介しよう。 音戸イロリバHOUSEから昔ながらの古民家が点在する小道を歩いて行くと、レンガ煙突が見えてきて、それが榎酒造さんだ。「華鳩」というブランドで、海外にも展開している。普段は、酒蔵見学はできないが、フランスに10年以上住んだ経験もある女性専務さんが、多言語対応で教えてくれる。離島の酒蔵を訪ねてくる酔狂な

          瀬戸内ほっこり時間:12回「アイドル犬のいる町の酒蔵」

          瀬戸内ほっこり時間:11回「音戸を愛した画家・井田さんの眼差し」

          広島県の呉市にある離島、音戸エリアはアート活動が盛んになりつつある。そのクリエイターとして、真っ先に浮かぶのが、画家の井田英夫さんだ。彼は、新潟と音戸の2拠点居住をされていた。しかし、残念ながら昨年の2020年4月に病魔には勝てず、お亡くなりになった。まだ、お若いのに無念だったろう。 彼は、この音戸の景観に惚れて、実家の新潟を行き来するようになったそうだ。その画風から、この街への繊細な眼差しを持っていた。 最初にお会いしたときの印象は、「デカッ」と思った。身長が190㎝も

          瀬戸内ほっこり時間:11回「音戸を愛した画家・井田さんの眼差し」

          瀬戸内ほっこり時間:10回「呉のソウルフード・ガンスを味わう」

          旅先や、または都内でご当地料理をいただくと、何とも豊かな時間となる。 広島県呉に、ソウルフードとして、「がんす」というのが君臨している。 簡単にいうと、平べったい薩摩揚げにパン粉をまぶして揚げたようなものだ。呉で食べた際、正直、美味いんだか、美味くないんだか、謎の食べ物だった。お土産で、三宅水産のがんすを買えるので、購入したが、やはり、謎のままだった。 ところが、都内にある呉市出身のオーナーさんが営む広島鉄板焼きのお店で、がんすを食べたところ、抜群に美味しかった。 店

          瀬戸内ほっこり時間:10回「呉のソウルフード・ガンスを味わう」

          瀬戸内ほっこり時間:9回「路地が取り持つご縁? 心地良い距離感」

          音戸では、年配者が多く、細い路地を歩いていると、こちらを知らないのに、挨拶をいただく。さしずめ、山登りをしているときのようで、なんだか、都会にない温かい関係だ。 この路地は、人との距離感をちょうど良くしてくれるのだろう。 そう、音戸イロリバHOUSEの前を通る細い路地は、古代から残る街道であると、地元の郷土史家の方がおっしゃっていた。 さらに路地と交差する狭い辻があり、これまた魅力なのだ。 海のすぐ脇で人の暮らしがあり、歴史がある。そんな体験ができる場所だ。

          瀬戸内ほっこり時間:9回「路地が取り持つご縁? 心地良い距離感」

          瀬戸内ほっこり時間:8回「平清盛の伝説をイメージしながら瀬戸をのぞむ」

          歴史に思いをはせながら、想像を膨らませる。それも豊かな時間をつむぐ行為だ。 実は、音戸という場所は平清盛との縁がある。 その狭い海峡がその理由だ。音戸の瀬戸と言えば、ピーンとくる人もいるかもしれない。なんたって、場所によって80メートルほどの海峡は、隅田川と同じぐらいだ。実は、本土とつながっていたという説があり、それを開削したというのが、平清盛だという伝説。厳島神社方面に船で抜けるのに近道になるということらしいが、真偽のほどは、今もって不明とのこと。 もっとも呉では、事

          瀬戸内ほっこり時間:8回「平清盛の伝説をイメージしながら瀬戸をのぞむ」