見出し画像

〜 狐の嫁入り 〜





物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 狐の嫁入り 〜

『あ、雨?晴れてるのに?』
『狐の嫁入りだよ』
『何それ?』
『知らないの?狐の嫁入りって言うのは、晴れてるのに雨が降る事を言うんだよ』
『なんで?』
『え?狐が嫁入りするからじゃないの?』
『狐が嫁入りする時は、いつも雨なんだ?』
『いや、私もそこまで詳しく知らないけど』
そう言って立ち止まり、パラパラと降ってくる雨を辿るように青空を見上げる
太陽の光が、水滴をキラキラと幻想的なものに変えていく
狐も、結婚式くらい晴れてる方が良さそうなのに
そう思いながら、私は先を歩く彼の手を捕まえに追いかけた
·
パラパラと降る雨は、雨宿りするまでもないが、濡れたくもない
公園にいた私達は、のんびりと歩いてカフェへと向かうことに
しっとりと濡れる髪の毛を、お互いにハンカチでサッと拭きながら、少し歩みを早めた
『小雨って微妙だよな』
『はは。今は降ってるか降ってないかくらいだもんね』
『狐もわざわざ雨にしなくてもいいのにな』
『何で雨にするのかな?』
『雨だと人いないし、見られたくないんじゃないか?』
『結婚式は、みんなに見てもらいたくない?』
『二人が幸せなら、みんなに見られなくてもいいじゃん』
『そっか』
何だか腑に落ちたような落ちないような感覚になりながら、私はふと公園を振り返った
水と光が遊ぶ時は、美しく幻想的な架け橋を作り出す
パラつく雨が、少しずつ上がっていく頃
目の前には鮮やかに、そして優しい青空一面、大きな虹が架かっていた
『ねぇ!みて!』
『なに?あ!でっかい虹!』
『狐も見てるかな?』
『見てるんじゃない?』
『幸せの架け橋だね』
『ほら、幸せなら二人だけでもいいだろ?今も、こうして二人で見るのも幸せじゃないか?』
思わず目を丸くした私は、フッと吹き出して笑い出す
『うん!あなたと一緒ならいつも幸せだもん。一緒にいてくれて、ありがとう』
『ふふ。俺も一緒にいてくれてありがとう』
ポンポンと私の頭を軽く叩いてから、手のひらで頭を包むように撫でる
優しい瞳に吸い寄せられた私は、彼のほっぺに軽く口づけた
目が合うなり恥ずかしそうな顔をして彼は言う
『ずっと一緒にいような』
その様子を見ていた、晴れ渡る青空と大きな虹が、にっこり二人に微笑んだ
·

『はじめまして、いろいとです』へ戻る


読んで下さり、ありがとうございますm(_ _)m


コメントやスキもらえると嬉しいです♪励みになります♪頑張ります!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?