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〜 小箱の中 〜




物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 小箱の中 〜


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そっと受け取ったものを開いてみる
心がときめいて、わぁっと笑顔が広がる
誰かにプレゼントされた時、きっとみんなそんな気持ちになって、満面の笑みがこぼれ落ちる
私は今、そんな瞬間を味わっているところだ
・・・・・・
·
『次は、いつ会える?』
『うーん、ちょっと仕事があって来週か再来週くらいまで会えないかな』
『そっか。ねぇ?何か最近冷たくなった気がするなぁ』
『え?なんで?』
『前は、もっと一緒にいれた気がするし、少しそっけなく見えるもん』
『そんな事言われても、俺は今までと変わらないよ?』
デートの帰り道
ふいに質問した私の声に、耳を澄ませる彼は、そう言って、自転車を押す手を止めて私を真っ直ぐ見つめる
彼と付き合い始めたのは、ちょうど半年前
私の人生で、3人目の彼氏だ
1人目の彼氏は、好きな人が出来たからと別れを告げられた
2人目は、私の気持ちが重たいからって離れていった
3人目は、どうなるのだろう
不安だけが私を包み込む
真っ直ぐ見つめる瞳にうつる私は、どこか不安気だ
それは、そうだろう
この空気感、2度味わったことがあるから、余計に不安が押し寄せる
『何かあった?どうした?』
『うん。ちょっと距離を感じたから、そう思った』『そうか。そう思わせてごめんな?忙しかったからかな。俺は、君の事が大好きだし、離れたいなんて思ったことない』
彼は、優しい目をして真っ直ぐ私に伝えてくれる
心地の良い声に、温かい手と腕が私を安心させるように抱き締める
夕暮れ時、誰も通らない路地裏で二人ゆっくり時が止まる
·
凍りつきそうで、冷たくなっていた心の奥が少し溶かされていくように感じる
ただただ、抱き締めてくれただけなのに不安が少し和らぐ
『なぁ?ちょっと落ち着いた?』
『・・・うん』
『なんで、そう思うの?俺、ずっと君の事しか見てないし、君が好きなんだけど?』
思わぬ嬉しい言葉に私はハッとする
『今日、帰りに渡そうと思ってたんだけど、ここで渡してもいいかな?』
そう言って取り出したのは、リボンの付いた小さな小箱
『あれ?これ』
『さっき可愛いって見てたでしょ?こっそり買ったんだ。ほら、開けてみて?』
中には、袋に入ったコロンと丸い飴玉が3つ入っていた
私は思わず、『わぁ』と言って笑みが溢れる
『うん、君の笑顔はやっぱり素敵だ!笑った顔が俺は好きだな』
にこっと笑う彼につられ、私も笑う
『でも、ちょっと元気なさそうだなって思ってたのは、そういう理由だったんだ?元気出たら良いなって思って、君の好きなアメを詰めて、帰りに渡そうと思ってたんだけど、理由が俺だったから、ごめんな』
にっこり笑う彼だが、少し申し訳無さそうに話す
彼の優しさに触れた私は、不安になる事なんてないのにと、少し自分を恥じた
そして、少し不安に思っていた事が、彼には伝わっていて気を使わせていたのかと思うと、何だか申し訳ない気持ちにもなったのだった
『私もごめんね、仕事あるのにワガママ言っちゃった。好きでいてくれてありがとう。私も大好きだよ!』
『もう大丈夫?なぁ?この先、俺はずっと君の事が好きだから安心して。不安にならなくていいから。君がずっと大好きだよ』
私の瞳をじっと見つめて、大切に大事にギュッと私を抱き締める
どこにも離さないと言わんばかりに
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『小箱の中』は、甘いアメ
可愛いリボンに包まれて、優しく大切に、そして誰にも渡さないかのようにギュッと抱き締める
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