天気と音の相関性を導き出した話
入社2日目、転入届を取りに歩いていた時のことだ。
その日は、区役所がとても混んでいた。
上司より「申請が通るまで外を見てきていいよ」と言っていただいたので、お言葉に甘えて札幌の街中を散策した。
まだ春先で少し寒くて、とっても晴れており、外の音がやたらと鮮明に鳴っていたのを覚えている。
その時「天気と音って関係があるかもなあ」と思った。
この予感は当たっているかもしれない!と思った私は、耳をすませて歩いた。
「おお、音が事細かに聞こえる」
「天気が良く暖かいと、耳が音を拾いやすくなるのかなあ」
「天気が悪く寒いほど、音は鈍るのだろうか」
雨の日なんかは、雨音以外はほとんどなにも聞こえない。
私はこの発見を、すぐにMちゃん(オノマトペだと、ターデターデの子)に伝えた。
私の熱量に押されて「なんか……分かる気がする」と納得しはじめるMちゃん。
その後は「この理論は映画の心情描写にも使われているんじゃない!?」と、一緒に盛り上がった。
ハッピーな場面では晴れ描写が多く、街が活気付いて人々の足音まで聞こえてくる。暗い場面は主に雨描写で、どんよりムードに声までかき消されてしまう。
やっぱり、天気と音の関係がある、と。彼女は生粋の映画好きだ。
調べた結果、天気と音(厳密にいうと気温と音)は、たしかに関係があった。
けれど、私の考えとは違って、音は寒いほど伝わるものらしい。
映画の心情描写についても、たまたま私たちが観た映画にその傾向があるだけ。
もっといろんな映画を知れば多様な表現があるのだろう。
自分の素っ頓狂な考えに、恥ずかしくなった。
そして、このデタラメ理論を完全に信じきってしまったMちゃんが、気の毒で仕方がない。
Mちゃんまで恥ずかしい思いをしないように、ここはひとつ、私の考えた「天気と音の相関性」を広めていこうと思う。
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