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フランス人はワインを飲まない?:フランスの意外なお酒事情【フランス留学のススメ】


スーパーの陳列棚にずらっと並ぶ大量のワイン。

ロゼだけでこの品揃え

留学生活が始まったばかりの頃、こんな陳列棚を見ては歓喜の声を上げていた。普通のスーパーでもフランス各地のワインが勢ぞろい、赤、白、南仏特有のロゼ、最近のアベンジャーズ並みにワイン大集結。

しかも何が嬉しいって、めちゃくちゃ安い。
ここで少し嘆かせてもらいたい。インフレに円安、昨今の留学生は見事なまでにダブルパンチをくらっている。(タイミングを恨むしかない)

そんな状況でも、信じられないほどフランスのワインは安いのだ。
中には、ボトル一本2€(320円くらい)のものまで。ああ、天国。。。


なんせ日本でこれだけの種類を揃えているのは、やまや成城石井くらいのはず。(お酒好きの私からすると、やまやは日本で恋しいものランキングトップ8くらいに入る、1位は間違いなくお風呂)

こんなにも豊富な品揃えがある環境を生かさねばと、スーパーに行くたびにワインコーナーでラベルを見比べる時間を過ごした。

フランスのお酒事情を語るうえで忘れてはならないのが、アペリティフ(アペロと略されることが多い)と呼ばれる、食事の前にお酒と軽いおつまみを楽しみながら、皆でお喋りに興じる文化である。

(アペロとフランスの夕食についてはおいおい別記事でまとめたい、なんせ書きたいことが山ほどある)


クリスマスのアペロ

フランス人のお喋り好きについては以前まとめたので是非下記から!(^^)!


なにはともあれ、そんなアペロで主に好まれるのが、キリっとした辛口の白ワインやフルーティーな味わいで飲みやすいロゼワイン。

南仏の夏の夕暮れ時、ビストロのテラスでよく冷えたロゼをくぴっと(ぐびっではない、くぴっである)傾ける時間は至福以外の何物でもない。ほんとに。最高。南仏に来てよかったと思う瞬間の一つである。


南仏・エクサンプロヴァンスにて

こんなに美味しいワインを低価格で楽しめるフランス人はなんて恵まれているんだ。。。ずるい、羨ましい、、、

留学当初、私はこんな風に思っていた。
しかし、留学して半年が経過し、フランス人の友人達と夜を過ごすうちに、フランス人は意外とワインを日常的に飲まないということが徐々にわかってきた。

では彼らは一体何を飲んでいるのか?


ビールである。日本と一緒なんかーーーーい(叫)


ビールと一口に言っても、、Heinekenなどオランダの有名メーカーのものから、レモン、ピーチ、ライチといったフルーツ系のフレーバーが足された変わり種まで、人によって好みはさまざま。

とにかくフランスでは学生の soirée (訳すなら飲み会?)といえば、ワインではなく、常にビールなのだ。


常にビールなので以外とビールの写真がない(笑)

しかし、こんなに質の高いワインを安く買えるにもかかわらず、何故ビールなのか?
疑問に思ったわたしは、フランス人の友人らにその理由を尋ねてみた。

友人A「ワインはお年寄りが飲むもんだよ。」
友人B「そうだね、ワインはクリスマスとか行事向けかな。」
友人C「あと、ビールの方が楽しく酔っぱらえる。」
友人D「そうそう、ビールの方がクール。」(なんやそれ)

これを聞いて、フランスではワインは日本酒と同じようなポジションを占めているのかな、と感じた。

私自身、日本人ということもあり、フランス人から「日本酒は好き?どの銘柄がおススメ?」と聞かれることが多々ある。

しかしながら、日本酒を飲んだ経験など片手で数えられるくらいで、日本酒に関する知識は限りなくゼロに近いため、いつも返答に困る。

(プチ補足:海外では日本酒は sake と呼ばれている。よく考えてみれば、私たち日本人が sake を 日本酒 と呼んでいるのは全く不自然である。韓国人はソジュやマッコリを韓国酒とは呼ばないだろう。)

このように、ワインは確かにフランスの食文化の肝を成していると言えるが、日常的に飲まれているというわけではないと言えるはずだ。(少なくとも学生の間では)


パリの某ブイヨンにて

そんなこともあり、日本ではあまりビールを飲まなかった私だが、フランス人の友人らの影響で最近はもっぱらビール派である(笑)

ヨーロッパの中央に位置する地理的な性格上、フランスはビールの種類も豊富なのだ。ゆえに、いろいろな国のビールを気軽に飲み比べられ、これがなかなか楽しい。

フランスお酒事情として最後に付け加えておきたいのが、他の欧州諸国のように、フランス人ももれなくパーティー好き ということだ。

毎週木曜日は学生の日(フランス版華金(学生だけ))となっていて、街に繰り出せば学生でいっぱいのバーがあちらこちらに。

バーに行くにしろ、誰かの家で過ごすにしろ、ナイトクラブに行くにしろ、
とにかく皆で集まってわいわいがやがや。

木曜の夜は飲んで騒ぐためにある(友人談)そうなので、金曜の午前中は授業を取っている学生が少ない。みんなまだ夢の中にいるらしい(笑)

聞くところによると、14~15歳からパーティーを楽しみだす輩もいるそうで。親が外出する夜に仲間内で集まり、皆で飲み騒ぐとな。

(とはいっても、もちろん個人差はある。フランス人の中にもまったくお酒を飲まない人もいる。)

だがしかし、中学生からパーティーだなんて、部活で埋め尽くされた私の中学時代と似ても似つかないな。こっちの中高生は本当にませているというか、なんというか。

遊び始めた年齢が早ければ早いほど、パーティーへの熱が冷めるのも早いと友人が言っていた。20代半ばでアルコールはもういいや、、となるそう。

こうして散々パーティーをして、アルコールを摂取しまくった結果、フランス人が大人の嗜みとして落ち着く先が ワイン なのかもしれない。


エッフェル塔近くのビストロにて

そう考えると、フランスのお酒事情もどこか日本のお酒事情に通ずるものがあるかもしれない。若者がビールやチューハイに飽き、行き着く先こそ 日本酒 と考えることができるだろうか。

こんな風にお酒事情を通して二国を比較してみると、単に飲酒という行為を超えた文化の違い及び共通項が見えてくる。日本とフランス、まったく異なるように見えて、思いもよらぬところで似通っていたり。

いよいよ3月も終わり、サマータイムに変わったヨーロッパ。留学生活残り4か月弱、引き続き量には気を付けながら、こちらのお酒文化を楽しみ尽くしていきたいと思う。



















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