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今の夫と出会うまで

私は正直いい生き方をしていない。
人を見る目がなさ過ぎて、ろくでもない男とばかり付き合ってきた。

18歳で就職の為親元を離れ、19歳の時、別部署の男性と不倫関係になった。
とは言え、その時は相手が既婚者だと知らずに付き合っていて、気付いたのは彼が複数所有している車の1台にチャイルドシートが付いている事に気付き、それを疑問に思い何気なく聞いてみたら、奥さんが出産の為里帰りしている最中だという事を白状した。
彼は14歳年上で結婚していてもおかしくない年齢ではあったけど、指輪もしていなかったし、土日祝日関係なく会えてお泊りや旅行も行ってたから、結婚してるかどうかなんて気にもならなかったし、チャイルドシートを見るまで何の疑問も抱かなかった。

人を疑う事を知らない、箱入りで世間知らずだった頃の私。
彼は私の理想そのもので本当に大好きだった分、ショックは大きく暫く落ち込んだ。

その後友達に誘われて合コンに行ったり、男性の多い職場だった事から頼まれて合コンのセッティングをしたりしているうちに出会った1個下の男性と付き合う事に。

彼と付き合い始めて暫く経った頃、彼との間に子供が出来た。
行為の時は避妊もしていたし、元々生理不順で平熱も高く、生理前の高温期に37度あるのは当たり前だった為、生理が遅れていても気にしていなかった。
違ったのは、タバコが吸えなくなったのと、うつ伏せになれば吐き気がしてうつ伏せの姿勢でいられなくなった事。
自分では妊娠しているなんて思ってもいないから「何か最近調子悪いなぁ」くらいの気持ちだったけど、私の妊娠に気付いたのは職場の上司だった。

丁度その頃その上司の奥さんが妊娠中で、私の様子を見ていて「あれ?この子妊娠してるんじゃ…?」と何か感じるものがあったらしい。
今思えばどれだけ感がいいのか…いや、それだけ私の事をちゃんと見てくれていたという事だろう。(後にこの上司には元夫の事で助けて貰う事になる)
今のご時世であればセクハラだなんだと何を言われるかわかったものじゃないけれど、その上司は「とにかく一度調べてみろ」と何度も私を説得し、遂に根負けした私は妊娠検査薬を試してみるとまさかの陽性だった。

陽性だった事で病院へ行くも心拍の確認が取れず、翌週の診察でも心拍の確認が取れなかった為、推定7週での稽留流産と診断され掻爬手術を受けた。
これが私の初めての妊娠だった。
妊娠した実感を抱く事なく失ってしまった小さな命に、当時の私は何の感情も抱かなかった。
その後、彼とは何となくうまくいかなくなり自然消滅。

彼と別れた後、新しい出会いと別れをいくつか経験し、浮気されたり精神的にちょっと病んだり職を変えたり何だりと色々ありながら、24歳の時に1歳年下の男性と最初の結婚をする事になる。

だけどこれが驚く程ろくでもないモラハラ・DV男で、子供が出来た事を報告した時に言われた言葉が「死刑宣告を受けた囚人の気持ちってこんな気持ちなんだな」だった。
何故結婚するまで気付かなかったのか、自分の男の見る目の無さに心底うんざりした。

お腹の子は順調に育っていたものの、結果的に12週を迎える前に中絶する事にした。
中絶した時の事はあれから20年近く経った今でも鮮明に覚えているし、思い出すだけで涙が出る。
趣旨がズレるので元夫との事を今これ以上詳しく書く事はないけれど、こんな事があった後ですら元夫のモラハラもDVもなくなる事はなく、最終的に前述した私の最初の妊娠に気付いた上司に助けを求め、その後全てを父に話し、警察に保護して貰い、迎えに来てくれた父の車に乗って逃げるように実家に帰った。
なかなか離婚に応じて貰えなかったが、半年後にやっと成立。

離婚後は暫く何もする気が起きず、親のすねを齧ってネットゲームに没頭したり、バイトをしたりスロットで稼いだりする自堕落な生活を送っていた。
まともに生きていない人間にまともな出会いなどあるはずもなく、自分の事を棚に上げて言うのもなんだが寄ってくるのはろくでもない男ばかりだった。
だけど、時には友達のように、時には恋人のように付き合えて、必要なくなったり嫌になれば付き合いを終わらせられる…そういう、自分にとって都合のいい男としか付き合う事をしなかった。
当然、彼らにとっても私は都合のいい女で、それについて不満に思う事など何もなく、容姿さえ好みの範疇であれば来る者拒まず、去る者は一切追わず。

恋愛感情があるが故に、相手の言動にいちいち一喜一憂するのは疲れる。
そもそも私は人を見る目がないし、元夫のような男にまた引っかかるのも嫌だったから、その程度の付き合いで十分だった。

そうこうしているうちに20代も後半となり、30歳までに再婚出来なければお独り様の老後に備えなければならないなぁ…と、漠然と考えるようになる。
だけど離婚後の私の異性との付き合い方からもわかるように、当然再婚したいと思うような男性と出会う事などなく30歳を過ぎ、いよいよ自分の今後の人生としっかり向き合わなければという意識が強くなってきた。
子供については欲しいと思っていたのは20代の時だけで、30歳までに再婚できなかった時点で既に諦めていた。

そんな時、最初の職場の(先述の上司とは違う)元上司だった人から一本の連絡が入る。

パパ友が、「知り合いの社長が新規事業(新しくお店)を立ち上げるにあたって人を探してるんだけど、なかなか集まらなくて困っていて、誰かいい人がいたら紹介してくれない?」って声をかけられたんだけど、今特に何もしていなかったらとりあえず話しだけでもどう?

その会社は家から遠く、もし採用となったら私は家を出なければならなかったが、両親は「あなたの人生なのだから好きなようにしなさい」と。
離婚してからずっと親のすねを齧って生きてきた。
いつまでこんな生き方をしているのだろうかと、両親は口に出す事なくずっと見守ってくれていたけど、心底私の将来を心配していただろう。

自分自身でもいい加減このままではいけない…そう思っていた事もあり、とりあえず話しだけでも聞いてみる事にしようと紹介された社長にアポを取り会いに行った。11月半ばの事だった。
とりあえず話しを聞いて帰るだけ…のつもりだったが、どんどん話しが進み、その場で即採用。

住む所は社長が知り合いの不動産屋に頼んで用意してくれたが、部屋が12月1日にならないと空かなくて、それまでの間(10日程)はホテルで過ごす事になった。
その為自宅からは着替えだけを持ち、12月に入ったらそれ以外の物を持ってくる事に。

その新規立ち上げのお店はホームセンター内の一角にテナントとして入る事になっており、今の夫とはそこで出会う事になる。
私が33歳、夫が29歳の時だった。

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