なぜ、自分をオタクだと言いたがる若者が増えているのか|『新・オタク経済 3兆円市場の地殻大変動』
なぜ、若者は自らを「オタク」と言うのか。
最近でこそ、何となく「そう言っても虐げられる世の中じゃないんだな」とわかってはきたが、最初の頃は心底驚いた。
この本は、著者がオタクを4世代にわけて、特に刊行当時(2015年)の若者だった第4世代を分析した著書である。
ちなみに、オタクの世代の分け方は下記の通り。
本書で「第4世代」と呼ばれるオタクには、本来の意味に近い「オタク」と、いわゆる「エセオタク」が存在する。
なぜ、本来であれば良い意味ではない「オタク」を装い、自称するまでになるのか。
それは、SNSを含む自己アピールのアイコンとして「オタク」が有効なものであること。
特に、“意外性”という面で大きく作用し、また、多くの時間をかけなくても「●●オタク」と名乗ることで少ない時間でそれを名乗れる手軽さも、要因の1つだと言う。
時代が変われば感覚も変わる。
市場の動きとしても興味深い1冊です。
数々の流行語を生み出した著者の書籍
著者は 原田曜平。
前述の通り、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー等を経て、現在はマーケティングアナリストとして活躍している。
尚、2013年「さとり世代」
2014年「マイルドヤンキー」
がユーキャン新語・流行語大賞にノミネート。「伊達マスク」という言葉の生みの親でもあり、様々な流行語を作り出している。
「Z世代」は2021年のユーキャン「新語・流行語大賞」のトップ10に選出された。
上記の本は未読だが、先日感想を書いた『それ、なんで流行ってるの?』も原田曜平の著書である。
出版社は 朝日新聞出版
掲載誌・レーベルは 朝日新書
発売は 2015年09月
結論から言うと、この情報ももう古い
らしい。
と、言うのも、著者は違うが
で、「今の若者はもうオタクは名乗らない」という話があった。
本書では、自己アピールのアイコンの1つである「オタク」もSNSで「オタク」を自称しても、すぐに自分より詳しい「オタク」が現れてしまい、アイコンとして意味を成さなくなってしまうからだそうだ。
今は「推し」と言うそうだ。
そういえば、「推し活」という謎現象もあった。
ただ、この辺は「アイデンティティの融合」とか、(いわゆる、自分の属性をどこかへ置き、価値を高めようとする行為)その辺も相まってくるのでややこしそうだ。
本書では、何か明確な答えが出ている訳では無い。
あくまで著者は分析と、それに基づいたビジネスを思い描いているだけに留めている。
ただ、関連書籍も含めて、私たちが思っている以上にSNSが生まれる前と、後の世代では感覚も、見えているものも、全く違うのだ、というのは認めざるを得ない。
私のような(ちなみに、私はオタクではないけど、オタク第2世代に当たる年齢)「自分が好きだ、ってだけじゃダメなの?」というのは根本的な意味では変わらないけれど、時代の感覚で言えば「違う」のだろう。
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