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「ヒットしたモノはすべて因数分解できる」|『それ、なんで流行ってるの?』


ヒットしているモノを因数分解すると、間違いなくそこには優れた強いインサイトが隠されています。

『それ、なんで流行ってるの?』

インサイトとは、広告・マーケティング業界で使われる用語で、クライアントに「最もよく効くツボ」であり、「見えない欲望」であり、「ブランドと生活者との関係に関する新しい見方」であり、いわゆる潜在的なニーズのことを指す。

著者である、原田曜平は博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー等を経て、現在はマーケティングアナリストとして活躍している。

その著者が具体的なヒット作を挙げ、何故それがヒットしたのかを紹介する。
例えば小学生を中心にヒットしたうんこドリル。

「うんこ」は子どもたちが好きなもの。「勉強」は子どもたちが嫌いなもの。あまりに遠い場所にある両者であるがために、「合うわけがない」と思い込まれていたのかもしれません。
ところが、今まで誰も掛け合わせなかったこの二者を掛け合わせたら、「あれ、意外と合うじゃないか」と世間に喜ばれたのです。

『それ、なんで流行ってるの?』

誰もが気づいていない、だけど、「それだ!」と言わせるような欲求(=インサイト)を突く。

超一流の表現者は、実は表面的な表現ではなく、インサイトを導き出すことに全力を使っているのです。

『それ、なんで流行ってるの?』

さて、この“インサイト”を発見するにはどうしたらいいのか。

とりあえずモノを作ってしまい、あとで広告会社などを入れて売る相手や売り方を考えるということ。マーケティング用語では「プロダクトイン」といいますが、本来であれば消費者のニーズをもとに商品を設計すべきところを、商品を作ってしまってから買ってくれる客を探す、という傾向が強く見られます。

『それ、なんで流行ってるの?』

耳が痛い言葉だが、確かに「作れば売れる」時代はもう終わっている。
それが出来ている企業は僅かかもしれないが、「求めている商品を作る」ことが重要だ。

たとえ、それが作る側の美学に反していても。
物が溢れる現代で“良いものが売れる”は幻想に近い。

後半では、具体的なインサイトを聞き取る方法が記されている。

人は意図的にウソをつくことも、悪気なくウソをつくこともある生き物だということです。

『それ、なんで流行ってるの?』

言った内容ではなく、言った動機のほうが大事で、インサイトとはまさにこのことなのです。

『それ、なんで流行ってるの?』

まっさらな状態から仮説を立てる。これは鋭いインサイト探しの原則にして鉄則です。ここにはお金も時間もかけることが重要です。

『それ、なんで流行ってるの?』

実際は、これが出来る人も企業も一握りかもしれない。
しかし、働く人間として、頭の片隅に入れておいて損はないんじゃないかな、という一冊です。

※この本はKindleUnlimitedで配信されています。


数々の流行語を生み出した著者の書籍

著者は 原田曜平。
前述の通り、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー等を経て、現在はマーケティングアナリストとして活躍している。
尚、2013年「さとり世代」

2014年「マイルドヤンキー」

がユーキャン新語・流行語大賞にノミネート。「伊達マスク」という言葉の生みの親でもあり、様々な流行語を作り出している。
「Z世代」は2021年のユーキャン「新語・流行語大賞」のトップ10に選出された。

出版社は ディスカヴァー・トゥエンティワン

発売は 2017年12月


文系マーケターのお手本?

明日からすぐに使える内容か、と言ったら正直そうでもない。

ただ、後半のインサイトを引き出す手法は基本的な方法ではあるが、営業職の方でも参考になる部分はあると思う。

その手法としては、同じく有名なマーケターである森岡毅が

何かで「マーケターは文系が多い」と言っていたので(森岡毅は数字で詰めていくタイプ。でも「僕みたいなのは少数派です」みたいに言ってた)、今回の著者である原田曜平のようなタイプの方がマーケターとしては一般的なのかもしれない。

“複数の人から聞き取りをしてインサイトを引き出す”というのは、数字でパッと出て来るよりも漠然としていて、読んでいても頭に思い描き辛いところもあった。

しかし、数字はわかりやすい分、過去のデータから未来を推測する作業になってしまう部分もある。

“今あるニーズを掴む”には、やっぱりこういう方法の方が有効なのだろう。


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