正義というエンタテインメント|『世界はなぜ地獄になるのか』
本書は、『言ってはいけない』シリーズで人気の著者・橘玲の最新刊である。
「リベラル」とは、「自由な」「自由主義の」「自由主義者」などを意味する英語で、1930年代以降のアメリカ合衆国から広がった用法で、社会的公正や多様性を重視する自由主義のことを言う。
それは本来、差別を無くし、誰もが人権を保障され、自分らしく生きられる社会へ向かっているはずなのに、なぜ、我々は毎日のように炎上(≒キャンセルカルチャー)している、というようなニュースを見ているのだろうか。
具体的な物や、他者の同意が必要な「成功ゲーム」や「支配ゲーム」に比べて、比較的明確なものが必要ない「美徳ゲーム」がSNSの進化によって過激になっていく。
本書は、「だれもが自分らしく生きられる」という社会主義の運動がキャンセルカルチャーへと変わっていく現象を、私たちの人間としての習性や、性別、文化などを踏まえながら考察した1冊である。
この本は、あなたが漠然と思っている“何か”をはっきり明文化してくれている1冊かもしれない。
ヒットメーカーの最新刊
著者は 橘玲。
元宝島社の編集者で、作家。
『言ってはいけない―残酷すぎる真実―』が50万部を突破する大ヒット。(すいません、私は未読です)
他の著作の感想はこちら。
https://note.com/iroakg/n/n64fd37a1b7ed
出版社は 小学館
掲載誌・レーベルは 小学館新書
発売は 2023年08月
正直、感想が書きづらい本
正直ね。
書きづらいですよ。
前に進めば頭がぶつかり、後ろに下がれば背中が壁に当たるような本。
ただ、「そう!それちょっと思ってた!」みたいな上手いところを突いている本でもある。
正にインサイトを突かれた感じね。
何だか漠然と「ちょっと変じゃない?」と思っているところを、バッと正確に言葉にしている。
ただ、おすすめ出来るのは、ある程度自分の軸があって、距離感を持って読める方だけかもしれません。
私にとっては、いわゆる、“毒性の強い本”です。
刺激的で面白いけれど、世間の風潮とバランスが取れている内容ではないだろうから。
開けてはいけない扉を覗き込んでみたい方には、おすすめの1冊です。
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