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4-6月に読んで面白かった本4冊

今年も半分終わりましたね。あっという間に。こういう節目の時には読書が進む。

おすすめの本、4冊紹介します。今四半期は小説に度肝を抜かれた印象。


① 侍


なんだかディズニーのSHOGUNが流行っているし、そのあたりの時代小説でも選んでみるか、という気軽な気持ちの選書でしたが、遠藤周作に脳天撃ち抜かれた気持ちになりました。

17世紀初頭の日本を舞台に、低位の侍がキリスト教牧師や商人たちと共に、使節団の一員としてメキシコ、スペイン、ローマを訪れ、外国での経験を通じて自己の信仰とアイデンティティを見つめ直す物語。
支倉常長の人生を描いたフィクション小説です。

お役目を果たすために信じてもいないキリスト教の洗礼を受けるのですが、帰国するとキリスト教禁制となっていたという、世の中の流れに翻弄される個人の小ささを描きつつ、個人の信仰とは何かをおしえてくれる素晴らしい一冊!

この時代の侍たちはお上の言いなりであったわけですが、考えてみれば私達も政府や会社、理不尽に思えるルールに従うばかり。不合理だらけの世の中で、信仰の意味を考えさせられます。


② Atlas of the Heart


大人気科学者のブレネー・ブラウンの心の地図帳を読みました。私は完全にKindle派で、紙本は買いたくないタイプなんですが、久しぶりに手元に紙で置いておきたい本に出会い購入。モヤモヤした気持ちがある時に、感情を言語化したり、背景にある自分の欲望を見つめたりするために、地図を広げる感覚で何度も参照したくなる本。読了後、気持ちがスッキリする事、間違いなし。

87の感情や経験を詳細に分析し、それぞれがどのように私たちの思考、行動、人間関係に影響を与えるかを探っています。
章題が、「物事が計画通りにならない時に行く場所」、「傷ついた時に行く場所」などと、あたかも心の中に地図があるかのように、人がどのような感情を抱くのか温かい言葉で説明しています。
人間の感情と経験を探究し、人々が自分自身と他者とのつながりを深める方法を提案しているブレネー・ブラウン、やっぱり好き。

堅苦しい学術書ではなく、漫画やキーワードなどが散りばめられたエッセイ集のよう。英語もそこまで難しくないので英語学習者にもおすすめです。

③ 最強のコミュ力のつくり方




「コミュニケーションがうまくいかないのは、魅力がないせいである」と言う結論からスタートする、パンチ力の高い一冊…

しかし、さすが鈴木祐さんの本で、①そもそも魅力とは何か、②自分が伸ばすべきスキルは何か、③そのトレーニング方法と、課題解決のための道のりが最短で示されている良書。実行できるか否かは、メンタルの強さに関わると思われますが、コミュニケーション能力を伸ばしたいと思う人は手にとってみる価値ありです。


④ クララとお日さま


ノーベル賞受賞者、カズオ・イシグロの心を揺さぶるAI小説。

AIがより身近になった近未来、格差社会の上層下層に分断された者たちの幼い恋愛や、環境汚染、貧富の差、うわべの人間関係の虚しさ等、現代にある社会問題を含みながら構築されたディストピア的世界観の小説。

AIの視点から描かれていて、人間とは少し異なる視点が面白い。人間の感情という不確かなものを理解しようとするAIと、いつまでもどこか愚かな人間を巧みに描いた、AI時代に必読の一冊!

ネタバレになるのであまり言えないのですが、AIが台頭するとこういうことが行われるんだろうなーと衝撃を受けながらもとても心が動かされました。
AI時代に不可避の質問に対する答えを描き切っているのが素晴らしいです!


毎回5冊紹介しようと思いつつ、いつも絞り切れなくて6冊になるのですが、今回は5冊目が決まらなかった。

この四半期はまあまあ数は読んだけど、この4冊以外は、あまりピンとくる本がなかった印象。速読や流し読みが多かったからかもしれない。

多分多く読むことにフォーカスしたからなんだけど、ちゃんと集中して読むことも大切かも。

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