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一風堂のスープの秘密に迫る!!福岡・山王工場の製造現場潜入レポート!📝

こんにちは!一風堂note編集部です。

今日は、一風堂のとんこつラーメンを構成する中で、最重要と言っても過言ではない「スープ」の製造の様子を、福岡・山王工場からお伝えいたします。

白丸2018_スープイメージ04

※もちろん、麺やトッピング等すべてのクオリティを追求し、美味しいとんこつラーメンをつくり上げております!

一風堂のとんこつスープは、「口あたりがなめらかで、豚骨の旨味や香りが高くまろやか」、そして「臭みがない」という点が特徴です。

この「臭みがなく飲みやすい」一風堂のスープが生まれたのは、一風堂創業時の約36年前の1985年にさかのぼります。一風堂の創業者である河原成美(かわはら しげみ)は、「女性が一人でも入れる、綺麗でカッコいい」をコンセプトにしたラーメン店を創りたいと想い、当時の豚骨ラーメン店の特徴とも言える臭みが強いスープではなく、「多くの人にとって飲みやすい、臭みがない」スープを生みだしました。ちなみに、スタイリッシュなデザインのラーメン店づくりをいち早く始めたのも、このコンセプトが元となっています。

とても簡単に一風堂のとんこつスープの作り方を説明しますと、「材料は豚骨と水。それらを合わせて煮立たせる。」です。
しかし単純にそれだけではなく、「多くの人にとって飲みやすい、臭みがない」かつ、「口あたりがなめらかで、豚骨の旨味や香りが高くまろやか」なスープは、様々な工夫を施した末に、完成しています。そんな、「一風堂のとんこつスープ作りのこだわり」を、ぜひこの場でみなさまに知っていただけたらと思い、可能な限り公開いたします!

-  使う骨は2種類。そして骨は特注。

朝7時。この日のスープ作りが始まります。

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まずは、お湯を張った釜に「ゲンコツ」と「豚頭骨」の2種類の骨を入れて点火し、煮立たせます。
どの骨を使うかは、部位により抽出される風味も違うため、お店や企業で異なると思いますが、一風堂では旨味や甘味、濃度がバランス良く掛け合わされるよう、「ゲンコツ」と「豚頭骨」2種類の骨を使います。さらに仕入れる骨、実は特注です。余分なものを可能な限り取り除き、より骨から旨味が出やすいように加工された状態にしていただいたものが届いています。

しばらくすると、煮立ったお湯から次々と灰汁が出てきます。ブクブクと現れる灰汁を、丁寧にすくって除いていきます。

- 最初に炊いた出汁を捨てます(!!!)

灰汁をきれいに取り除き終えました。煮立たせることで豚骨の旨味が出た出汁ができているのでは?と思われるかもしれませんが、ここで……、
中のお湯を捨てます!!ザバババーっと!

ザバっと

このペール(バケツのような白い容器)、底に穴が開いておりますので、そこから下の排水口へと出汁が流れ出ております。

- なぜ丁寧に灰汁を取ったのに、せっかく炊いたのに、捨てるのか?

実はこれが、「多くの人にとって飲みやすい、臭みがない」スープに仕上げるための要の作業。雑味の原因となる灰汁を丁寧に取り除き、さらに、出汁の中に余分な肉片等が残っていると臭みの原因にもなるので、それらを取り除くために一度沸き立ったお湯を全部捨てます。この工程を組むことで、一風堂の「飲みやすいとんこつスープ」が生まれます。

「全て流して捨てるのであれば、灰汁を丁寧に取り除く必要は無いのでは?」と、疑問に思う方もいらっしゃると思います。 が、あるんです!
灰汁を取らないと、この後も使う骨に灰汁が付着した状態になるかもしれません。そうすると、せっかく臭みをなくすために出汁を捨てても、臭み、雑味の原因は残ったままになってしまいます。徹底的に臭みを除く。そのために、丁寧に灰汁を取り除く作業も、怠りません。

これで釜の中には、灰汁、そして臭みの原因となるものを取り除いた、旨味をたっぷり抽出してくれる骨のみが、残っています。

- スープとりは、1回では終わらない。「1番スープ」「2番スープ」とは

ここから始まるのが、本格的にとんこつスープをとっていく作業です。
一風堂のスープをとる作業は2回に分けており、それぞれ、とるスープを「1番スープ」「2番スープ」と呼んでいます。最終的にこの2つのスープを混ぜ合わせることで、完成させます。

2回に分ける理由は、それぞれでとるスープの味わいが異なるため。
「1番スープ」には豚骨の香りや甘味があり、「2番スープ」には、より骨を煮込むことで骨の髄からでる旨味、コク、そして濃厚さがあります。こうして2回の工程を経てとったスープを合わせることで、「口あたりなめらかで、豚骨の旨味や香りが高くまろやか」なスープを仕上げています。

それでは、それぞれの工程を少し詳しくご紹介します!

- そもそも、なぜ豚骨スープは白くてクリーミーなのか

「1番スープ」を作るため、骨だけが残った状態の釜の中に、もう一度お湯を張り、また点火して、数時間骨を煮込みます。

1番スープ

煮込み始めて6時間程経った頃、中の骨を特殊な棒を使って混ぜていきます。混ぜる目的はいくつかありますが、大きな目的は豚骨スープ特有のまろやかさを出すこと。

突然ですが、豚骨スープがなぜ白濁したまろやかなスープか、考えたことはありますか??
白濁しているのは、乳化という、本来混ざり合わない水と油が均一に混ざり合う状態になっているからです。そしてこの乳化により、味わいも、程よく油の旨味や甘味などが馴染んだ、「まろやか」だったり「クリーミー」な状態になります。油と他の調味料が分離したドレッシングを頑張って振ると、分離状態から混ざり合い、そして少し濁ったように見え、味が馴染む感覚があると思います。例えるとこの現象です。

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豚骨スープの乳化に必要なことは、スープがグツグツと沸騰する釜の中で、激しく起こる対流により、しっかりと骨を動かし、攪拌(かくはん)状態を継続させること。この攪拌状態を釜の中で円滑に継続させるために、棒を使ってスープをかき混ぜる作業が必要となります。長時間煮ることで底の方に沈んでくる骨が出てきてしまいますので、それを動かしてあげるというイメージです。煮立たせながら、定期的に時間を見計らって、混ぜる作業を進めます。

まぜる1

まぜる2

数回にわたり混ぜる作業を行い、そして味をチェックした後、この「1番スープ」をとり出します。とり出す際は、骨を逃さないよう濾し器を使って丁寧に。

No1とる

このスープをとる作業の際は、もちろんペールの底に穴は開いておりませんので、ご安心ください。

余すことなく「1番スープ」をとり出したら、さっそく「2番スープ」の製造に移ります。

- 豚骨の旨味、髄からしっかりとらせていただきます

「1番スープ」をとり出した後に残る豚骨は、しっかり煮込まれているため軟らかい状態になっています。この骨を、特殊な棒を使い砕いていきます。
この砕く作業もとても重要で、骨を砕くことで、旨味の元となる「骨髄」からより旨味が出やすくなります。

砕く

ただ、この砕く作業も、がむしゃらに砕いているわけではありません。スープ製造のプロ曰く、「砕きすぎない」のがコツとのこと。
一生懸命砕けば砕くほど骨髄が出て良いんじゃないんですか......??
はい。それもそうなのですが、砕けば砕くほど、その分、雑味の元にもなる「骨粉」が必要以上に多くなってしまいます。また、これから骨をさらに煮込み、かき混ぜていくと、その工程で自然と砕ける骨もあります。このことも考慮した上で、砕き具合を調整していきます。

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(左)1番スープ、(中央)2番スープ、(右)1番スープと2番スープを合わせた完成スープ 
2番スープの底にたまっている濃いベージュの、層になっているのが「骨粉」。2番スープに最も多く含まれていることがわかります。ほどよく含まれることにより、濃厚さが加わります。

砕いた骨が入った釜にまたお湯を張り、ここからさらに数時間煮込み、そしてかき混ぜます。より細かく砕かれた状態の骨を煮込んで作る「2番スープ」をかき混ぜる際は、骨を砕く等して出てきた「骨粉」が釜の底に沈み、焦げ付きやすくなるので、この「骨粉」を底からすくうように混ぜることが重要です。

時間が経ったところで、実際に担当者の舌で味をみます。なおこのスープ、何の味付けもしていませんので、もちろんのこと、塩味とか糖の甘味などはありません。ちゃんと一風堂のスープの基準に合ったまろやかさ、濃度が出ているか、豚骨の旨味が出ているか、といった風味を確認します。
担当者の舌で確認した後、濃度計を用いてスープの濃度を計測します。この濃度計は多くのラーメン店で使われているもので、スープを数滴「プリズム面」と呼ばれる箇所に垂らし、レンズを覗き込んで数値を確認します。

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このような感じで計測値を見ることができます。こちらは実際にのぞき込むレンズから撮影してみた画です!

味見、そして濃度計による濃度の数値の測定で、良いスープが炊きあがったという判断になると、「2番スープ」の完成です。さっそく火を止め、「1番スープ」を釜の中に投入し、豚骨の香りや甘味が立つ「1番スープ」と、髄からでる旨味、コク、そして濃厚さのある「2番スープ」を合わせます。

この時点で、夜も近い時間に。2種類のスープを合わせ火を止めた状態のまま、翌朝まで寝かせて味を馴染ませます。

作業担当のみなさんはここで一旦解散。また翌日にも作業は続きます。

- 作業開始から約26時間、スープの完成です

そして迎えた翌朝、さらに味を馴染ませるため、寝かせたスープを再び沸かします。約1時間経つと沸騰し始め、そこから少し時間をおいてから火を止めて、出来上がったスープを丁寧に濾しながらとり出します。

完成

最終スープとり

最後の1適までスープをとり出したら、全作業の終了です。最初の作業開始から終了までにかかる時間は約26時間。様々な工程を経て一風堂の「口あたりがなめらかで、豚骨の旨味や香りが高くまろやか」なスープが完成しました!

スープイメージ

最後にスープは冷却、冷凍し、そしてお店に届けます。
ここ福岡の工場で作られたスープは、主に九州内の一風堂店舗へと配送されます。ちなみに、スープ製造工場は365日毎日稼働させていて、日々交代制でスープを作っています。毎日作り、毎日新鮮なスープを店舗に届けます。

白丸元味2015_湯気あり (2)

- 世界中で、一風堂のとんこつスープを作っています

現在、日本を含め世界15ヵ国・地域に展開している一風堂。
日本以外の国でも、現地でスープを製造しているんです。ただ、国により、気候や水質など様々な条件が異なるため、全く同じ工程とは限りませんが、豚骨を丁寧に煮込みながら日々スープを製造し、一風堂クオリティのスープを世界中で提供しています。

「多くの方に、とんこつラーメンを美味しく召し上がっていただきたい」この想いから創り上げられた臭みがないとんこつスープは、後に福岡を飛び越え、日本全国、そして世界に広がり、今では年齢国籍問わず多くの方に愛されるとんこつスープとなりました。

仕入れる骨、臭みを取り除く作業、旨味のあるスープに仕上げる作業、あらゆる場面で妥協せず、こだわり抜いて作っているのが一風堂のスープです。

色々と説明させていただきましたが、なかなか覗くことができない豚骨スープの製造場面、楽しんでいただけましたでしょうか?次回一風堂でとんこつラーメンを召し上がって頂く際には、ぜひ今回のお話しを思い出していただけますと幸いです。

それではさっそく、一風堂で1杯のラーメン、いかがでしょうか?

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