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駐車場野球

⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

小さい頃、
よく遊んだ場所というのは
今でもよく覚えているものである。

子供達が遊ぶスペースが
どんどん無くなっている
という話が出はじめて
数年が経つが

僕が小さい頃も
公園などはかなり減っており、
球技禁止などの
ルールが設けられていたりして、
遊ぶことができる場所は
少なかった。



小学生の頃
友達が皆遠くに住んでいた僕が
よくやっていた遊びがある。

それが
駐車場野球だ。

駐車場野球とは

駐車場の車止めやポール、
アスファルトの
長年の劣化による模様
などを塁に見立て
行う
画期的なスポーツである。

車が周りにたくさんあるため
危険を伴う。

また、塁間距離なども
きちんと測っていないため
かなりアバウトだ。

対戦相手は
父親が多かった。

父親と1対1

ピッチャーとバッターとして
向かい合うと
ピッチャーの真後ろに
フェンスがある。

それを越えると
守備はいないし
ボールを取りに行くのに
かなり時間がかかるため
だいたい
ランニングホームランだ。

つまり試合の中で
めちゃくちゃ点数が入る。

他にもピッチャーの奥のフェンスの
さらに奥に
大きな建物があり
ここにボールを直接当てると
有無を言わさずホームランだ。

簡単に言うと
めちゃくちゃショボい、
得点項目の少ない、
リアル野球盤みたいな感じだ。



ある日

父親と駐車場野球を
繰り広げていると
その奥の建物の壁に
ボールがぶち当たった。

ホームランだ。

ホームランは
通常、かなり喜ばしいことだが
駐車場野球においては
手放しでは喜べない。

当たりどころが悪いと
建物の中の人間が出てくるのだ。

その日は誰も出てこなかった。



セーフ

2つの意味でセーフ

いつも高確率で誰も出てこない。
出てくる確率はだいたい18%くらい

その日の駐車場野球でも
点数が入りまくっていた。

アウトになるのが
ほぼ三振かフライくらいしかないので
とにかく守備側が難しく
一つ一つのイニングが長い。

結局その日は決着がつかなかった。



日をまたぐ
クリケットスタイル

数日後
試合再開

その日も、もちろん点数が入りまくっていた。

バスケくらい点数が入る。

途中壁に当たったり
車に当たりかけたりすることはあったが

誰にも怒られず
ゲームは進んでいった。

日が暮れてくる。

その日も決着はつかなかった。



また数日後
今日はさすがに決着をつけないといけない。

試合は7回表まできていた。
(たかが駐車場野球の癖に
キッチリ9回裏までやる)

いつものように
バコバコ打ちまくり
バコバコ点数が入りまくる。

今日もいつも通り平和な駐車場野球
が繰り広げられる

そう思っていた。

ところがそれまでに例のなかった
事態が起こったのだ。


父親が打った球が
宙高く舞い上がり

車の上に落ちた。

ボンッ

と鈍い音が鳴る。


ヤバっ!

父親の気持ちは分からなかったが
恐らくかなり焦っていたと思う。

その時
タイミングの悪いことに
なんと車の持ち主が戻ってきた。

清潔感のある
40代くらいの中年男性だった。

父親が走ってボールを
取りに行く。


僕は傍観することにした。
僕のせいではけっしてない。

何か喋っているのが見える。

父親はなぜかヘラヘラしていた。

え?

嘘やろ?

普通大の大人が
真剣に謝らないといけない時に
ヘラヘラしながら
話すだろうか

僕は耳を傾けてみた。

「これ、やらかいんすよ。
これ!やらかいボールなんで」

ただただひたすら
ボールの軟かさについて熱弁していた。

マジか。
これが大人の対応なのか?

驚きすぎて
そのあとの会話は
ほとんど入ってこなかった。

車に傷がついていなかったのが
幸いして
父親はすぐに戻ってきた。

「どうやった?」

僕が尋ねると

「高校の先生らしいわ」

は???

知らんがな!
何ちょっと仲良なってんねん!



非常識な父親と僕との真剣勝負は
48対45で僕の勝ちで終了


その後
今までより周りに気を使いながら
駐車場野球が繰り広げられたことは
言うまでもない。

今後もどんどん楽しく面白い記事書けるよう頑張ります! よければサポートお願いします😊