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プール監視員アルバイト中に監視台が強風で倒れ、子供に直撃して逮捕されそうになった話

かなり昔の話になるが(22歳くらい)地元のホテルのプールで監視員の期間限定アルバイトを夏にしていたことがある。
勤務時間は8時から17時までだったと思う。
仕事内容は木製の監視台に座って客の子供が溺れてないか監視すること、溺れた子供がいたら救助すること、簡単な清掃、決まった時間に塩素を排水溝に入れること、強風時にパラソルを畳むことだった。

そこは海に近いホテルの屋外プールなので風が強いとテーブルに備え付けられているパラソルが飛んで危ないことが多々あった。
強風時には「風が強いのでパラソルを畳んでください」と拡声器で呼びかけるが、かなりの割合で無視される。
そして、パラソルが強風で飛ばされて他の客に当たりそうになったりしてこちらの管理責任に問われる。

そんなこともあり、私は強風時に客テーブルのパラソルを畳みに回っているときのことだった。
突風が吹き監視台がプールに向かって倒れた。
私は急いで監視台を他の客とともに引き上げると、5歳くらいの小さな女の子に直撃したらしく父親がぐったりした子供を抱いて「おい!救急車早く呼べよ!見てみろよ!子供に当たってんだよ!」と激高していた。
私は急いで上司に連絡し、ホテル関係者が集まり救急車と警察も駆けつけて大変な状況となった。
ぐったりした小さな女の子と父親は救急車で病院へ向かい、私は警察から事情徴収を受けた。
刑事と思われる男が「業務過失致傷に当たるかもしれない」と私を脅し、とりあえず子供の容態と親の判断になるのでしばらく、職場で待機するようにと言われた。
事務所でうなだれていると面接した時の幹部が来て「実は俺が監視員やってたときも同じ事があったんだよ、そのときは人がいなかったからよかったけどさあ」と言ってきた。
私は(は!?それだったら重りつけるなりして改善しろよ!)と心で叫ぶ。

事務所で長い時間待たされ帰宅は許されず、私はもう刑務所に収監される覚悟をし、子どもに障害が残ってしまった場合の治療費請求などを恐れ疲弊し失望しきっていた。
だが幸いなことに夜の8時頃に警察から「被害者の子供は命に別状はなく親が刑事告訴しないからもう帰っていい」と連絡がありホッとして帰宅した。
観光地なので組関係の家族もおり、もしその家族にぶつかっていたら大変なことになっていたに違いない。
不幸中の幸いだったが、小さな子供を病院送りにするような加害者という立場になり犯罪者のような罪悪感に悩まされその晩は眠りにつけなかった。

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