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水沢ダウンとカナダグース

暖かい場所から寒いところに移ってもしばらくは大丈夫ですが、寒いところからもっと寒いところに移動するととんでもなく寒く感じます。冬の間は極力体温をうまく管理したい。そんなことを考えて冬はダウンを着ています。今日は愛用してきた二つのダウンについて書こうと思います。

相互補完的な二つのダウン

特に東京では近年「流行っている」と言っても過言ではない二着なので、読んでくださっている方の中にはお持ちの方もいると思いますが、水沢ダウンは日本のスポーツウェアメーカー・デサントから出ているもので、もう一方のカナダグースは北極や南極探検に適合する保温力を持つ防寒具として知られています。いずれも一般的にはファッションとして取り入れられていますが、どちらも実力は「本物」だと使っていてよく実感します。

水沢ダウンの良さ、カナダグースの良さ

水沢ダウンの優れた点は軽量かつ、中の羽毛が内側から出てこないことです。カナダグースはその点かなりの重厚感はそのまま重量に現れ羽織ると決して軽いとは感じません。しかしながら腕を通した時も、そしてファスナーを上げきった時も「ギュッ」と中の羽毛に包み込まれるようなフィット感を得られます。だからと言って可動域が制限されているような窮屈な感じもないので着心地は非常に良いですが、残念ながら中の羽毛は裏地から出てきてしまうため、スーツなどの上から羽織った場合、脱いだ時にローラーで「抜け毛処理」をしなくてはいけないという手間があります。明るい色のフリースなどの上からであればそれほど気にならないかもしれませんが、スーツに付くと目立つので、学生からかつて「先生は猫を飼っているんですか」と聞かれたことがあります。

(妻と会社の倉庫の屋上にて・カナダグース)

(工事の招待旅行の際の真冬のシドニー・水沢ダウン)

僕は真冬でも時に一日中外にいるのですが、仕事の性格上、狭い建物の間をすり抜けたりする必要があるのでスレや摩擦に強いのはどちらだろうと考えた結果、外の仕事の時にメインで着るダウンを厚手の生地で作られたカナダグース、それ以外の仕事の際に着るダウンをナイロンの薄手の生地の水沢ダウンにしました。しかしながらカナダグースは先に述べたように密着性が高いため、実は動くことで身体が発汗すると密着している裏地が濡れるほど汗を閉じ込めてしまうという難点があります。清潔に保つためには僕のような使い方をする場合、しっかりと風通しの良い場所で保管することが必須となります。一方で水沢ダウンは水洗いのクリーニングなどでこまめに洗うことができるんですが、僕は周りで溶接の火の粉が上から落ちてきたりする仕事場でダウンが必要なので、水沢ダウンでは耐久性が合格しません。そこに少なからずジレンマがあります。

また、カナダグースを外で使用する利点として、大きなポケットがついている事が上げられます。僕は仕事でも、手帳やiPad miniを持ち歩くのでパッと手ぶらになりたい時にそれらをポケットに入れられることはとても大きな利点となっています。水沢ダウンは内ポケットが1つ。サイドポケットが2つついていますが、ダウン自体が軽量なので、重いものを入れるようなポケットではありません。せいぜいマスクや薄手の財布を一時的にしまうために使うくらいです。カナダグースは胸ポケットx2、大サイドx2、小サイドx2、内ポケットx2と、ポケットの数で圧勝しますし、先端が尖ったもの(ハサミ、カッターナイフ、ペン類)を入れてもある程度は大丈夫だと信頼できます。水沢ダウンは軽量化したためにどうしても素材がそれほど強くないという点で、ペンすら入れたくないような、そう言った制約を感じます。

水沢ダウンで動いたら、デサント製ということもあって、きっと中で蒸れることはそうそうないのでしょうが、あいにく近年、全く動かない時に水沢ダウンを着て、カナダグースで動き回っているのでその点の検証ができていません。ただ共にサイドにベンチレーション(通気口)があることは暑く感じてきた際非常に実用的で、カナダグースでは多用しています。水沢ダウンは常にベンチレーションを開けっ放しにしていますが、その理由はファスナーを閉じていると少し閉じたファスナーが腕の内側を圧迫するためなので、通気性というよりは着心地を優先してそのようにしています。

別物として使い分けていく楽しさ

ざっと書いてみましたが、そのようにして悪く言えば一長一短があり、適した用途も強みもそれぞれ違う2つのダウンジャケットですが、いくら着ていてもやはり丈夫ですし頼もしいのでこれからも着分けながら末長く愛用していくつもりです。

( 文・写真 / 西澤伊織 )

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