戦う操縦士の還る場所
手元に何年も前から置いているのに、読むのをためらっている本が二冊ある。
アンネ・フランクの『アンネの日記』と、サン=テグジュペリの『戦う操縦士』だ。この2冊の本の作者との出会いは、私が小学生の頃だった。
私が通っていた小学校では、おそらく長崎の原爆投下の日(8月9日)が夏休みの登校日だった。その日は、戦争を学ぶ日になっていた。
私が当時住んでいた場所は戦時中、武器を製造していたため、アメリカ軍が原爆を投下する予定地にしていたという。ところが、当日は曇りで見通しが悪かったため