HOKUTO 9×9

土木技師。地球の環境を持続できる土木のあり方、農業や食等について学びながら、衣食住をと…

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土木技師。地球の環境を持続できる土木のあり方、農業や食等について学びながら、衣食住をとおした創作活動にも励んでいる。noteでは、『#ここで飲むしあわせ』の審査員特別賞他、受賞。本サイト内のマンガやイラストは、HOKUTO 9×9のきょうだい、AMOによる。週1回程度更新。

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闇の中の光

私にとって、最も理想的にお酒をたしなんでいる様子が描かれている小説は「夜は短し歩けよ乙女」という、森見登美彦さんの作品である。 この小説は有名なので、ご存知の方も多いと思うが、簡単に紹介すると、黒髪の乙女と彼女に恋する大学のサークルの先輩との、偶然に装われた度々の奇遇の出会いを軸に摩訶不思議な物語が展開する、京都を舞台にした冒険活劇である。 黒髪の乙女という主人公は、変態オジサンに会おうとも、突然演劇の主役を任されようとも、街中に風邪が蔓延しようとも飄々と楽しげに切り抜け

    • 学者の暴走を止める方法

      イーロン・マスクにX(旧twitter)が買収されて以来、様々な人の投稿を見るようになった。 立派な経歴を持った著名な学者の投稿もあって、結構、勉強になる。 ただ見ていて不思議に感じるのが、多くの学者が右か左かに思考に傾倒しており、それぞれが持つ長所と短所を科学的に論証した上で、提示できる人がほとんどいないことだ。 そして、最近よく目につく投稿と言えば、例えば左の意見の学者が、同じく左側の学者と、言った言わない、理論が間違っていると叩き合っていたりする。 私は、その学者らの

      • 仕事に王道なし

        私は、仕事の要領がかなり悪い。 人よりも物事を理解するのに、倍かかるからだと思う。 その分、人の倍苦労し、努力していると私は自負しているが、周囲はいつも飄々としてると言う。 この血もにじみ、血反吐も吹き出さんばかりの苦労を同僚にいかに知らしめてやろうかと、策を練ったことがある。 でも、バカバカしくなってやめた。 どうやっても分かり合えない人も、もちろんたくさんいるけれど、私を気に入って、頼りにしてくれる人も同じくらいいる。 だから、苦労が出ないのは長所で、仕事をうまく回転させ

        • 月の夜に黄金の花

          私の今までの会社人生の中で、最高のメンバーに囲まれていたと感じる時期は、一回だけある。 それは、会社に入社して一年目から二年目までのことだ。 当時私が所属していた山奥の建設現場では、大規模な地すべりが発生していた。 その対策工事に加え、一般の建設工事も重なり、ある意味では黄金期を迎えていた。そのため、全国各地の様々な会社から、最強のプロフェッショナルたちが集結していた。 これ以上のメンバーが集まることは、これからの私の会社人生ではきっともうない。それくらい、彼らの知識と、技

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          あをによし

          祖父のことを思い出さない日はない。 破天荒で、頭がよく、意地の悪い、とんでもないじいさんで、名言の数々を遺した。 だから、どこかで祖父が言い放った言葉がふっと出てきてしまう。 最も強烈な記憶として残っているのが、亡くなる間近のことで、救急病院の集中治療室での傍若無人な祖父の言葉だ。 祖父のところに家族で見舞いに行ったら、祖父は私にチャーター機を病院の前に着けて、沖縄に連れて行ってくれという。 沖縄好きだった祖父は、何度も沖縄の地を踏んだ。 その旅行のうちの最後の一回は、私

          あをによし

          君たちはどう生きるか

          私の仕事は、年度末が繁忙期になる。 だから、ちょうど今、山のように仕事が積み重なっている。 以前は、血反吐をはきそうと思いながら、すごい勢いで働いていたけれど、終わらせることができるという妙な自信がある今は、緩急つけて、のらりくらりこなしている。 とはいっても、設計方針が急に変わることもあったりして、ドタバタしている。 先日は、できあがった設計の見直しをしていたら、重大なミスを発見した。焦ったその瞬間、コップを倒し、机の上をお茶びたしにしてしまった。 慌てるほど、負のスパイ

          君たちはどう生きるか

          農業ノススメ

          前回、能登半島での地震とそこに住む農家だった祖母、そして会社の同僚、ピコ太郎について記した。 今回は、その続きから記そうと思う。 地震の影響が少しは収まっているのを見計らって、先々週(1月末)、祖母の施設職員の皆さんと、祖母に宛ててお菓子を送った。 実は祖母には、パンデミックから会えておらず、LINEのビデオ通話でずっと面会している。 昨年の暮れ、祖母と画面上で会った時、施設の方からいただいたという飴を、嬉しそうに見せてくれた。それが脳裏にこびりついていて、飴も何種類か同

          農業ノススメ

          身土不二

          私の祖母は、生まれた時から、ずっと今まで石川県の能登半島に住んでいる。しかも、ほとんどそこから出たことがない。 昔の日本人は、住んでいる土地と、人は切り離すことができないという、身土不二と呼ばれる仏教的な思想があったというが、それに近い生き方を農家であった祖母は、意図せず実践していたのかもしれない。 数年前の冬、突き刺すほどの寒い日に、独り暮らしだった祖母は、自宅で倒れて動けなくなり、低体温症になっているところを発見された。 その後、救急病院で手術を受け、一命をとりとめたも

          身土不二

          酒仙人

          かつて、会社の上司だった人は「俺たちは、文字どおりの水商売だからな」と、よく私に言っていた。 水商売とは、まるで水のように、収入が安定しない仕事のことを意味するそうだが、私たちのそれは、家庭の上水、工業用水、農業用水等の水を送るための施設を造ったり、改築したりすることなので、間接的ではあるものの、確かに、文字どおり水を商売にしていると納得した。 そして、その言葉いいな、と思った。 一般的に、土木屋は、酒好きが多い。 だから、飲み会の時は、三国志のリアル張飛が大勢集まったよう

          地図と拳と掌

          奈良県にある東大寺には、創建された当初から、絶えることなく続いている、『修二会』と呼ばれる法要がある。 正式名称は、『十一面侮過法要』といい、東大寺の二月堂の秘仏、十一面観音菩薩の前で罪を懺悔し、国の安寧や、五穀豊穣、人々の健康や幸せ等を祈願するものだそうだ。 その儀式の中に、『お水取り』と呼ばれるものがある。 『お水取り』とは、若狭国(現福井県)から地下をとおり、二月堂にある若狭井に香水と呼ばれる水が届く(お水送り)と言われており、それを組み上げて、十一面観音菩薩にお供えす

          地図と拳と掌

          チポリーノの食い倒れツアー

          兄弟のひとり、チポリーノは、私が住むところから、遠く離れたところに住んでいる。 だから、チポリーノに会いに行くのが、ちょっとした旅行だ。 認めたくないが、私は方向音痴である。 森見登美彦さんの小説、『夜は短し歩けよ乙女』の聖地、下鴨神社に向かうべく、最寄りの駅で降りて歩いたら、気が付いた時には、そのだいぶ北側にある上賀茂神社に到着していたことがある。 つい最近も、チポリーノの住むアパートへ向かう途中、何回か行ったことがあるにも関わらず、道に迷ってしまった。 チポリーノは、

          チポリーノの食い倒れツアー

          港の喫茶店

          学校の教科の中で、私は音楽が最も苦手だった。 楽器の演奏は苦手で、特に苦手なのが、歌だった。歌のテストの度、音程がとんでもなく外れていることに気付くのに、調節することが全くできず、どうしよもなかった。 音楽の才能は努力してもどうにもならない天賦のものなんだと、自分の音痴を完全に諦めて受け入れたのが、テレビで夏川りみさんの歌声を聴いたときだった。 その時、りみさんが歌ったのは、谷村新司さんからいただいた曲『ココロツタエ』だ。 圧倒的なスケールの歌詞とリズムと音程の中に、りみさ

          港の喫茶店

          一期一会

          かつて鉄の工業都市として有名だった地では、『シャボン玉石けん』さんのCMが日々流れていました。 その曲は、私にとっての子守唄でした。 先日、Money for Goodさんと、noteさんで開催された投稿企画の『#推したい会社』で入賞しました。 審査員の皆様、Money for Good noteのご担当者様、noteのご担当者様、その他多くの皆様、そして『シャボン玉石けん』様、本当にありがとうございました。 『#推したい会社』として、何らかの企業を推す、ということに、

          一期一会

          全てを味方に変える方法

          学生時代、ほんの数ヶ月だけ合気道部に所属していたことがある。 合気道とは、攻撃してくる相手の気を利用して、攻撃し返すという護身術で、有名どころでは、あだち充さんのマンガ『タッチ』の登場人物である新田由加がその達人だそうだが、未だにどんなものかさっぱりわからない。 そんな私が、合気道部に入った理由は、スポーツをやっていれば内申点がよくなるとか、ドラマで観るような合気道刑事の存在に憧れていたからじゃないかと思う。 所属してしばらくの間は、攻撃された時の倒れ方、つまり、受け身の練

          全てを味方に変える方法

          食わず嫌い克服の旅

          まだ土木技術者の卵だった頃、滋賀県の長浜市というところに赴任した。 今まで色んな所を転々としてきたが、その中でもそこが最も好きだ。 田舎だけど、全然不便じゃなくて、とても住みやすい、水と山の神様にまるで愛されているような不思議な地だった。 そこに住んでいるときの記憶のほとんどは、仕事ではなく、お酒だ。 職場には、私より若い人はおらず、ほとんどがふたまわり以上、年上。でも、今思い返してみても、結構しあわせだったような気がする。 寮の食堂で、単身赴任の同僚たちと毎週金曜日の夜

          食わず嫌い克服の旅

          しあわせの選択肢

          先日、noteで親しくさせていただいている方とお話していた時、私は本当は橋をつくる土木技術者になりたかったんだ、ということを思い出した。 私は、かつて、世界屈指の鉄を生産していた、工業都市の中で育った。 そんな街のシンボルマークは、海の上を駆ける、真っ赤な力強い鉄の橋だった。その橋の圧倒的なパワーに憧れて、小さな頃から、いつか私も、もっとすごい橋をつくるんだと思っていた。 そして、自分には無限の可能性があって、将来は土木屋だけじゃなくて、何にでもなれると信じ続けていた。

          しあわせの選択肢