2024年5月の記事一覧
「うやまわんわん〜犬将軍を崇める一族〜」第一章 館林(その1)
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トーストのパンくずがついた皿を流しにさげると、調理台の上に置いてあるお盆を手にとった。
お盆の上には、赤いごはんに豚肉と白菜の煮物をかけ、焼いたバナナをトッピングした料理がのっている。
「また赤飯のやつ?」
食卓でワイドショーを観ている母に声をかけると、
「赤飯じゃなくて黒米ごはん。からだにいいのよ」
一瞬たりともテレビから目を離さないまま、母は言った。僕との会話より、熱帯夜の快眠法
「うやまわんわん〜犬将軍を崇める一族〜」第一章 館林(その2)
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「あっ、そうだ。〝空飛ぶペンギン〟って知ってる?」
終点の池袋でおりると、狛音がいま思いついたみたいに言い出した。僕らはホームの人の流れに乗って改札口にむかっていた。
「サンシャイン水族館のでしょ。テレビでやってた」
構内のアナウンスに負けないよう声を張ると、
「あたし、見てみたかったんだよね。行ってみよう」
池袋駅を一歩出ると、照明弾のような太陽が僕らの目を射た。
青く澄んだ夏の
「うやまわんわん〜犬将軍を崇める一族〜」第一章 館林(その3)
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普段どおり、制服を着て8時すぎに家をでた。東から射す新鮮な光が熱っぽく僕を包みこむ。
今朝も母は素っ気なかったが、黙ってトーストにベーコンエッグをつけてくれた。だが、カバンには着替えとお泊りセット、そしてぬいぐるみが入っていた。僕はすこし胸が痛んだ。
いつものように、小次郎に朝食を持っていった。牛しゃぶごはんだったので、皿までペロペロなめていた。
なにかを察知されたのか、玄関を出るとき、う