見出し画像

JAZZ新譜レビュー 前編【2020.6 146】

2020年6月20日発刊のintoxicate 146、お茶の間レビュー掲載のJAZZの新譜7枚をご紹介!

※JAZZ新譜レビュー後編【2020.6 146】はこちら

画像8

intoxicate 146


画像1

①【JAZZ】
アメリカーナ

Gregoire Maret(harmonica)Romain Collin(p,Moog Taurus,pump organ & additional effects)Bill Frisell(electric guitar, acoustic guitar & banjo)Clarence Penn( ds)
[Act Music KKE104]

穏やかで暖かみのあるハーモニカの音色で幕を開ける《Brothers in Arms》。この、ダイアー・ストレイツの名曲と、続くフリゼールのオリジナル《S mall Town》など、スロウ~ミディアム・テンポで紡がれる心地よい演奏。アメリカの広大な原風景を想起させるような郷愁感にあふれるサウンドは、その優しいメロディも相まって、一貫した穏やかさで胸にじーんと響く。ハーモニカとピアノがメインだが、絶妙な「間」で空間を表現するフリゼールのギターがさすがの貫禄を見せつける。アメリカのルーツ・ミュージックを細で奥ゆかしいロマンチシズムで彩った傑作だ。 (新宿店 栗原隆行)

画像2

②【JAZZ】
ニューヨーク・パラドックス

Quantar:Asaf Yuria(ts,ss)
Alexander Levin (ts) Eden Ladin(p)Omer Avital(b) Ofri Nehemya (ds)
[JAZZ&PEOPLE/ キングインターナショナル KKE105]

ニューヨークの現代ジャズシーンに、イスラエル独自のアプローチで一つのムーヴメントを起こしたパイオニア。既に確固たる地位を築きながらも精力的に活動を続けるオメル・アヴィタルのレギュラー・ユニットによる本作は、オープニング・トラックの、パワフルなグルーヴと2管のユニゾンによるテーマから始まる《Shabazi》で、既にテンションは最高潮! 全てイスラエルのミュージシャンから成り、日常生活を共にし、演奏を重ねることで結束を強めてきたこのクインテット。編集や修正は一切なし。その場の空気の熱さが伝わる生々しい録音は、ユニットのコンディションの素晴らしさを表している。(新宿店 栗原隆行)

画像3

③【JAZZ】【CD/LP】
Be Water

Christian Sands(p, key, vo, fenderrhodes, hammond B2)
Yasushi Nakamura(b)Clarence Penn(ds)Marvin Sewel(lg)他
[Mack Avenue Records MAC1170(CD) MAC1170(LP)] 〈輸入盤〉

クリスチャン・マクブライドのピアニストとしてジャズファンから絶大な信頼をよせられているクリスチャン・サンズのニュー・アルバム『Be Water』がついに発売。過去の2作が、ジャズ、アフロ・キューバン、ソウル、R&Bの要素を見事に混合させた独自の音世界の作品だったが、本作ではそのアプローチをさらに進化させ見事なピアノ・トリオの音楽を作り上げている。ブルース・リーの言葉にインスパイアされ「水の持つ流動性」をテーマに作り上げた本作は、静かに変化をし続ける心地の良い空間を作り出した。また、サンズは武道、東洋哲学に造詣が深いということだ。(荻原慎介)

画像4

④【JAZZ】
パースエンス: ザ・コルトレーンズ

Lakecia Benjamin(sax)
[Ropeadope RAD535] 〈輸入盤〉

スティーヴィー・ワンダーやアリシア・キーズなどと共演しポップシーンでも華々しく活躍するサックス奏者、ローパドープからの2作目はフュージョニックなファンクネスを展開した前作と打って変わってコルトレーン夫妻の楽曲に挑戦。ラシッド・アリとも共演する彼女にとって重要なアイデンティティだろう。ゲイリー・バーツやディー・ディー・ブリッジウォーターからマーカス・ストリックランド、ブランディ・ヤンガーなどなど往年の名手から最前線のプレイヤーを多く招き、そのスピリチュアリティは説得力がありつつも絶妙に現代的にアップデートされており、カマシに準えるならば間違いなく彼女が筆頭。(渋谷店 片切真吾)

画像5

⑤【JAZZ】
Modes Of Communication:Letters From The Underworlds

Nduduzo Makhathini(p)
[Blue Note Records 0859689]  〈輸入盤〉

シャバカ・ハッチングスのアンセスターズに参加する南アフリカのピアニスト、ンドゥドゥゾ・マカティニのリーダー作を何とブルーノートがリリース。インパルスじゃないんだ…! という驚きもありつつ、BN史上初の南アフリカ人との契約だそうで。マッコイ・タイナーの影響下にあるモーダルなプレイに加え、南アの偉大なる先人ダラー・ブランドに通じる美しさと大らかな響きはスピリチュアルはスピリチュアルでもアンセスターズでのプレイとは一味も二味も違った魅力にあふれている。参加メンバーは妻のソウルフルなヴォーカル他南ア勢に加えBNからはローガン・リチャードソンが参加し華を添えている。(渋谷店 片切真吾)

画像6

⑥【JAZZ】
Transylvanian Folk Songs - The Bela Bartok Field Recordings

Lucian Ban(p)John Surman(sax)
Mat Maneri(vn, va)
[Sunnyside Communications SSC1580]  〈輸入盤〉

ルーマニア出身のピアニスト、ルシアン・バンが盟友のマット・マネリ、そして英国を代表するサックス奏者、ジョン・サーマンを迎え祖国ルーマニアが生んだ偉大な作曲家で民俗音楽研究家でもあるバルトークが採集した“ルーマニアの民俗音楽”を演奏。面子もテーマもECM的であり、実際ルシアンとマットのデュオでECMからトランシルバニアでの実況盤のリリース歴はあるものの本作はサニーサイドから。サニーサイドでは2016年作でも彼の地のトラッドを取り上げており、それは静寂よりもラフさを求めてのことなのかもしれない。紐解かれた土地の記憶を三者が再び織りなす様が魂を直に揺さぶる。(渋谷店 片切真吾)

画像7

⑦【JAZZ】【LP】
THESE DAYS

DANIEL CASIMIR & TESS HIRST
[JAZZ RE:FRESHED JRF0019(LP)] 〈輸入盤〉

ヌビア・ガルシアやビンカー・ゴールディングスのグループ、マカヤ・マクレイヴンの〈ユニバーサル・ビーイングス〉にロンドン勢として参加したシーンを代表するベーシスト、ダニエル・カシミールがシンガー、テス・ハーストと共同名義でアルバム・デビュー。2017年作のEPにはジョー・アーモン・ジョーンズやモーゼス・ボイドが参加していたがテス以外のメンバーを一新、コートニー・パインとも関係の深いベテラン、ロバート・ミッチェルらと流麗でグルーヴィなコンテンポラリー・ジャズを披露。エスペランサにも通じる、自由で美しいフィーリングで飛び回るテスのヴォーカルがとにかく心地よい。(渋谷店 片切真吾)


▶続きはこちら!
JAZZ新譜レビュー後編【2020.6 146】


▲Twitter
https://twitter.com/intoxicate3
▲Facebook
https://www.facebook.com/tower.intoxicate/
▲Instagram
https://www.instagram.com/tower_intoxicate/
▲タワーオンライン(本誌オンライン販売)
https://tower.jp/article/campaign/2013/12/25/03/01


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?