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〈JAZZお茶の間ヴューイング〉カーク・ウェイラム (Kirk Whalum)インタヴュー【2020.2 144】

■この記事は…
2020年2月20日発刊のintoxicate 144〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された、サックス奏者、カーク・ウェイラム (Kirk Whalum)のインタビューです。

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intoxicate 144


カーク・ウェイラムa

撮影 : 佐藤 拓央 Photo by Takuo Sato

今こそ僕たちはひとつになれるということを世界に伝えたい

interview&text:早田和音

 「この『Humanité』というアルバムを作ろうと決心したのは60歳の誕生日。その日、自分の人生を振り返ってみたら、40歳から60歳までの20年間がまるでわずか2週間のように思えた。だとすると、僕はあと2週間で80歳になってしまうわけだ(笑)。時の流れは驚くほど速い。それならば、自分の夢を実現させるのが自分にとって一番のバースデイ・プレゼントになるだろうと。すぐさま、長年の夢であった、世界各国の若いミュージシャンや友人たちとコラボレーションするアルバムの制作に着手したんだ」


 ウェイラムが語るように、このアルバムには、マーカス・ミラー、松居慶子、リアナ・キャロルら、ウェイラムの盟友とも言うべきビッグ・アーティストが多数参加しているだけでなく、マーカスと火の出るようなベース・バトルを繰り広げるバリー・リクマフワや、雅楽のサウンドを取り入れたHeaveneseなど、ウェイラムが世界各国を旅する中で知り合った若いミュージシャンも数多く抜擢されているのがとても印象的だ。


 「それにはふたつのテーマが大きく関係しているんだ。ひとつは、若い人が持っているエネルギーと僕の知識・経験をシェアし合うということ。彼らの持っているパワーは僕の力を呼び覚ましてくれる。そして僕が培ってきた経験はキャリアの浅い彼らにとっての有益なガイダンスになる。互いに異なる美点を分かち合うことで、みんなが自分たちの音楽を高めることができると思ったんだ。それともうひとつのテーマは、僕たち人間が抱えているパラドックスを描きたいということ。僕たちはそれぞれに個性的だ。得意なことも違うし、考え方、信ずるものなど、みんな異なっている。けれども、愛されたい、認められたいという基本的な願いは誰もが同じ。僕がこのアルバムに込めたメッセージは、互いの違いを認め合えば、僕たちはひとつになれるということなんだ」


 確かに、このアルバムには、“Humanité” というタイトルに相応しい、友愛に満ちた音楽が溢れている。そのポジティヴなエネルギーを最も強く感じさせてくれる曲が、ウェイラムがサックスだけでなくソウルフルなヴォーカルも披露する《Blow 4U》だ。


 「この曲は、神の教えやゴスペルの精神を僕の音楽として表現している。孤独を感じている人、疎外感を抱えている人、大勢の人々が深刻な問題に直面している。でもあなたはひとりではない。神が常に見守っていてくれる。この曲の歌詞は、そのメッセージを伝えるもの。世界のさまざまな場所で紛争が起こり、人々への抑圧が広がっている現代。このアルバムはそんな世界へのメッセージでもあるんだ」


カーク・ウェイラムj

Humanité
Kirk Whalum(ss, ts)James McMillan(key, perc, programming,etc),
John Stoddard(key, moog, wurlitzer, etc)Marcus Finnie(ds)
Kevin Turner(g)and Many Guests…
[Artistry Music/King International KKJ-028] 


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