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〈JAZZお茶の間ヴューイング〉 DEZOLVE(ディゾルブ)インタヴュー【2020.2 144】

■この記事は…
2020年2月20日発刊のintoxicate 144〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された、インストゥルメンタルフュージョンバンド・DEZOLVE(ディゾルブ)のインタビューです。

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intoxicate 144


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音楽性、ジャンル、あらゆる境界線を越えて、DEZOLVE未開の地が今開かれる!

interview & text:北野創

 世界的な和モノ再評価の波と連動してJ フュージョンにも改めて注目が集まる昨今。その伝統を継承しつつ、メンバー全員20代という新世代ならではの感性と柔軟な発想を持ち合わせたフュージョン・バンド、DEZOLVEの音楽は、今こそ耳にしておくべきだと断言したい。北川翔也(g)、友田ジュン(key)、小栢伸五(b)、山本真央樹(dr)のメンバー各自が、プレイヤーおよびコンポーザーとして第一線で活躍するなか、2014年の結成から年1 枚のペースでアルバムを制作し、自らの音楽性を更新してきた彼ら。本田雅人(sax)をゲストに迎えた前作『AREA』(2019年)では、8分超のプログレッシブな楽曲にも取り組んで壮大な作風を確立したが、通算5 枚目となる今回のニュー・アルバム『Frontiers』は、そこから一転、カラフルで様々な広がりを生む作品に仕上がっている。


 「前作は一曲一曲にストーリーがあって、クラシックの組曲を作るような感覚で曲を書いていたんですけど、今回は逆に一曲ごとを作品として楽しんでもらえるようなものにしようと考えていました」(山本)。


 「曲の長さは前作より短いけど、その中にいろんな要素を上手く散りばめて、コンパクトだけどボリューミーになるよう意識しました。わかりやすさという意味では、今までの作品でいちばんポップだと思います」(北川)。


 テクニカルな演奏を惜しげもなく詰め込んだ《Frontiers》をはじめ、従来のフュージョンらしさを明快に打ち出した楽曲がある一方で、〈境界線を超える〉というテーマのもと、あらゆる国やジャンルの音楽を取り入れることでポップさを獲得した本作。メンバーがリハ後によく行く隠れ家的なインドカレー屋をイメージしたという《Hidden Sanctuary》では、タブラやシタールに加えて、山本がコナッコルという南インド由来の口ドラムを披露していたり、中華風のメロディが踊る二胡入りのハードフュージョン《Across the Silk Road》、J・ディラ〜ネオソウル以降のよれたリズムアプローチに挑戦した《Wolf》など、まさに越境的なサウンドを展開している。その中でもひと際トピカルな楽曲が、インストバンドという境界までをも超えてみせたDEZOLVE 初のボーカル曲《re:fruition》だ。歌うのは、アニメ音楽のフィールドを中心に活躍するシンガー・ソングライター、やなぎなぎ。2019年に行われた彼女の台湾公演をDEZOLVEの4人がサポートした縁により実現したこのコラボは、どこか影を帯びつつもクールに疾走するバンドの演奏と、アニソン的な旨味を感じさせるメリハリの効いた曲構成、やなぎの艶やかな美声が融合した逸曲に結実している。


 「ダークな声音も明るい声音も出せて、歌唱力もあって、DEZOLVEの音楽をいい意味で壊さないボーカルを考えたときに、満場一致でなぎさんしかいないという意見になって。Aメロ・BメロはDEZOLVEに寄せたメロですが、サビは歌が映えるように、アニメのタイアップが決まってもおかしくないぐらいキャッチーにしました。コード進行もDEZOLVEとしてはポップ過ぎかな?と思うぐらい攻めています」(山本)。


 「DEZOLVEでは初の歌ものだったので、いかに歌を邪魔することなく、いつものテンション感を忍ばせるかを考えるのは、新しい挑戦でしたね」(北川)。


 また、ライヴでお客さんと一緒に歌えるようにチャントのような合唱パートを入れたという《ASTERISK》では、初めてメンバー4人で共作。各々が個別で作った楽曲を持ち寄り、それを合わせることで1 曲に仕上げている。フュージョン・バンドとしての矜持を芯に置きつつ、枠に捉われない自由なアイデアを詰め込んだ本作は、DEZOLVE にとって新たなフロンティアを感じさせる一枚になったことは間違いない。


 「インストの曲が並ぶ中に歌入りの曲が入っても全く違和感のないものが書けたのは感慨深いし、他にもいろんなチャレンジができたので、これは毎度言ってますけど最高傑作になりました(笑)」(山本)


 「今後はメンバーの中の二人で共作したり、新しい作曲方法にもチャレンジしてみたいです。そうすることでお互いの得意な分野同士が融合して、新しい楽曲が生まれると思うので」(北川)


■DEZOLVE (ディゾルブ)プロフィール
2014年結成、平均年齢25.5 歳の4 人組インストゥルメンタルフュージョンバンド。メンバー1人ひとりが異なる系統の音楽からインスパイアされ昇華していくプレイ・楽曲は、老若男女問わず多方面から高い評価を得る。正統派サウンドに様々なジャンルを取り入れ、若い感性を活かしながら唯一無二の表現を追求し続けている。


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『Frontiers』
DEZOLVE
[キングレコード KICJ-828]


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