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JAZZ新譜レビュー 前編【2020.2 144】

2020年2月20日発刊のintoxicate 144、お茶の間レビュー掲載のJAZZの新譜7枚をご紹介!

※JAZZ新譜レビュー後編【2020.2 144】はこちら

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intoxicate 144


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①【JAZZ】【CD/LP】
Suite for Max Brown

Jeff Parker(g)
[HEADZ HEADZ 244] [Nonesuch NNS6249711(LP)]

大反響を得た前作から引き続き参加の主要メンバーに、マカヤ・マクレイヴンとジェイ・ベルローズという2人のドラマーも加えた贅沢極まりない新作が完成した。ジェフの情感溢れるギターが美しいジョン・コルトレーン《After The Rain》のカヴァーや、ジェフ~マカヤ~ポール・ブライアンの3 名で飛びきりグルーヴィな演奏を繰り出す《Go Away》などバンドのダイナミズムを伝える楽曲に、ジェフ単独のテクノな耳にも馴染みむ《Fusio n Swirl》、アンビエント風な《Metamorphoses》もあり、彼が年数をかけて追及してきた生演奏とビートメイカー的な側面が再び理想的なかたちで結実している。(青木正之)

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②【JAZZ】【CD/LP】
フォールデン・ロード

Neue Grafik Ensemble
[P-VINE  PCD-20419(CD)Total Refreshment Centre TRC003(LP)]

5〜60年代に刊行されたグラフィック・デザイン誌『ノイエ・グラフィーク』からその名を採ったフランス出身、現在はロンドンをベースに活動し、テンダーロニアスの22aからのリリースもある新進ビートメイカー、ニュー・グラフィック。生演奏を主体としたアンサンブル名義の本作でマルチ・インストゥルメンタリストぶりを存分に発揮。南ロンドンシーンの最重要サックス奏者ヌビア・ガルシアなども迎え、アフロでソウル、そしてジャズなグルーヴは洗練しつつフィジカルに直に訴え、無条件にカッコいい。ディーゴ~カマール・ウィリアムス、そしてジョー=アーモン・ジョーンズの流れで聴きたい。(渋谷店 片切真吾)

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③【JAZZ】【CD/LP】
ライブ・オン・ザ・グリーン・スペシャル・エディション

Sam Wilkes(b)
[ASTROLLAGE ASGE30(CD)
Leaving Records / Stones Throw LPLR161(LP)]

ルイス・コールグループの一員としても活動するベーシスト、サム・ウィルクス。2018年にリリースされた作品ではそのルイス・コールなどを迎え特異なアンビエント・ジャズを展開していたが、盟友サックス奏者、サム・ゲンデルら初作参加コアメンバーとの実況盤。その特異な空間は今作でも作り上げられているが、より実験性の高い即興によるスリルと楽曲のヴァリエーションの拡がりがある。アリス・コルトレーンのカヴァーもあり、フライング・ロータスを始めとするLAマナーなスピリチュアリティも垣間見せつつもそのオリジナリティは圧倒的。リオの若き鬼才ペドロ・マルティンスも1曲参加。(渋谷店 片切真吾)

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④【JAZZ】【CD/LP】
Within You Is a World of Spring

Alice Zawadzki(vo,vn)
[Whirlwind Recordings CDWWR4746  WR4746LP]  〈輸入盤〉

これは凄い…ロンドンからシンガー兼ヴァイオリン奏者アリス・ザワツキがキット・ダウンズなどを迎えたデビュー作から5年ぶり2作目を発表。カテゴライズを放棄させるほど自由で驚きに溢れた世界は現代音楽からケルト、フリーインプロから美麗チェンバーなどなど。弦楽四重奏とリズムセクションを軸に韓国の竹製横笛テグム奏者ヘリム・キムやエディションからのリリースもあるギタリスト、ロブ・ラフトを迎え、時に緊張感漲り、時に激しくプログレッシヴに展開し一時も耳が離せない。何にも似ていないが、強いて言うならベッカ・スティーヴンスのアティチュードに魅力を感じているのであれば是非。(渋谷店 片切真吾)

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⑤【JAZZ】
マイルス・デイビス: バース・オブ・ザ・クール

Miles Davis(tp)
[Sony Music Japan International(SMJI) SICP-6248]

2019年サンダンス映画祭でプレミア上映されたマイルス・デイヴィスの最新ドキュメンタリー・フィルム『Miles Davis: Birth Of The Cool』。そのサウンドトラック盤が本作で、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、カルロス・サンタナらのリアルな証言を曲間に入れ、《マイルストーンズ》、《ソー・ホワット》、《TUTU》といった代表曲を年代順に配列した究極のベスト・コンピレーション。ラストの楽曲《Hail To The Real Chief》は未発表音源にレニー・ホワイトの書き下ろし曲を加え、マーカス・ミラー、ジョン・スコフィールドも参加した“新録音”。(馬場雅之)

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⑥【JAZZ】
ザ・ムーヴメント・リヴィジテッド

Christian McBride(b, composer,arranger)
Sonia Sanchez(narrates the words of Rosa Parks)他
[ Mack Avenue/ King International KKE103]  〈輸入盤〉

クリスチャン・マクブライドの新作は公民権運動を主題とした、4人(ローザ・パークス、マルコムX、モハメド・アリ、キング牧師)の「アイコンへの、そしてアメリカの象徴的な出来事への音楽トリビュートだ」。4人のメッセージの朗読、ローザ・パークスが語るマルコムXとキング牧師、マルコムXが語るモハメド・アリ、それぞれに捧げられた楽曲という構成で、壮大な内容とその熱量は圧巻だ。1998年に作曲依頼され、数回の公演を経て制作を継続し20年の時を費やして本作を完成させた苦労は並々ならぬものであったろう。社会の分断化が進むなかで、本作の試みは素晴らしいものだ。(荻原慎介)

SICJ10012_ライヴ・イヴルーSA-CDマルチ・ハイブリッド・エディションー

⑦【JAZZ】
ライヴ・イヴル

Miles Davis(tp)
[Sony Music Japan International(SMJI) SICP-20063(Blu-spec CD)
SICJ-10012(SACD ハイブリッド)]  〈高音質〉

マイルス'72年の名盤が4ch、2chで聴ける上にSACD、CDで聴けるという優れもの。同一企画として以前《ビッチェス・ブリュー》が発売されていた。自宅で4ch のシステムなんてなかなかないが二台のP Cとファイルを再生ソフトがあれば、4ch 分のステムを同梱してくれればなんとか自宅でも再生できそうではある。グレン・グールドのシベリウスのCDではオリジナルミックスが楽しめるという企画があったのを思い出す。ともあれエルムート・パスコアルとマイルスの《Nem Um Travez》の武満徹の弦楽のレクイエムを彷彿とさせるクロマティツクなメロディをいつか4chで再生してみたい。 (高見一樹)

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