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「運命の人─微妙な気持ちも、めんどくささも」公募インタビュー#30

〈堀さん(仮名) 2021年7月中旬〉

堀さんは「私の運命の人」というテーマでお話をしたい、と応募してくださいました。その人とはひと月ほど前に初めて会い、翌日にはお互いに思いを伝え合ったそう。知り合いにはオープンにしにくい話の聞き手として、インタビュアー田中を思い出してくださったとのことでした。

──運命というと、初めて会った瞬間に何か感じたのでしょうか?

堀さん それはちょっと違って、びびっときたと言うよりは、しゃべっていくうちに感じたことなんですけど。

出会いは暇つぶしから

堀さん もともと会ったのは、ええと……いわゆるマッチングアプリでなんですね。それまで私はそういうのやったことなかったんですけど、気まぐれに始めて、初めて会ったのがその人だったんですよ。

 だから、正直、最初はアプリで会う人だしちょっと怖いなって思ってたんです。なのに、しゃべってたら、初めて会ったとは思えない謎の安心感を覚えて。

──マッチングアプリを使ったのは恋人を作るためとか、明確な目的があって?

堀さん そんな目的があんまりなかったのに出会ったということが、なおさら自分の中で衝撃というか。
 
 客観的に見ても主観的に見ても、自分の行動はクズだなーって思うんですけど、私、直前まで別の人と付き合っていたんですね。

 大学の同学年の人と付き合っていたんですけど、数ヶ月前からコロナもあって会えていないし、正直冷めてることを感じつつズルズル付き合っている感じだったので、次に会う時別れようとしていた、そんなタイミングでした。

 新学期が始まって、大学の授業もサークルも忙しくなってきて、目標も立てて充実していたしそれで十分だったんですね。今まで割と「寂しいから」っていう理由で「彼氏ほしいなー」とか思ってたんですけど、そういう感情が全然なくなって、彼氏に割く時間とかお金を勉強や他のことに使いたいなって思っていました。

 じゃあなんでマッチングアプリやってんの?って話なんですけど(笑)。ある時、予定が続けてつぶれたことがあって、あ、暇だなーと思って。

 大学で一番仲のいい友達がそういうアプリをやってて、聞くと面白い人がけっこういるわけですよ。ちょうどその話を聞いていた時でもあって、それで暇つぶし的に始めて。
 ほんと最初は、適当にやりとりしてるだけで会う気はなくて。別に恋人を作りたいモチベーションもなかったし、めっちゃいい人がいれば会うかー、ぐらいだったんですけど。

共通点に驚く

──マッチングアプリというのは、まずはプロフィールを見てやりとりが始まる?

堀さん そうですね。プロフィールを読んで、いいねボタンみたいなものをお互いに押すと、やりとりが始まります。

 (プロフィールを見たら)その人は私が通っている大学の大学院生で、親近感があって声をかけやすいなと思ったのと、研究内容も書いてあってそれにも興味あるなって思って。(写真は)別にかっこいいなとかは思わなくて(笑)、会うとしても一番(心理的な)ハードルが低くて、怖がらずに会えた、みたいなところはあるんですけど。

 まずはその人が研究していることの話や、自分が大学で学んでいることの話を(テキストチャットで)やりとりをしていたら、だんだん共通点が多いことがわかってきてびっくりしました。私がとろうとしているメジャーでもない資格をその人が既に複数持っていたり、一番好きな漫画は何か、という話になった時も、そんなに有名な漫画じゃないのにまったく同じ作品を選んだり。

 (アプリのテキストチャットのやりとりで)話が弾んだので、会おうという話になりました。

──どういうところで会ったんですか?

堀さん 私が「カレーが好きです」って言ったら、「カレー食べに行きましょう」ということになり、まずカレーを食べて、その後はカフェでだらだらしゃべって。初対面なのに5時間ぐらいしゃべり続けていました(笑)。 

安心感

堀さん 会って話したら、その人が趣味で行く土地が私の実家のある地域だということがわかって。私の実家は田舎で、県内に住んでいる人でも知らないようなところなんですね。だからすごい偶然だなと思って、それもびっくりしましたね。
 あと、これはささいなことですけど、(二人とも)寝る時にしろくまのぬいぐるみを抱いて寝るとか(笑)。そういう謎の共通点が多くて

 アプリで会う人なので、もともとは私も警戒していました。ヤリモク(※)の人とか、金銭的な目的の人もいるし、危険もあることは友達からも言われていたし、出来る限り個人情報を明かさないで一回会ってみるか、ぐらいの気持ちだったんですけど、あまりにも合う話題が多すぎて(笑)。地元の話もされちゃったから「ああ私そこ住んでますよ」とか普通に言っちゃって(笑)。

 いや、危険なことだっていうのはちゃんとわかってはいたんですけど、共通点もあって、向こうが開示してくれる情報もさらけ出している感じがして嘘じゃないんだろうなと思ったし、全然怖くなくなっていって、私も自分の情報をどんどん開示していくようになって。
 さすがに初日にここまでしゃべっちゃっていいのかな?って思うぐらい、自分の、個人情報を含め、パーソナルな部分をしゃべってしまいました。
 
 その人の雰囲気的にも、絶対ヤリモクでやってる人ではないなっていうのがわかったし。見た目的にはどっちかっていうと地味なタイプだったから、あ、そんなにびびんなくていいかなって、思ってしまいました(笑)。

 しゃべっていく中で、また会いたいですねーという話になったら、その人が「僕は、もし付き合っても、お金ないんで、けっこう家で会うんですよね。だからいつでも家に行きますし、僕の家にも来てください」と言ってて、まあ普通に聞いたらそれってめちゃくちゃ露骨な(誘いのような)感じがしますけど(笑)、いろいろしゃべった後にそう言われたら全然疑うような気持ちにならなくて。危険だけど、すごく信頼してしまって。ああなんかこの人、家に来ても本当に何もしないだろうなって思っちゃって。
 「次もどこかのカフェで会いましょう」という話をしていたんですけど、翌日「うちに来ますか?」って私のほうから言いました

※ヤリモク 一夜を共にする目的。婚活パーティーやネット婚活、SNSなどで知り合って連絡を取り合う目的がお付き合いすることではなく一夜を共にすることであること、あるいはそのような人のこと。参考:ベリーグッド

微妙な気持ちを共有できる人

──初日に会って、安心もできたし楽しかったということですが、恋愛感情のようなものも生まれていた?

堀さん 会っていて楽しいとか、安心感とかっていうのは友達にもある話ですけど、すごく合うなーって思ったことのもう一つに、価値観っていうか、美意識っていうか、「こういうものが好き」みたいなものが合ったということがあります。

 私は、なんだろう、うーん……ロマンティストなのか、「星を見るのが好きです」みたいなのがあって。恥ずかしいのであんまり人に共有するものでもないなと思うんですけど。例えば、最寄り駅の一つ手前で降りて、「夜の空気が好きだから歩いて帰る」みたいなことをするんです。無駄なことだけど、そういう感覚が自分の中でけっこう大事で。疲れていても、一人でぼーっとしながら歩くとか、景色を眺めるとか、そういうのが好きだったり。
 
 彼と会った時に、そんな話をちょっとして。私は大学がある二つ隣の駅まで行く道がすごく好きで、って話をしたんです。夜に通ると、繁華街がわーっとなってる喧騒の中から、だんだんだんだん静かになっていって、大学につながっていく、その感じがすごく好きなんです、って話をしたら、それがすごい伝わって。

 今までは(人に話すと)いや何で歩くの?歩くの無駄やんけ、みたいに言われることが多くて、あんまり共感されなかったことだったので、伝わったことがシンプルにうれしいなと思いました。

 向こうは「僕、海を見るのが好きで」みたいな話をしてて。夜に海で波が打ってるのを見てると、本当に神秘的で、身投げしたいような気持ちになる、って。死にたいとかじゃなくて、もう、海へ入っていきたくなるみたいな気持ちを感じるって言ってて。私、その微妙な、価値観……ではないな、美意識的なところ、それがすごくわかるなって思って。それもすごく安心感になったし、なんかすごく好きだなっていうか。

 私は、今まで3人ぐらいの人と付き合って、別れるたびに自分が恋人に求めることは何だろうって考えてたんですけど。結局、この微妙な気持ち、めんどくさいって思われるような感情を共有したい、みたいなのがずっとあって。突然きれいな空の写真を送って、笑わない人がいいっていうか。そういうのは私の中で大事な価値観だから。それに対して「何感傷にひたってんの、ロマンチストやん」みたいなことを言わない人がいいって思ってて。

 私は、ふさぎ込んでる時に一人であてもなくどこか星が見えるとこに行ったりとか、そういうことをしてたので、そういう一人になりたい気持ちとかが伝わるといいな、というか。私の悩みを直接解決してくれなくても、隣にいてそれを共有してるってわかる人がいたらいいなーと。それが恋人だったらすごくいいなーと思ってて。

 ずっとそう思ってたから、彼に会って、同じような美意識を共有してるんだなと思った時に、ああ、この人になら、きれいな空の話をしてもいいのかなと思った。それがすごく大きかったです。ずっと自分が隣にいる存在に求めていた、美意識みたいなものが一致したのが、すごく、わあーって思って(笑)。うれしかったな、と思いました。

 もし次にきれいな景色を見た時、私は他の人じゃなくてこの人にそれを言いたいなと思った。私はそういうことを言える相手が恋人であってほしいと思っていたので、ああ私この人のこと好きだなあ、って思いました。

──そういう人を探してたわけでもないけど、彼には共有できる感覚があった?

堀さん そうですね。アプリの、たくさんの人がいる中でたまたま選んだ人が同じような感覚を持ってる人だったということが、運命的な偶然性や衝撃度合いを高めてる要因でもあると思いますけど。それはびっくりしましたね。

「なんで来たんですか?」

──初めて会った翌日におうちに呼んだということでしたね。その時お付き合いしたいと伝えようと思っていた?

堀さん そうですね……なんかちょっと、家に来てもらう時まで若干不安がありました。いくら安心感を覚えたとは言え、アプリで会った次の日にうちに呼ぶって、とにかく聞こえは悪いじゃないですか(笑)。さすがに親には言えないようなことだし(笑)。

 そこで言おうと思っていたのは、ええと……私、それまで処女だったんですよね。何人かと付き合ったことはありましたけど、したことなくて。だから、その人に「私処女なんですけど」って言ってみたらどうなるんだろうなーと思って。

 たぶん、向こうはこんな、会って二日目に家で会おうとしてくる人、処女だとは思わないじゃないですか(笑)。それでもし「処女なんですよ」「今日は別にする気はないんですよ」という話をしたら、しかも家に呼んでっていう状況の中でどんな反応をするんだろうなと思って、それを聞いてみようと思ったんですよね。
 私はほとんど信頼してたし、安心してたし、この人のこういうとこ好きだなとか思ってたけど、一応確認というか、この人はどういう目的で会ってるのかなっていうのも知りたかったので。

 当日、家に来てもらって、ごはんを作って一緒に食べた後、私のほうから単刀直入に「なんで来たんですか?」って聞いたんですよね。向こうが答える前に「私、実は処女で、別にそういうことする気があってうちに呼んだわけではなくて」という話をしました。

 向こうはやっぱり処女じゃないと思っていたらしいですが、家に来たのはなんでですかという質問には、「僕も会った時の感じで、一緒にいたい、好きだなって思っていたけど、家に行くのは正直悩んでいた。このまま行って、セフレになりたくないから、すごく悩んだ」「だから僕は今日ゴムを持ってきてないです」って言ってて。それは悪い意味ではなくて(笑)、本当にする気がなくて持ってこなかったんだなって思って、ああやっぱり間違ってなかったなと。この人は、私が安心して信じた通り、やっぱり家に来てもしないんだなーと。

 ちょっと感じてた不安もなくなり、好きだと思ったことを安心して伝えられると思いました。結局は向こうから言ってもらったわけなんですけど、思いをお互いに伝え合いました。

──切り出した時は勇気がいったんじゃないですか?

堀さん うーん、それを言えたのも、彼だからなのかなあと思って。全体的な安心感みたいなのがすごくあったから、自分のプライベートな部分も言えたし、恥ずかしいことも聞けてしまった。ちょっと怖かったんですけど、そこはそんなに(勇気は必要なかった)って感じですね(笑)。

今までしてこなかった理由

──ちなみに、今までしてこなかったのは何か理由が?

堀さん うーん、付き合ってた人にもよるんですけど、それに溺れたくないみたいな抵抗は若干あって。結局大学生の恋愛なんて見栄と性欲でできているんじゃないかという偏見が私にはあって(笑)。それに終始するのはすごく嫌だなって思ってたんですけど。

 まあ、完全に内面的なものだけでつながれるとかきれいごとやんけとも思ってたし、だからけっこう適当に付き合って、やる寸前みたいなところまでいったことあるんですけど、ちょっとやだなと思って、最後は「やです」って言ったりとか。それはなんでだろうな。うーん。

 なんとなく、一回やってしまったら、セフレとは言わないまでも、名前は彼氏・彼女だけどそんぐらいのものになっちゃうのかなと思ってて。別に自分に性欲がないわけじゃないと思うんですけど、彼氏・彼女の関係をそれでつなぎたくないから、というのがあって、今までの人は断ったりしていました。
 シンプルに向こうが奥手すぎてまったく手を出してこなかったとか(笑)そういうのもあったりするんですけど、もともとそんなにやりたい気持ちがなくて。絶対守りたいとか、結婚するまでしませんとかそういう主義ではないんですけど。したいなと思える相手に会わなかったのもあると思うんですけど。

──今の彼とはやだなあっていう気持ちはないですか?

堀さん やだなあとは思わないし、一回やってしまったことでそれだけの関係に終始するとは思えないというか。私はこの人のこういうところが好きだとか、こういう部分に安心感を感じてるんだというのが確固として自分でもわかっていて、それはそういう行為以外の部分で感じてたから。別にそれがあってもなくても変わらないかなと思うので。 

1ヶ月の中で

──今、お付き合いしてから1ヶ月くらいでしたね。最初に会った頃の気持ちはずっと続いている?

堀さん 付き合って1週間とかで、まだ3、4回会ったくらいの頃、ちょっと不安になったことがありました。私が彼みたいな人のそばにいていいのかなと。

 私は大学学部生で、向こうは院生で、同じような興味分野なんですけど、向こうはちゃんと研究を深めている。(一方)私は大学に入って勉強もがんばってるつもりだけれども、学問的に深められてるかというと、中身のないことやってるなと思っていて。要は、私はバカで向こうはすごい人だって思っちゃって。
 
 恋人同士の関係に頭の良さは重要じゃないと思うんですけど、向こうがしてくれる研究の話に、思慮の浅いことは言えないなあって思い始めて、あ、これ言っていいのかなとか思って、しゃべれなくなってしまったんです。

 その時、同い年の友達に相談したんですよね。いろいろ経緯を話して、今自信がなくて、一緒にいていいのかなって思っちゃってるんだよねと。
 そしたら、最初に自分の思慮の浅い部分やだめな部分もさらけ出した上でしゃべって、向こうがそれを受け入れてくれたんだったら、それで嫌になったりバカにする人じゃないんじゃないの?って友達に言われました。

 それで、最初に覚えた安心感、自分の弱い部分をしゃべっても安心していられた感覚を思い出して、ああそうだよなーと。

 私はまだガキなんで、ちょっとしたことで揺らいだり、不安になったりすることもあるんですけど、それは彼の問題というより、自分が大学で学んでることに自信がないっていう、もともとあるコンプレックスが影響していると思います。

めんどくさいことも

堀さん 友達に相談して自分の不安な気持ちは解決したんですけど、できればそれを彼にも言いたいなと思いました。私はやっぱり、自分が悩んだこととか、こういう微妙な気持ちとかをできれば言いたい、彼と共有したいと思ってて。別に理解してくれなくていいから、それを隣で聞いてくれる人がいいなと思ってて、彼はそうだと思ったから安心感を感じたわけだし。その日の夜に彼に電話しました。

 向こうは私が不安を感じてたことも知らなかったので、自己完結した話を急にしたわけですけど(笑)、自分の自信のなさはずっと悩んできたことでけっこう大事な問題だから、できれば共有したくて言いました、って話しました。自己完結してるし、何の話だよ、みたいな話だから(笑)、今までだったら言えなかったけど、彼には言えると思ったので。

 そしたら彼は、バカにしたり全然しなかったし「言ってくれてありがとう」と。そして「私、めんどくさくてごめんなさい」って言ったら、「いや、めんどくさいことはいいことですよ」って言われて。その時にああ、やっぱりこの人が好きだなあって思いました。

 私、めんどくさいんですよね(笑)。めんどくさいんですけど、それを全部認めてほしいとか、全肯定してほしいわけじゃないし、直さなくちゃいけないめんどくささもあるんですけど、でも彼はそれを認めてくれて、すごく安心しました。
 彼の「めんどくさいことはいいことですよ」という言葉は、強く印象に残っています。

わかるから嫌じゃない

堀さん 彼自身、自分をめんどくさいと言っていて。さみしがりなんだけど一人が好きで一人の時間もほしい、そういうめんどくささがあると(笑)。私はそれもすごく共感した点だったんですけど。

──自分をめんどくさいと思ってる同士なんですね。堀さんも彼のめんどくささを受け入れたいと思いますか?

堀さん 私は、向こうはそんなにめんどくさくないと思うんですけどね(笑)。さみしがりだけど一人が好きというのはすごく(自分も)わかるから。
 だから向こうの「会いたい」にも積極的に応えるけど、向こうの「会いたくない」も全然いいよって思うし。

 お互い、ちょっとこいつめんどくさいんだなっていうのをわかってるからこそ、「今会いたくない」も、嫌じゃない。そんなふうに思えるようになりました。

違いがあっても

──最初は共通点があって惹かれたと思うのですが、違いに関してはどうですか?

堀さん 趣味的なところで言えば、漫画は同じものが好きでしたけど、音楽はけっこう趣味が違ったりしますね。でも、彼に見てって言われた映画を見たり、私は向こうが聞いたことのない音楽を送ったり、それもお互い共有していっている感じです。

 もともと好きだなあと思った、感覚的なところは変わらないですね。
 一度、真夜中に海まで行って、ただ眺めて終わりだったんですけど(笑)、その時にすごく幸せだなって思ったし、それを向こうも同じように感じてるんだなと思いました。
 あと、ある日帰り道にLINEでやりとりしていて、私が、「今日は気温がちょうどいいから最寄駅の1個手前で降りてそこから歩く」と言ったら、「ああ、僕がドライブに行きたくなる理由と一緒だ」と言ってて、やっぱりそういうところが共有できるなーって思いました。

 恋人同士もそうだし、人間関係全部、根本的に合わない部分というのはあるのかなと思うので、それは割と覚悟しています。でも、何が(関係を)続けるのを支えるのかわからないですけど、今は最初に覚えた感覚がずっとあるし、これから違うことがあってもいいかなって思ってるんです。

 (彼となら)違うところも話せるんだろうなって思ってて。たぶん、なんかそれ違くない?と思っても話せなくなった時にだめなのかなって思うんですけど。今はお互い言えるし、言われるから、いいのかなと思ってます。

これから

──彼とこの先どうなっていきたいとかありますか?

堀さん 今はできれば、ずっと一緒にいたいなというふうに思っていますけど、何があるかわからないし、まあ別にそんなに期待はしてない(笑)んですけど。
 向こうはもうすぐ大学院を卒業してしまうので、そこからは何か変わるかもしれないですが、一応お互いまだ学生だから、その間は、そこまで将来のことを考えずに、一緒にいられることを楽しんでいられたらいいなと思っています。

どうでもいいことを話したいから

──何か言っておきたいことなどありますか?
 
堀さん 大したことない話ですけど、こういうとこがすごく好きだなあと思ったことを思い出しました。

 初めて会った日の翌日に「堀さん、おはよう」ってLINEが来てて、ああ、こういうの、好きだなって(笑)思ったんです。
 世の中の恋人同士がどういうLINEをしてるか知らないですけども、そんな、まあどうでもいいLINEっていうか(笑)、何気ないLINEにこんなに意味があって、うれしい人いないなって。「おはよう」って言われただけなのに。しかも私の名前をつけて言ってくれるのも、すごく好きだな、と思いました。

 その後も会話が終わった後に、「今日はそうめんを作りました」っていうLINEが写真とともに来て。すごくどうでもいいじゃないですか(笑)。どうでもいいんですけど、それを私にしゃべってくれるのが「ああなんか、すごくいいなあ」って思いました。

 どうでもいい話だけど、そういう話をしたいなとお互い思ったから、そういうやりとりをしてるんだなって思ったし。最初からそんな感じだったっていうのもなんか不思議だなって思います。ずっと前からしゃべってたような感じで、日常生活を報告し合う。今日は何してるの?とか、今日は何したよーとか。
 お互い、どうでもいいような話をしたいなと思えることが、すごくいいなと思います(笑)。

(終わり)

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