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カタルーニャ音楽堂での音の体験

家から10分も歩けば、この華やかで可愛らしいコンサートホールに着く。建築家リュイス・ドゥメナク・イ・ムンタネーによる建築で、彼はガウディの師匠ともライバルとも言われているのだそう。でも「かわいい」という視点からは、ガウディの2倍くらいはエネルギッシュだと思う。

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パッチワークのように花々が連なるインテリアが訪れる人を夢心地にさせる。天井のタイルには作曲家たちの名前が並ぶ。

中央に配された天井のステンドグラスが黄金のドロップみたいに今にも零れそう。暖かいエネルギーで満ち満ちている。

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音楽の守護神たちに見守られるようなステージはなかなかない。ステージ周辺にスポットライトがある以外にあまり照明がないので周りのステンドグラスから入る自然光で構成されるコンサートホールというのも新鮮。

開始の18時頃から終了の20時前にかけてゆっくりと暮れていくのもよかった。最後のほうはスミレ色の影が客席に流れこんでくる。

今夜は若手の才能ある演奏家にスポットを当てた演目で、ピアノとチェロだった。このホールは音が吸収されやすいからか、とてもプライベートなかんじの音の響き方がする。チェロの演奏の時に特に思ったけれど、とても弦楽器に向いている場所のような気がした。2016年にカザルスの名を冠した賞を受賞したというチェロ奏者は若い女の子で、ピアニッシモをとても美しく情緒的に弾く人だった。小さな風を起こす彼女のようにいつか弾ける日がきたら嬉しい。

カタルーニャ音楽堂のように生命力がなによりも勝るような空間でクラシックを聴くのは初めてだった。こんな建築を生み出してしまうこの土地への興味がもっと湧いてきた。その空間に触れながら生きているこの土地の人々へも。私だったらきっと飲まれてしまうような、圧倒されてしまうような、そんな気もしてしまったけど、そうならないような身の預け方があるのかもしれない。そうだったら、知りたいな。

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