見出し画像

【小説】ショートショート王様の口癖(#毎週ショートショートnote)

 その王様は、人の話を聞くのが苦手でした。

 誰かが話していると、いつも目を閉じていて、ときおり目を開けたかと思えば、「長い!」とだけ言って、また目を瞑ってしまうのです。

 ある日の会議の出来事です。
 ずっと目を閉じていた王様が、言いました。
「ショート、ショート!」
 いつもと違う口癖に驚き、皆ざわざわします。
 世話係が言います。
「最近、王様はショートショートの本を読むのにハマっています。それで、「長い!」だと芸がないので「ショート、ショート!」と言うのを思いついたそうです」
 確かに「長い!」と言われるよりは、柔らかい表現な気もします。
「話を短く」という意味で国民が「ショート、ショート!」と王様の真似をし始めるのに、そう時間はかかりませんでした。

 やがて王様は「ショートショート王様」と呼ばれるようになりました。

 ショートショートにハマった王様がショートショート作家としてデビューするのは、また別のお話です。

《終》(408字)

たらはかに様の企画に参加させていただきます。
今週のお題は『ショートショート王様』。
素敵な企画ですので、皆様も是非。

1000本突破おめでとうございます!

よし気にいった! あげてもよし! という方はサポートしてくれたら助かります。たいらのやる気がアップして、更新が増えるかもしれません。