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「行動経済学」を活用した若手リーダーの育成 ~“戦略的”に主体性を引き出すフレームワーク「EAST」

こんにちは。株式会社インソース、メディア事業部です。

本記事は、「行動経済学」を活用した研修プログラムを開発している、インソースのコンテンツ開発部社員が執筆したものです。

「行動経済学」を用い、部下の主体性発揮を促し、若手リーダーへと成長させるテクニックをご紹介しております。
ぜひ、お手すきの際にご一読いただければ幸いです!

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2017年、セイラー教授のノーベル賞受賞をきっかけに注目を集めた「行動経済学・ナッジ理論」。人の感情の動きに着目し、相手をより良い行動へと導く手法とは、いったいどんなものなのでしょうか。

(1)アフターコロナ時代は、成果を上げる「業務主体者」が評価される

コロナ禍の影響でテレワークが浸透する中、成果主義が強化されてきています。働いている時間ではなく、どれだけ成果を上げ、どれだけ組織に貢献できたのかが評価されるようになるのです。

成果がシビアに問われる時代になるからこそ、受け身では評価されません。

アフターコロナ時代を生き抜く若手リーダーに求められる役割は、「上司の指示に忠実に従うフォロワー」ではなく、自分で仕事を見つけ、推進できる「業務主体者」なのです。

(2)“人は感情で動く”ことに着目した「行動経済学」とは

さて、部下の主体性は勝手に引き出されるものではありません。今回は「行動経済学」を活用して、部下の主体性を効果的に引き出す方法をお伝えいたします。

「行動経済学」とは、“人は感情で動く”ことに着目した学問です。

例えば少し前のこと、コロナ禍のマスク不足に伴い、他の紙製品もなくなるかもしれないというデマが流れました。

合理的に判断すれば、買いだめせず普段通りに購入するはずですが、実際には多くの人が店に殺到しました。このように、人は感情で動き、時には非合理的な行動をとるのです。

職場の部下も同様に、「モチベーションが下がり、自ら考えて動く意欲がない」「失敗したくないから、言われたことしかしない」など、感情で動いてしまいます。

そこで、部下が主体性を発揮できない理由について「行動経済学」を通じて分析することで、主体性を引き出す方法を見つけることができます。

(3)ナッジ理論のフレームワーク「EAST」を活用し、主体性を引き出す

「行動経済学」の内容をより現場で使いやすくしたものが、「ナッジ理論」です。今回は、「ナッジ理論」の中でも「EAST」というフレームワークを活用して、部下の主体性を引き出す方法をご紹介します。

▼ナッジ理論のフレームワーク「EAST」

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・「Easy」:行動のハードルを下げる
=部下を若手リーダーへと育成するためには、本人の実力を超えた困難な仕事を任せ、成長を促すことが有効です。

困難な仕事に対し、部下は高いハードルを感じますが、仕事をスモールステップに分解することで、超えられる壁となるのです。

また、仕事を主体的に推進できない部下に対しては、“マイかんばん”を活用し、仕事のプロセスとゴールをイメージさせることが効果的です。

“マイかんばん”とは
「何を」「何のために」「いつまでに」「どれだけ」「どのように」などの情報を明文化した、仕事内容の指示・確認書。 “マイかんばん”を通じて仕事を因数分解することで、一つひとつのプロセスとゴールをイメージすることができます。

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・「Attractive」:目的意識を持たせる
=モチベーションが低下している部下には、「何のためにこの仕事をするのか」目的を示すことで、モチベーションを高めることができます。

また、キャリアの視点から仕事を捉えさせることで、「自分の仕事は今後のキャリアとつながっている」という実感を持たせ、モチベーションにつなげることもできます。

対話の時間が少ない場合には、1対1での面談がおすすめです。時間をかけてじっくり話すことで、部下は自分の業務から気づきを得て、意欲を高めることができるのです。

・「Social」:周囲の期待を伝える
=主体者となるためには、周囲が期待することを察知して、先回りして行動できなければなりません。

周囲の期待を理解できていない部下に対しては、期待を伝える質の高いフィードバックが不可欠です。

▼フィードバックの仕方
「Can:できたこと」「Keep:維持すること」「Change:変えること」「Try:挑戦すること」という4つの視点から、仕事へ取り組む姿勢・進め方・成果についてフィードバックを行うことが有効です。

・「Timely」:適切なタイミングで介入する
=「与えられた業務は卒なくこなすが、主体性が低い」「やる気はあるが、なかなか成果に結びつきにくい」など、部下のタイプも人によって様々です。

部下一人ひとりのレベルに合わせた適切なタイミングで介入することで、主体性を引き出すことができます。

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以上のようなテクニックを活用し、戦略的に部下の主体性を引き出すことができれば、若手リーダーを早期のうちに育成することが可能です。

「EAST」の打ち手のうち、自分の部下にはどれが有効か……日々ご自身の部下を観察し、実行してみていただければ幸いです。

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~最後に(オリジナル冊子のご案内)~

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

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「ENERGY」Vol.2では、組織の新たな未来を実現に導く「リーダー」をテーマに、アフターコロナ・ウィズコロナ時代のリーダー育成方法や心得について綴っております。

▼「ENERGY」Vol.2 目次
 1.アフターコロナに活躍する強いリーダー
 2.ダイバーシティリーダー ~コロナ禍で結果的に出現した「フェアに戦う環境」で成果を競う
 3.行動経済学を活用した若手リーダーの育成(←本記事の内容です)
 4.コロナと共存するニューノーマル時代の経営層・管理職の意識改革プラン
 5.リーダーに大切なこと ~歴史から学ぶリーダーの心得
 6.insbunkai ~混乱期・変革期の今、求められるのは「パトス」を持ったリーダーである

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