見出し画像

“サスティナブル”ファッションと言った時点で持続可能ではない。

ー ファッション業界は石油産業に次ぐ第二の環境汚染産業である ー

SDGsに代表されるような“持続可能な社会の実現”が急務となった昨今。
ファッション業界で声高に謳われるようになった“サスティナブルファッション”なるワードが注目を集めている。

もはや説明不要の“サスティナブルファッション”だが、念の為、環境省の解説を引用する。

衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのこと

環境省_サスティナブルファッション

サスティナブルなファッションの実現は、連綿と続くファッションという文化を後世に繋ぐためにも、真剣に向き合っていかなければならない重要な課題だ。

しかし、同時にこうも感じる。
「“サスティナブルファッション”というラベリングそのものが“サスティナブル”の意に反するのではないか」と。

今回の記事では OCEANS|オーシャンズ 2024年 6月号 に掲載された“とあるブランド”の広告をもとに“真のサスティナブル”について考えたい。

わたしの考えるサスティナブルとは、『ファッションじゃない。』


サスティナブルとは、Unfashionable(非ファッション)である

わたしは、ファッション雑誌に掲載されている“手が届きそうにない洋服や時計・車の広告ページ”が大嫌いだ。こんなページを見るために雑誌を買っているわけではない。
そんなことを思いながら、いつものように雑誌を読んでいると“とある広告ページ”に目が止まる。

それは OCEANS|オーシャンズ 2024年 6月号 4-5ページ

そこに見開きで掲載されていたのはアメリカ発祥のアウトドアブランド“パタゴニア”の広告だ。広告の内容は至ってシンプル。

パタゴニアを代表するショーツが背景に配され、ページの真ん中に大きく

“ファッションじゃない Unfashionable”

力強いそのメッセージの前ページには、パタゴニアが自身を代表するショーツに対して“ファッションじゃない”と言い切る理由が添えられている。

今年だけじゃなく、何年も着るために。
これは限定品ではありません。なくなる前にと、急ぐ必要はありません。
わたしたちは1982年以来、ほとんど同じバギーズ・ショーツを作りつづけています。
長持ちし、何にでも使えるからです。
じつのところ、ファッションはわたしたちには関係ありません。
多機能で何役もこなせ、修理ができて末長く着られ、年数が経っても色褪せない美しさのある時代を超越した、
地球にとってより負担の軽いモノを、わたしたちは作っています。

広告は以上。
本当にこれ以上のことは何も掲載されていない。
消費を促すような文言やギラついたモデルの着用画像は一切なし。

そこに確認できたのは、パタゴニアの製品に対する確固たる自信と威厳。
それから“サスティナブル”の本質だ。いや、真髄とでも呼ぶべきかもしれない。

サスティナブルとファッションは相反する

『ファッション』という言葉を辞書で調べれば、必ず【流行/はやりもの】と説明されている。
ではさらに『流行』という言葉を辞書で調べれば、【一時的に世間に広がりを見せること】と説明されている。

『サスティナブル』という【持続可能性】を示す言葉に対して、【一時的な広がり】を意味する『ファッション』を併せた概念が“サスティナブルファッション”なのだ。

この歪さを例えるなら、
「高級ファストファッション」といっているようなものだ。
高級な衣料品はファストファッションには該当しないし、ファストファッションは高級な衣料品を扱わない。

相反関係にある言葉同士をくっつけてできたその概念は一体どこに存在するというのだろうか。

“サスティナブルファッション”は言葉だけが一人歩きし、問題自体はペンディング(宙ぶらりん)になっているような気がしてならない。

では、ファッションにおけるサスティナブルは達成できないのか。
わたしは自分が信じたファッションというカルチャーをそう簡単に諦めたはくない。

サスティナブルという枠組みを超えて

先程らい取り上げた“パタゴニアの広告”で注目したい点がある。
それは広告の中に「サスティナブル」という文言を一切使用していない点だ。

今年だけじゃなく、何年も着るために。
これは限定品ではありません。なくなる前にと、急ぐ必要はありません。
わたしたちは1982年以来、ほとんど同じバギーズ・ショーツを作りつづけています。
長持ちし、何にでも使えるからです。
じつのところ、ファッションはわたしたちには関係ありません。
多機能で何役もこなせ、修理ができて末長く着られ、年数が経っても色褪せない美しさのある時代を超越した、
地球にとってより負担の軽いモノを、わたしたちは作っています。

これを読めば、誰もが「このブランドは“サスティナブル”の視点に立脚したモノづくりをしているのだ」と想起するに違いない。
しかし、その広告の中に“サスティナブル”の文字はない。

この姿勢こそがまさに、多くのファッションブランドで採用されるべき“真のサスティナブル”な態度だと考える。

現在多くのファッションブランド・メディアが「このアイテムはサスティナブル…」「あのブランドはサスティナブル…」と“サスティナブル”という言葉をそこかしこで乱用している。

このように“サスティナブル”という概念をあたかもトレンドワードかのように扱うことは、“サスティナブル”を消費し、延いては概念の矮小化をもたらしかねない。

“サスティナブル”を一過性のトレンドで終わらせないためにも、ファッションブランド・メディアが行うべきは“サスティナブル”というラベリングを極力避けること。

とりわけ、商品の謳い文句にサスティナブルを積極的に使うべきではない。
お客さんが「おしゃれ!」「かわいい!」「欲しい!」と手に取った商品がたまたま“サスティナブルな商品”であることが健全で、真に持続可能な提案なのではないだろうか。

パタゴニアはファッション雑誌という本来購買を促す媒体において「これは限定品ではありません。なくなる前にと、急ぐ必要はありません。」と読者に語りかけている。
決して派手ではない広告で、静かに警鐘を鳴らしているのだ。


insomniaです。
最後までご覧いただきありがとうございます。
サスティナブルとファッション。相反する二つの概念を中庸していく考えが必要になりそうです。我々消費者にできることは当たり前ですが“ちゃんと切るものを買う”ということですね。

よければ、ぜひ他の記事もご覧ください。
見てくださった上にスキを下さる方、大スキです。

では、また次の記事でお会いしましょう

#ファッション雑誌 #ファッション #雑誌 #コーディネート #洋服 #服装 #サスティナブル #SDGs

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?