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日本を代表するレストランを、経営する作法。~株式会社ワンダーテーブル 代表取締役社長 河野博明氏


株式会社ワンダーテーブル 代表取締役社長 河野博明氏

愛知県岡崎市出身。大学在学中に、ワンダーテーブルの前身となるレストランでアルバイトをはじめ、飲食業の面白さに目覚める。大学卒業後、別の飲食企業に務めるも、方向性の違いを感じ、ワンダーテーブルからの誘いで入社。30代半ばでロウリーズの総支配人となり、2017年より営業部長、2019年取締役、2023年6月、代表取締役社長に就任。


少年のコンプレックス。

今回、ご登場いただいたワンダーテーブルの河野社長が、愛知県岡崎市に生まれたのは1974年のこと。「大学で東京にでるまで、岡崎です。剣道をつづけ、小学校の頃はバレーボールもしていました。実を言うと、今、180センチあるんですが、小学校の頃は横が…」。

けっこうな悩みだったそう。

「だって、体育の授業で、私ら太っている組は別プログラム。ダイエット体操が始まります(笑)」。それは、傷つく。生徒のためといっても、今なら、大問題。

「コンプレックス? ありましたよ。卒業写真、うちは、プールサイドで撮影だったんです。今みても笑うんですが、1人、必死で、お腹を凹ましている生徒がいるんです(笑)」。

ご両親がスポーツを勧めたのも、スリムな体型にしたかったからかもしれない。ただし、原因は母親にもある。「母は、美味しいものにはお金を惜しまないって人で、週末は決まって外食に連れて行かれました」。

小学生が食べる楽しみを知ってしまったわけだ。それでも、中学生になって体型がかわり始める。

「当時はちょっと荒れた学校で、バイクが校舎内を走っていました」。
咆哮するバイクのあとを、先生たちが追いかける。

「だから、校則がきびしかったんです。男子はみんな坊主。少しでも、伸びていると帰されます」。
制服だったが、下は、体操服の白いズボンで、登下校する。思春期の少年たちには、確かにつらい。押さえつけようとするから、バイクで乗り込む生徒も現れる。
「竹刀をもった先生って、今じゃTVの世界でしょ(笑)」。

河野社長も、多少、「悪さ」をしたが、ま、許される範疇と言うことにしておく。「成績は悪くなかったですね。高校は進学校に進みました」。

だが、そこで、息切れ。


学生時代のワンシーン。古着の買い付けに、アメリカへ。

「高校では、さすがに勉強しないとついていけません」。

大学受験。
浪人して、河合塾に通い出したが、ともだちといっしょあそびに行くのが日課になる。

「実は、2年目は、志望校だった名古屋の大学も受かったんです。でも、田舎もんでしょ。気持ちはやはり東京。華やかな世界に憧れてしまうんです」。

田舎者には、そういう習性があると言いたげ。大学に合格したことで、東京へのキップを掴んだことになる。

「大学に入ると、ソッコーで、テニスサークルです。キャンパスライフの王道ですからね(笑)」。

上京してすぐに、ともだち4人と、有名なディスコに向かった。残念なことに1人だけドレスコードにひっかかっている。

「残りの3人で、ディスコに潜入して、お立ち台にいる女の子に声をかけて」。

ボディコンのお姉さんと、デートの話がまとまった。

レストランの、作法。

しかし、人間、何がきっかけとなるか、わからない。ボディコンのお姉さんをナンパしたことで、河野社長の運命が動きだす。

「東京での初デートです。格好つけて、行ったこともない高級なレストランを予約します」。

ドレスコードの存在を知ったから、服装にも気を遣った。みたこともない世界が広がる。
席につき、メニューを開ける。

顔が青くなる。

「ぜんぶが、呪文です(笑)」。
腹を決め、呪文を唱えると、カクテルが現れた。

「お酒は、お酒好きの母親に似て弱くなかったんですが、アルコールがつよかったのか、初めて尽くしのシチュエーションがいけなかったのか、たった3杯でベロベロになっちゃいます」。

相手の表情にピンを合わすこともできなかった。

「むちゃくちゃ恥ずかしかったですね。その女性とはもちろん、それきりですが、このことがあって、レストランでスマートにふるまい、飲食できるスキルがないと、東京生活を楽しめないと思うんです」。

<ひょっとして、それでワンダーテーブルに?>

「正確には、ワンダーテーブルの前身ですが」。

失態を演じたレストランと同様の、おしゃれなダイニングレストラン。バイトを始めると、これが、面白い。「芸能人もいらっしゃいましたしね」。

合計5年、勤めている。

「評価も悪くなかったです。料理人が権力をもっているんですね。私は、ホールです。時々、厨房から『これ、売ってこい』って声がとんでくるんです。それをお客様にオススメして、オーダーをいただくと、堅物の料理長もほめてくださって。大学では勉強もしない落ちこぼれです。でも、レストランでは、いい評価がいただける。最高でしょ」。
たしかに、悪くない。

「それにね」と河野社長。

「お金をいただいているのに、『おいしかったよ、ありがとう』っていってくださるんです。最初に、この一言を聞いた時、衝撃が走りました。東京にでてきて、いちばんの衝撃だったかもしれません」。

飲食に魔性の一言があるとすれば、この一言だ。
大学生活と充実したアルバイト。成績では落ちこぼれだったかもしれないが、絵に描いたキャンパスライフ。ただし、キャンパスライフにも消費期限がある。

河野社長と、「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」と。

「大学の卒業でやらかした」と河野社長は笑う。なんでも、卒業旅行から帰るとポストに、大学から1通の通知が来ていたらしい。「留年の通知でした。1単位たりなかった。あるアパレル会社に就職が決まっていたんですが、もちろん、あと1年、大学です。卒業できていたら、私の人生は、ぜんぜんちがっていたでしょうね。翌年、飲食店に就職します」。

副社長が外国人だったから、興味が惹かれたと河野社長。

「ただ、ワンダーテーブルとはちがったんですね。観光立地でリピートしないであろうお客様相手のサービスをしていて、違うと感じたんです」。

これが、めざしていたものか、自問自答する河野社長に、ワンダテーブルから、もどってこないかとオファーがとどく。

さて、河野社長といえば、やはり「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」の話は外せない。

「ロウリーズは、アメリカのビバリーヒルズで創業したプライムリブ専門店です。日本では、赤坂、恵比寿、大阪の3店舗を展開しています」。

河野社長は、アメリカまで研修に行き、30歳前半で従業員120人規模のロウリーズの支配人に抜擢されている。
だが、はじめてつまづく。スタッフをコントロールできない。「あの時は、キツかったですね。私が若かったからだと思いますが、総スカンをくらって(笑)」。
若いからではなく、組織マネジメントができないからだ、と気づき、組織マネジメントを徹底してマスターする。「ただ、大阪に行くと、組織以前の問題で(笑)」。

赤坂のロウリーズは、連日満席で、月商1億円。しかし、170坪、234席がある大阪店の初日ランチは2組だけだったそう。河野社長は、天を仰ぐしかなかった。

「ロウリーズのおかげで、色々、勉強することができました」。

営業部長に昇進、2023年になって、社長にならないかと打診される。そして、6月、社長就任。
ロウリーズについて、もう少し。
ホームページを開き、写真をご覧いただくのが、いちばんだが、ここでは、ブランドページにある一文を引用する。
大阪店について、こう書かれている。
「234席を有する大阪店のインテリアは、モダンなアメリカンアール・デコで統一されています。高い天井と奥行きのある広い造りは、まるで映画のワンシーンを思わせるようなゴージャスな空間です。ラスベガス店のデザインをモデルにモダンなアレンジを加えた温かい雰囲気は、記念日、接待、友人との会食など幅広いダイニングシーンを演出します」。

まさに、その通り。
モダンさ、豪華さにおいて、群を抜いている。

今、もし、ディスコで出会った女性をエスコートするとしたら。それを想像すると、河野社長の人生のあゆみがリアルに感られた。日本を代表するレストランを経営する作法まで、今の河野社長は知っている。

株式会社ワンダーテーブル 代表取締役社長 河野博明氏
企業HP https://wondertable.com/

飲食の戦士たちより

主な業態

ピーター・ルーガー・ステーキハウス 東京

創業135年を誇るニューヨーク発の熟成肉ステーキハウス
ピーター・ルーガー・ステーキハウス 東京では、熟成肉のステーキを楽しめます。代々受け継がれる目利き技術によって厳選した牛肉を、チルドで空輸し、手間暇かけて最適な状態でドライエイジした後、こだわりの提供方法で提供します。

HPより

ロウリーズ・ザ・プライムリブ

1938年にビバリーヒルズで創業したプライムリブ専門店
ロウリーズ・ザ・プライムリブでは、アメリカンスタイルのローストビーフ(プライムリブ)をご用意します。オリジナルスパイスでマリネした上質な骨付き牛肉を2~3時間かけてじっくり焼き上げ、旨味を閉じ込め柔らかく仕上げます。

HPより

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