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30種以上の薬膳スパイスが奏でるハーモニー。


株式会社カシュ・カシュ 代表取締役 石神秀幸氏

東京世田谷生まれ。2003年、シンガポールで出会った一杯のスープに惹かれ、研究を重ねる。2007年、渋谷にスープ春雨専門店「七宝麻辣湯」をオープン。5年かけ、ブレイク。現在は、ダイニングイノベーションの西山知義氏とタッグを組み、フランチャイズに乗り出している。


始まりは、美味しんぼ。

ランクが0番~5番まである。4番になると「激辛」となり「思わず口から火をふく」レベルだそう。5番になると「激辛」が「極辛」にかわる。「一度はチャレンジを!」と、こちらの興味を煽ってくる。

この辛さと旨みとはなやかな香りが人気の「七宝麻辣湯」の生みの親である、株式会社カシュ・カシュの石神さんにご登場いただいた。石神さんは「神の舌」をもつともいわれている。その始まりは、食べ歩きらしい。

そこから、話がスタートする。

「私の食べ歩き人生は、中学2年の14歳から。だから、年季がちがいます(笑)」。

<食べることが好きだったんですか?>

「そうでもなかったです。どちらかというと偏食だった気がします。中学1年の時は、食べることより、がむしゃらに勉強をしていましたしね。食べ歩きのきっかけは、雁屋哲さん原作の『美味しんぼ』です」。

<「美味しんぼ」というと、ビッグコミックスピリッツに連載されていましたね>

「そうです。主人公は料理人ではなく、東西新聞の文化部の記者。ただ、料理に対するうんちくがすごい。その主人公が『究極のメニュー』をつくるために、色々な料理を食べ歩くんですね。それを真似て」。

<ということは、今、石神さんがあるのは、『美味しんぼ』のおかげですね>

「食に関心をもったのは、まちがいなく『美味しんぼ』のおかげですね(笑)」。

のちの話になるが、石神さんもフードライターとして活動をはじめ、ワイン本、レシピ本など30冊以上の著書を上梓している。

ある意味、主人公、「山岡」をトレースされている。

TVチャンピオン、麻辣湯にであう。

14歳から食べ歩き、23歳の時に、テレビ東京系「TVチャンピオン、ラーメン王選手権」に出場し、優勝。2年連続、チャンピオンになり、「神の舌」とも評価された。

当時の彼女に「出場してみたら」と言われたそう。「まだ、23歳で、ほかの人と比べると若かったですし、2年連続っていうのも印象に残ったんでしょう。様々なところから声をかけていただきます」。

<彼女の一言のおかげで、人生が動き出したんですね>

そういうと、石神は小さく、頷く。

さて、連覇を果たした「神の舌」をうならせたのが、冒頭の「七宝麻辣湯」をうみだすきっかけとなった「麻辣湯」。シンガポールで出会ったそう。

「食べておいしく、たのしく、身体にいい」と石神さん。かつてのチャンピオンがいま全力を注ぐ、料理の一つだ。

「衝撃を受けたのは事実ですが、シンガポールの麻辣湯自体は、贔屓目にいっても料理というレベルではなかったですね。それをアレンジしたというと、日本人向けにカスタマイズしたと思われてしまうんですが、そうではなく、料理といえるレベルに仕上げたのが、うちの七宝麻辣湯です」。

<中国でも食べ歩いたとうかがっています>

「はい、シンガポールで麻辣湯と出会ってから、今度は中国に渡り、中国でも200軒以上で「麻辣湯」を食べています。うち3軒では、実際にはたらき、研究させていただきました」。

<その積み重ねが、料理のアップデートとなったわけですね?>

「その通りです。だから、今いったように日本人の舌にあうようにアレンジしてはいません。むしろ、純度を高めたといったほうがいいと思います」。

一杯食べれば、くせになる。ただし、日本人は、まだその世界を十分に知っているわけではない。

2007年、「七宝麻辣湯」オープン。

<創業は2007年ですね>

「2003年に麻辣湯にであって、試行錯誤を重ねて、そうですね。2007年、渋谷にはじめてのショップをオープンします。ロケーション的には悪くなかったですね」。

<最初からブレイクしましたか?>

「それが、イメージとはちがっていて(笑)。2号店をオープンしていますから採算は取れていたんでしょうが、5年間は鳴かず飛ばずという表現がぴったりかなと思いますね」。

<ブレイクの原因を教えてください>

「TVにでたとか、雑誌に取り上げてもらったから。ブレイクする時は、そういうきっかけがあると思うんですが、うちは、そうじゃありません。じつは、当初から多店舗展開を念頭にしていましたので、スープを外注化して、濃縮して利用していたんです」。

<濃縮だと味は安定しますね>

「そうです。味が落ちるのも事実ですが、正直、ふつうの人にはわからない。料理人にだってわかるかどうかの微妙な差です。だから、これでいいと思っていたんです。ただ、ある時、ためしに店で骨から炊くと」。

<どうなりました?>

「わからないはずなのに、反響がスグにすごいことになっていきます。うそだろ? 今まではなんだったんだ? って思うほどです(笑)」。

小さなちがい。実は、このちがいが、すべてだった。

「それからです。私が何をすべきかを悟ったのは」。

「神」レベルではないにしても、人の舌は、やはりあなどれない。その舌に挑み、その舌を喜ばす、それが、石神さんのミッションになる。

ちなみに、「七宝麻辣湯」では鶏や豚を丹念に煮込み、30種類以上の薬膳スパイスを組み合わせてスープをつくる。むろん、スープは、骨から炊いている。トッピングは50種類以上。辛さは5段階だが、じつは、無制限。様々なデトックス効果が期待できるほか、女性が大好きなコラーゲンや、脂肪を燃焼させるカプサイシンも豊富。ダイエットにも最適なヘルシーなフードである。

30種類以上の薬膳スパイスが奏でるハーモニー。

石神さんは「2007年に創業してからも、つねに、味のアップデートを重ねている」といっている。「食べるたのしさ」は、辛さのチョイスやトッピングについて記載したが、料金を追加すれば味のアレンジもたのしめる。

「極薬膳」「強壮」「トムヤム」「とろとろ」「かき玉」「担担スープ」「味噌ラータン」「サンラータン」と、いずれも+150円なので、気軽にたのしめる。

現在は、直営店とともに、フランチャイズの出店もつづいている。フランチャイズは、あの牛角の創業者、西山知義さんのダイニングイノベーションが本部となって進めてくれているとのこと。

「今は、七宝麻辣湯を育てることが、ライフワークです」と話す石神さんにとって、経営を得意とする西山さんは、最良のパートナー。人材の育成も苦手と石神さんは笑う。この正直さがいい。

とにもかくにも、ミッションは味のアップデート。「たとえばね。鶏の量を少し多くするとするでしょ。じゃぁ、香辛料の、たとえばグローブを多くするか、なら油の量も少し足すか、というかんじで、器のなかすべてが、おきかわっていくんです」。

そういう意味ではまだ完成ではないのかもしれない。石神さんは「七宝麻辣湯」づくりを「盆栽」と言っているから、完成という概念はないのかも知れない。

さて、その味に、そして、その人間性に、あの西山さんも魅了されたというわけなのだろう。

「出店数でいうと、西山さん次第のところもありますが、私自身は七宝麻辣湯をベースに食のインフラをつくっていきたいと思っています。日本になかった文化ですね。その始まりになればいいかな、と」。

渋谷にオープンしたスープ春雨専門店「七宝麻辣湯」を皮切りに、恵比寿店、赤坂店、飯田橋店、五反田店、池袋店と、オープンがつづいている。

スープには30種類以上の薬膳素材がくわわり、辛さと旨みとはなやかな香りが、一つの器のなかで、うまく溶け合っている。

「残ったスープにライスを入れて雑炊風にするのもおすすめ!」とあるから、これは絶対、ライスもオーダーしてしまう。とりこになる人が多いのも頷ける話。

ちなみに、石神さんはソムリエの資格ももっているそうだ。その舌の感度は、やはり常人離れしているのかもしれない。神からのギフトを開花させた、食べ歩き。

いまも、もちろん、石神さんは食べ歩きに余念がないにちがいない。ところで、今年の3月より、研究を重ねた製品が通販に登場したそうだ。嬉しいことにおうちで、「七宝麻辣湯」のハーモニーを楽しむことができるようになった。

24/06/04
株式会社カシュ・カシュ 代表取締役 石神秀幸氏
企業HP https://maratan.com/

飲食の戦士たちより

主な業態

七宝麻辣湯

麻辣湯(マーラータン)とは、中国で親しまれている春雨や野菜などの具材を煮込んだスープです。発祥は四川省と言われていますが、現在は中国全土はもとより世界中に広まっています。

味も製法もお店によって千差万別ですが、スープに“麻(マー)”と表現される、ビリビリと痺れる辛さをもたらす「花椒」というスパイスと、ピリ辛を意味する“辣(ラー)”をもたらす唐辛子を使うのはほとんどのお店で共通しており、これが料理名「麻辣湯(マーラータン)」の語源となっています。

https://maratan.com/

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