デンマーク留学事前デスクリサーチ
2024年3月〜6月末の約4ヶ月、デンマークに留学します。
北欧の滞在は2度目です。9年ほど前にもフィンランドに1年ほど留学しており、その時感じた暮らしの豊さが自分にはとても魅力的でした。(詳細は別記事にて)
今回のデンマーク留学の中で、同じ北欧として、そしてデンマーク特有の豊かさについて深く観察するための事前準備として、デスクリサーチをざっくり行います。
前提整理
3つの切り口
前回のフィンランドでの暮らしの中で、なぜ豊かに感じたのか。その背景としてあるのは、以下の3つ(「教育」「政治と民主主義」「暮らし方と働き方」)あたりかなと個人的には考えています。
とりあえずこれらを切り口に、今回のデスクリサーチを進めていければと思います。
デスクリサーチの立て付け
デスクリサーチを進める前に、デスクリサーチの立て付けを整理しておくと、フィールドワーク前の事前情報として最低限のインプットをするというイメージです。
よくないのは、事前情報が固定観念になってフィールドワーク中(留学中)に余計なバイアスになることなので、デスクリサーチをしたら一回忘れるくらいの気持ちで留学に飛び込めたらと思ってます。
これまでの自分と北欧の関わり
リサーチに入る前に、これまでの自分と北欧の関わりをまとめます。
最も深く関わったのは2014年〜2015年のフィンランドのアールト大学への交換留学ですが、2022年にも、北海道の東川町で日本版フォルケホイスコーレを運営しているCOMPATHのプログラムにも参加していたり(詳細は以下noteに)、デンマーク在住のニールセン北村朋子さんのお話をオンラインや対面で何度かお話を伺ったりもしてました。
現時点での問いの一覧
上の経験などを踏まえて、現時点で自分が抱えている問いを一旦洗い出します。
現時点で自分の中で半分以上答えが出かけているものもあるし、全くわかってないものもあります。最初にこの問いを持った状態で、デスクリサーチやデンマーク留学を行えればと思います。
デスクリサーチ
大きなカテゴリとして、「国の大枠について」と、上記の3つの切り口(「教育」「政治と民主主義」「暮らし方と働き方」)、そしてデンマークの課題についてまとめていこうと思います。
国の大枠について
デンマークを理解する上で、まずは日本と国の大枠を比較してみます。
日本と比べると、面積、人口ともにとても少ないことがわかりました。面積は九州と同じくらい。人口は千葉県と同じくらいなんですね。
続いて、北欧4カ国で比較してみます。
面積はデンマークが4カ国の中で圧倒的に狭いです。他の3カ国は縦に長いですからね。ただ他の3カ国も、北に行くと人が住める場所は少なくなるからなのか、一番南に位置するデンマークはその4カ国の中では人口が2番目に多くなっています。
<切り口①> 教育
【通信簿がない】
・国民学校では、通信簿がなく、人との差を意識させるような教育は行われない。(参考)
・✍️ 通信簿がある日本のように、人との比較をさせすぎると早くから自分の才能や可能性を狭めてしまいそう。前に見たyoutubeでフィンランド人の先生にも指摘されていた。
(※ ✍️:自分のコメント)
【少人数クラス】
・小学校中学校などの国民学校は、1クラス最大28人と法律で決まっている。(参考)
・✍️ 日本のように大人数だと、統率を取るために先生からの一方的な授業にならざるを得ないが、少人数なクラス構成により、先生と生徒のインタラクティブな授業を可能にしてそう。
【民主主義を教える】
・デンマークの国民学校や高等学校では、民主主義を教えることが法で決められている。(参考)デンマーク内に約70校あるフォルケホイスコーレでは、講師を含めた参加者相互の対話を通じた成長を重視しており、全寮制をとっている。(参考)
・✍️ 民主主義への強い想いを感じる。こういった仕組みが、下で述べる投票率の高さに影響してそう。
【学費無料とSU(返済無料の奨学金制度)】
・デンマーク含め、北欧諸国では小中高だけでなく、大学が無料。(参考)またデンマークでは、SUという返済不要の奨学金があり、みんなそれをもらいながら大学に通うことができる。(参考)
・✍️ フィンランドでもそうだったが、大学が無料であることやギャップイヤー制度などにより、自分が本当にやりたいことを見つけることに専念できる期間があるので、日本などと比べてジョブマッチング率が高い(→その結果生産性が高くなる)のではないかと仮説を持っている。
【いじめ対策のプログラム】
・デンマークでもいじめは同様にあるが、「Fri for Mobberi(いじめからの解放)」プログラムというものがあり、それによりこの20年間で、月に数回いじめを受けた11〜15歳の男子の割合は15%から6%に、女子は14%から9%まで低下した。(参考)また、教室にはいじめ対策講習を受けた教員がいて一緒に解決に乗り出したり、市にもいじめ対策の支援職員がいて解決していく(参考)
・✍️ どこの社会でもいじめが発生してしまうことは止められない。ではそれが起きた時にどう解決を促していけるかというのを仕組みで解決しているのが素晴らしい。
<切り口②> 政治と民主主義
【政治の汚職度が低く、透明性ある政治】
・世界の汚職を監視する「トランスペアレンシー・インターナショナル」によると、デンマークは2018年から6年連続で「清潔度」が1位であるそうだ(参考)
・✍️ 高税収で高福祉の国家において、税金を払うモチベにも繋がるのでこれは最も大事そう。上記のランキングを見ると北欧諸国は軒並み高いのも納得。
【投票率が高く、政治をみんなで監視】
・デンマークは平均投票率が86%(参考)であり、政治に主体的に関わって政治をみんなで監視する意識が強い。そのためガラス張りのオープンな政治が行われやすい。
・✍️ 日本人が政治に興味がなく投票率が低いのは、国が平和だから悪いことじゃないと麻生さんが以前言ってた。確かに、日本は平和な国だと思うが、同様に平和なデンマークでなぜこんなに投票率が高いのか、きちんと理解する必要がありそう。
<切り口③> 暮らし方と働き方
【労働への考え方と権利】
・デンマーク人は年間で5〜6週間の有給休暇が与えられており、夏休みは3週連続で取得する権利がある(参考)また、平日は午後4時に帰宅である(参考)労働環境が守られている背景として、労働組合への加入率が75%を超えており、被雇用者の権利を主張できる体制が作られている。(参考)
・✍️ 夏休みに3週間休めるのは羨ましい。しっかり休むことは、働くモチベーションにも繋がるので大事だと個人的には思う。労働組合としての働きかけなどでそういった仕組みが作られているのが興味深い。
【フレキシュリティーという考え方】
・労働政策において、デンマークはフレキシュリティーという、フレキシビリティ(柔軟性)とセキュリティ(安定、保障)を組み合わせた考え方をとっている。柔軟な労働市場を整備して成長産業に労働力の移動をしやすくし、手厚い社会保障で労働者の生活の安全を守る政策である。(参考)
・✍️ 個人的に、日本の新陳代謝を制度的に生み出せない企業環境が、企業低迷の一因だと考えているので、セキュリティを担保したフレキシビリティは良さそうに感じる。ネガティブな面も含めて今後追加で見ていきたい。
デンマークの課題
(記載中)
軽くサマリと所感
以上、それぞれの切り口でざっくりと調査をしてみました。これらの要素一つ一つは、それぞれが関連しあって全体として好循環が生まれているように感じました。大いに間違ってる可能性はありますが、一旦下記にそれぞれの要素の関連図を作ってみました。
また、今回理想的な側面だけでなく、デンマークという国が抱える課題も事前に調査ができてよかったです。
これを踏まえつつもこれに捉われず、これからデンマーク留学を全力で楽しみながら、より深く観察できていけたらいいなと思います。
(補足) 参考+おすすめ書籍
↑今回のデスクリサーチをやる上で最も参考になりました。幅広くまとまっています。
↑北欧の歴史がわかりやすく紐解かれています。
↑デンマークの家具のデザイン史がわかりやすく記載されています。
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