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[図解]趣味と才能とアート思考

井ノです。

皆さんは人に自慢できるような趣味がありますか。私の趣味はビジネス書、一眼レフなどです。これらは飽き性な自分でも驚くほど長続きしているのできっと相性が良いのだろうと直感的に思っています。

ということで今回は趣味に起点にして才能を開花させるアプローチについてアート思考の概念を織り交ぜながら解説していきたいと思います。

1.趣味と娯楽の違いってなんだ

そもそもですが趣味と娯楽の違いってなんでしょうか。

◆趣味
仕事・職業としてでなく、個人が楽しみとしてしている事柄。
(出典:デジタル大辞泉)
◆娯楽
仕事や勉学の余暇にする遊びや楽しみ。
(出典:デジタル大辞泉)

デジタル大辞泉によると趣味と娯楽はそこまで定義に差がなさそうですが、個人的には趣味の方がどこか高尚なイメージがある気がします。

そこで他の出典を見てみると腑に落ちる表現がありました。

◆趣味
......一般にはより広く教養や美的感受性を養うこと、それに役立つ活動をいい、読書、各種の芸術の鑑賞、職業としてでなく作品の製作を楽しむことなどが趣味の代表といえよう。単に知的な興味を満たすことや娯楽にとどまるものは趣味とはいえない。(出典:ブリタニカ国際大百科事典)

娯楽よりも趣味の方がクリエイティブな側面があるというのは納得感がありますね。

2.自称多趣味な人の違和感

たまに「私って多趣味なんですよ」と誇らしげな人がいます。彼らが趣味だと言い張るのは次のようなものです。

漫画、アニメ、ゲーム、アイドル、映画鑑賞、音楽鑑賞、ライブ、ドラマ、旅行、カフェ巡り、お笑い...などなど。

いろんなことを楽しんでいるなあと感じつつも、それって趣味なんだろうかと強い違和感を覚えてしまいます。(好きな人はごめんなさい)

なぜなら私がイメージする趣味というのは時間をかければかけるほど才能に繋がるようなものだからです。また多趣味な人のイメージは、楽器が弾けて尚かつ絵も描けるような人であり、言ってみれば多才なクリエイターでした。

このギャップについて長いこと一人でモヤモヤしていたので、今回はこのモヤモヤを整理するために前回と同様に4象限マトリクスにまとめてみました。

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趣味というのは自分起点の楽しみであり、継続しているうちに才能や特技が身に付くような活動だと思いました。一方で娯楽というのは世の中にあるサービスやコンテンツを消費して楽しむ行為なのではないでしょうか。

この4象限マトリクスを見ると自称多趣味な人の違和感の正体がわかったような気がします。

要は彼らは他人起点の消費者であり、暇つぶしの選択肢がたくさんあることを誇らしげにしているのです。私はそんな中身の無い虚勢というか虚しさに対して違和感を覚えていたということですね。

またこの4象限マトリクスによる分類はアート思考のプロセスにも通じる部分がありますので追記してみたいと思います。

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①娯楽や暇つぶしを続けているうちに自分の中に芽生えた「興味」「好奇心」によって「興味のタネ」が生まれる。「興味のタネ」が思考や行動に影響することで趣味やこだわりという見える形で発芽する。【アート思考の第一段階】
②趣味やこだわりに対して更なる「興味」や「好奇心」が供給されることで勉強や練習・研究といった探究プロセスに繋がり、自分の中で「探究の根」が育ち始める。趣味やこだわりが内なる欲求との結び付きが強いほど継続的なモチベーションに繋がり、「探究の根」が地中深くに伸びていく。この探究プロセスによって次第に自分の才能や特技が見える化する。【アート思考の第二段階】
自分の才能や特技を仕組みによって世の中に公開することで表現の花が咲く。【アート思考の第三段階】
④世の中に公開された表現の花はサービスやコンテンツという形で娯楽や楽しみを人々に提供し消費される。同時に人々からのフィードバックによって改善されたり、振り返りによって新しい興味や好奇心が生まれる。

趣味と娯楽を切り分けるのが自分起点の興味や好奇心であること、そして趣味が才能や特技になるには探究プロセスの重要性がわかると思います。

ちなみにこの考え方は経験学習モデルにもあてはまるので紹介したいと思います。経験学習モデルとはアメリカの組織行動学者のデービッド・コルブが唱えた理論であり、経験からの学びを体系化したものです。

◆経験学習モデル
①具体的経験:日常や仕事において具体的な体験をする。
②内省的省察:自分の経験を多様な視点で振り返り、気づきを導き出す。
③抽象的概念化:省察によって教訓や持論を形成すること。
④能動的実践:教訓や持論を他の状況で実践してみること。

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経験学習モデルにおけるサイクルを回していくことで人は経験と学習を通じて成長して行きます。趣味や才能を開花させるためには同じようなプロセスが大切なんですね。

3.自分の才能ってなんだろう

今度は才能について掘り下げます。才能とは何かについて考えるにあたり、北野唯我氏の著書である「天才を殺す凡人」の表現を引用したいと思います。

著者は人の才能を「天才・秀才・凡人」の3つのタイプに分類しています。

天才:創造性で物事を評価する。
秀才:再現性(論理性)で物事を評価する。
凡人:共感性で物事を評価する。

皆さん自分はどのタイプだと思いますか。この物事を評価する際の軸となる性質は、誰しも自分の中に持っているものですが、どの性質が強く表出しているかという違いがあります。

ちなみに論理性のようなロジカルな考え方が後天的に習得することができるように、創造性もまたアート思考を身に着けることで伸ばしていくことができると思います。

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自分の才能がどのタイプなのかわからない方もいると思いますので、各才能の特徴と関係性をまとめてみました。

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なんとなく自分の才能が見えてきたのではないでしょうか。簡単に言うと天才はクリエイタータイプ、秀才は真面目な優等生タイプ、凡人はその他の大多数と言った感じです。

ちなみに「天才を殺す凡人」の意味するところは、天才の創造性というのは説明能力が低く評価が難しいものであるために、秀才による組織やルールを重視した論理的な批判や、天才を理解できない凡人による多数決によって潰されてしまうということです。

著者は自分の性質(評価軸)を知り、かつ相性の良い武器を使うことで、才能は初めて開花すると言っています。

この相性の良い武器というのは抽象(性質)に対する具象ですので、趣味と言っても差し支えないでしょう。

才能 = 自分の性質 × 相性の良い武器(趣味)

また才能を伸ばすためには自分の才能のストッパーになっているものを取り外す必要があります。それでは才能のタイプごとに相性の良い武器がなんなのか見てみましょう。

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自分の才能のタイプを知り、才能を伸ばす方法を知り、相性が良い趣味を追究していくことが才能を開花させる秘訣なんですね。

4.黒歴史とはなんだったのか

黒歴史というのは以前の記事で小さな表現の花だとお話ししました。言い換えるとそれは秀才や凡人に潰されてしまった天才の残骸なのです。

今思えば単なる若気の至りであったり恥ずかしい過去かもしれませんが、昔の自分にとっては確かに意味があったものです。

その小さな表現の花という自分起点の創造性は周囲の親や先生たちの論理性によって役に立たないと切り捨てられ、友人たちの共感性によって理解できないと排除されていくうちにだんだん枯れていき…最終的には大人になった自分の中の客観性や他人視点によって無かったことにしたい黒歴史として認定してしまうのです。

大人になればなるほど黒歴史からは遠ざかっていき、忘れ去られてしまうのが世の常ですが、自分の中の創造性という才能を押し殺して見ないフリをしていることに他なりません。

自分の中の論理性と共感性のストッパーを外し、創造性の才能を伸ばしていけば、誰だって大きな表現の花を咲かせることができるはずなのです。

5.まとめ:趣味で才能を開花させるには

多くの趣味を黒歴史にしてしまっていた自分だからこそ、長続きしている趣味と才能について考察したところ想像以上に気づきがありました。

そんな自分が趣味で才能を開花させるために重要だと思うことを以下にまとめてみました。皆さんの趣味ライフにも役立ててみて下さい。

自分の才能を知り相性が良さそうな趣味をやってみること。
自分の才能を知るためにも、いろんな趣味に挑戦してみるのが大事だと思います。その中で自分に合った趣味が見つかれば、どんどん新しい好奇心や興味に繋がって探究プロセス自体を楽しむことができるので、より才能を伸ばしていくことができます。
・孤独の力を活用すること。
同調圧力から自由になることで自分起点の好奇心や興味、こだわりを追究していくことができます。また意識的な抑制を取り払い無意識を開放することが自分だけの創造性を発揮することに繋がります。
・娯楽共有の友人ではなく、才能を高め合える趣味仲間を見つけること。
孤独というのは非生産的な人間関係を極力排除することであり、趣味の観点で言えばお互いに高め合える仲間との時間を増やしていくことが大切です。センスというものはそもそも自己認識や自己評価する難しいものですし、エフィカシー(自己効力感)の高い仲間からのフィードバックは最高の情報源になります。オープンに何でも言い合える関係性はイノベーションにも大切な要素です。ポジティブな意見でもネガティブな意見でもフラットに受け入れて、才能を開花させるための有用な情報だと捉える姿勢が大切です。
・情報は現場に赴いて足で稼ぐこと
足で稼いだ情報というのはネットの情報にはない現場ならではの五感情報や温度感、そしてエピソードが内包されています。それらを活用することで自分だけのオリジナルなストーリーに繋がって、人々の共感性に訴えかけるコンテンツやサービスの形成に役立つことでしょう。
・自分とプロと比較してギャップを知ること。
問いというのは理想と現状のギャップから生まれます。オリジナリティを発揮する前に自分の抱える課題を洗い出すことが重要です。例えば寿司を食べたこと無い人が寿司のレビューができないように最低限の土台は必要になります。プロの真似をしながら再現性・論理性の土台を構築した上で、自分なりの創造性を発揮していくのが良いでしょう。
・無理なく継続できる環境を用意できること。
才能を開花させるためには、そもそもの趣味の探究プロセスが継続できなければなりません。例えばギター始めようと思って買ったけど自宅では近所迷惑なので演奏できないなどが代表的です。そのような趣味の継続の邪魔となる障害を解決することができないようであれば、別の趣味を検討することも選択肢にいれる必要があるでしょう。

皆さんも自分の趣味を楽しみながら才能を開花させてみて下さい。表現力の幅が広がっていくことで、より大きな好奇心や楽しみに繋がって人間的にも大きく成長していけると思います。

井ノβe太

【参考】この記事の執筆にあたり参考にした著書を以下に張っておきますので、興味のある方はご覧になってみて下さい。


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