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映画鑑賞

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映画感想など
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2023年11月の記事一覧

"くだらない"を突き詰めた大名作映画『野球どアホウ未亡人』(TAMA CINEMA FORUM 2023 上映作品)

"くだらない"を突き詰めた大名作映画『野球どアホウ未亡人』(TAMA CINEMA FORUM 2023 上映作品)

くだらない!
この感想は、映画『野球どアホウ未亡人』(小野峻志監督、2023年。以下、本作)にとって批判ではなく大賞賛を意味する。
何故なら、小野監督自身が「"くだらない"ことしかない映画を作ったらどうなるのだろう?」という発想で本作を撮ったというのだから。
その結果がなんと、封切した池袋シネマ・ロサで満員御礼を記録、以降の地方上映でも軒並み満員、この「TAMA CINEMA FORUM」でも大勢

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公開10周年記念!!〝いい肉の日 11.29〟アンコール上映決定!~映画『ある精肉店のはなし』~

毎年11月29日、マスコミやSNSなどで「"いい肉"の日」だと話題になって、焼肉屋へ行こうかなと思ってしまう人も多いだろう。
我々一般の肉好きは牛肉の部位と名称と味にやたらと詳しいが、しかし、それら細かい部位に分類された肉がどうやって肉牛から取られているのか知っている人は、おそらく多くはないだろう。
それは、映画『精肉店のはなし』(綾瀬あや監督、2013年)が公開から10年経っても繰り返し上映され

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映画『東京ランドマーク』(TAMA CINEMA FORUM 2023 藤原季節特集)

映画『東京ランドマーク』(TAMA CINEMA FORUM 2023 藤原季節特集)

今の時代、こんなにユルい訳がない。リアリティーに欠ける。

そんな批判が聞こえて来そう、というか私自身が思ったことでもあるが、映画『東京ランドマーク』(林知亜季監督、2023年。以下、本作)は、もとより劇映画なのであって、ドキュメンタリーではない。

つまり、20代半ばの男2人がのらりくらりと社会から逸脱したような怠惰な生活を送る中に、ワケあり女子高生が転がり込んでくるという構図だが、そこに性的ニ

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映画『コーポ・ア・コーポ』

映画『コーポ・ア・コーポ』(仁同正明監督、2023年。以下、本作)を観て映画館を後にするとき、私は笑っていた。

大阪の下町の片隅にある「貧乏長屋」と言った方が適切だと思われる、お湯も出ない・風呂もない「コーポ」に住む住人たちは皆、どこかから逃げてきたような「ワケあり」だ。DV気質でヤクザともつながりがありそうな日雇い職人・石田(倉悠貴)、甘いルックスと架空の身の上話で複数の女性に貢がせている中条

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待った結果が“命”だからね、(助産師って)いい仕事でしょ?~映画『1%の風景』~

男の、しかも一度も家庭を持ったことがない私が、この映画を観るのはおかしいだろうか?
いや、そんなこと決してはない。
映画はいつだって、“知らなかった”ことを教えてくれ、“見たことがない”モノを見せてくれ、“行ったことがない”場所に連れていってくれるのだから。

いや、出産経験の有無に拘わらず、女性であっても“知らなかった”、“見たことがない”という意味では私と同じだと言い切れる。
何故なら、映画『

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