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シニアになって働く意味を考える㉖ ~大谷選手ばりの二刀流を身につけ57歳で転職~

定年前後のシニアに「働くことの意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働くことの意味」のスペクトラムを描こうと思っています。目指すは100人インタビュー!今回は26人目です。


職場の専門と一見関係ないことをやって組織に活力を

 Mさん(59歳2024年4月時点)は57歳で転職し、あの大谷選手ばりの二刀流を武器にスタートアップから急成長した会社(C社)で活躍中です。
 約55年の会社員生活をあらわすモチベーション・レベルチャート(いつもの仕事人生満足度曲線に代わるMさんオリジナル)をいただきました。

 大学の工学部機械系の学科を卒業後、精密加工技術を応用した先端電子部品を開発する仕事でキャリアをスタート(A社)する。
 上図チャートで見るように、好奇心いっぱいの学生時代を過ごしたせいなのか、当時の職場に必要な専門とは直接関係ない仕事(コンピューターシミュレーション)を始める。それをやらせてもらうために上司を説き伏せたそうだ。
 結果的に彼の提案は成功し品質工学賞を受賞。その組織を活性化することになる。まさに今で言う多様性の先取りだった。

本社に出向(栄転)、職種が180度変わって疎外感を味わうも、ここからが真骨頂

 ソフトウェア技術専門職でB社転籍、米国赴任と順調にキャリアを重ね本社へ出向。ところが、そこで営業技術系の職種に転換、仕事のやり方がこれまでと180度変わる。要領もつかめず、はじめはメンバーとして扱ってもらえず疎外感を味わう。職場の人間関係にも悩む。モチベーションレベルがワーストに。
 このNoteの過去記事で何度も見てきたいわゆる”人事の妙”か?
 と言うのは、今までの経験(ソフトウェア専門技術)を活かしながら、顧客自身に潜在的ニーズを気づかせるような提案型営業のやり方を試行錯誤で身につけていき実績成果が出だす。展示会や社外の研修などにも参加し継続的スキルアップも怠らなかったそうだ。モチベ・チャートも急上昇。
 結果的には”人事の妙”だったのかな?(筆者思う)

自分の強みは二刀流

 Mさん自身も「自分の強みは二刀流」と言えるようになりましたと。メーカー側と顧客側両方の立場・考え方が分かるようになってきたと。そして、営業と技術、エンドユーザーとベンダー、ハードウェアとソフトウェアと常に二方向からものを見るようになり、常にバランスを意識して仕事をするよになったと言います。
 この二刀流で危機を乗り越え、手ごたえを感じ、モチベーションレベルもどんどん上昇します。
 

57歳で早期退職して転職!行き先未知の来た電車に飛び乗る癖

 そして57歳で早期退職して転職。上昇傾向中に、なんで転職?
 「目の前に来た電車、しかも行き先が分からない電車に飛び乗ってきた人生。人生は旅のようなもの」とMさんは言います。たまたま来た電車に乗ったら新たな人の出会いがあり、チャレンジすることになるのだそうです。新卒後のシミュレーション提案もそう、今回の転職もそう。
 ある知人から誘われC社への転職を決意。ある展示会でたまたま会った知人で当時ライバル企業の人だったが、C社へ移っていたことが縁だった。転職の理由は3つ。
 二刀流の強みが活かせる。新しい挑戦。そして、このC社が70歳定年制を採用していること。もと居たB社は60歳から年収ダウンで65歳定年だった。C社ではB社と同じ年収レベルが維持でき、制度上70歳まで働ける。
 C社のような制度を持つ会社に良い人材が集まるってことですね(著者)
 Mさん曰く「これが運をつかむ努力」で「来た電車に乗っちゃえ!」って。

Mさんの働く意味は?

 Mさんの「働く意味」を見てみましょう。著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」はこんな感じです。

 彼の労働観の特徴は、「地位」より「自己実現」「絆」、その他の「働く場所があるという幸せ」です。
 「おカネ」が最高得点なのは?妻に子育ての負担をかけてきたし、ずっと一緒に居てくれて「何気ない日常こそが幸せだ、と気づかせてくれた」ことへの感謝の気持ちを行動で表すためのおカネだそうです。
 何に使うのかなぁ?いろいろ計画があるみたいです。(著者)

「働くモチベーションの6つのカテゴリー地図」働き続けることが喜びと健康


 「学習のモチベーション」を描いたマップ(参考文献は下図に記載)を参考に、「働くモチベーションの6つのカテゴリー地図」というのを作ってみました。

 働き続けることで、若い人と接し、最新IT技術にも触れられる。それが喜びや健康にもつながっていく、と。
 「いつまで働きますか?」という問いには、「70歳定年で自由度ができ、気が楽になったけど、65歳ぐらいで一区切りつけたいかなぁ?その先はまだ考えられないです」と。
 と言いつつも、資格をとって個人向けトラベルサービスの小ビジネスでもやれれば良いかなぁ、って言われていました。

後記:


 「二刀流」と「来た電車に乗っちゃう」は印象的でした。運をつかむコツなのでしょう。Mさんは、周囲から「幸運の下に生まれてるよね」とよく言われるそうです。学生時代からの変わらぬ好奇心旺盛なせいなのか?Mさんの老後も新しい挑戦は続きそうですね。
 これまで26名のインタビューをしてきて、現役中で定年退職後の具体的なプランまで持たれている方はまだ少数です。とは言え、定年退職したら会社とは縁が切れ、自分自身で道を開拓・選択していくしかありません。多くの会社員にとって本当の意味での自立は定年退職後になるのでしょうか?




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