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【毒親連載小説#45】中国渡航編 1-5〜起死回生の道〜

この頃、時代は2002年。

私はやっと親から逃れ、
自分の道を進んでいるかの
ように思っていた。

そんな矢先に私はなんと、
SARSの渦中に見舞われた。

私は突然、平穏な世界から
恐怖の奈落に突き落とされた。

今はコロナが世界中で
猛威をふるっているわけだが、
当時のSARSもまた
原因不明のものとして
中国では大騒ぎになっていた。

私の勤めていた学校も
突然、閉鎖された。

私は社員寮で一人、
ニュースを見ながら
部屋に閉じこもり続けていた。

ニュースでは毎日のように
宇宙服のような防護服を着た人が
バスに大量の消毒液をかける姿が
印象に残っている。

私の頭は恐怖と混乱で
完全にパニックになっていた。

当時、まだ将来の見通しも
まったくつかない未熟すぎる私で、
とりあえずこの混乱を避けよう。

そう思い私は
帰国という道を選んだ。

このように私の
順風満帆のように見えた
中国生活も突然、幕を閉じ
またもや宿命の地である
日本に引きずり戻された
のだった。

(つづく)


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