見出し画像

【毒親連載小説 #29】気づけない父のモラハラ 4

私はこの両親と長い間、
関わり続けていく中で
期待しては裏切られる
という繰り返しを続け、
無数に生産され続けてきた
怒りや恨みがぎっしりと
心の中に埋め尽くされていた。

また、
親の理不尽な行動の数々に
私は命をすり減らし続け、
気がつけば自尊心も自己肯定感の
かけらも全て捨て去りながら
どうにかこうにか生きてきた。

いや、私は死なないように
必死で捨て続け、
相手に従順に従うことで
生き延びていたのだと思う。

この踏み潰された自尊心を、
この鬱積したを気持ちを、
この恨みを一体、
どこにぶつけたらよいのだろう。

一体、どうしたらよいのだろう…。

私はそんなくすぶり続けた憤りを、
鋭いナイフのようにギュッと
心の裏側に隠し持ってきた。

こんな家庭環境に加えて
追い討ちをかけるかのように
私に課せられたのは
「国家」という重たい足枷だった。

それは、
空気の存在があまりにも
大きすぎて見えないように、
当時の私にとって、
国家という存在への葛藤は
あまりにも大きすぎて、
探せど探せどその問題の根っこは
一体、どこにあるのか?
見つけ出すことはできなかった。

しかし、
「国家とわたし」という問題は、
確実に私のアイデンティティと
精神的生命を蝕んできた。

その序章は幼稚園の頃、
突然、こんな形で訪れた。

(つづく)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?