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5時




今日を海へ
 
めざめたときに降って来るものを
守っている、
そのままの声で
放して
 
しずかに開いた わたしの意識に
ちらちらと燃えている漁火、
追いかけた
夜も 朝も 重なり合った時間に立っている
 
つまさきの冷たい感触
 
海から 空へ昇る
淡いまぼろしの色、なでる手で
のぞむように生きて、
傷ついた言葉の
帰る場所へ
 
本でいっぱいになった海辺の部屋で、崩れた
わたしの輪郭を 流してくれた人、
波間へ
隠すように包んだ手で
運ばれて
 
読むたびに 書き換えられてゆく手紙に
織り込まれた 海の音、
名前のない夜にも 開かれて、
なんどでも 出会う
 
話したくなる
 
なにも始まっていない始まりだけが
ここにあること
 
海の中で まだ眠っている
あなたと

ここに来たこと






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