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15時



望んだことを
隠さずに、目の奥にいる人影から
逸らせない視線も連れ出して
歩いた、
日の光に投げ出した手が
途切れかけた空からの色をつなぐ、今も
人間に降る雨、受けている僕にも
降り注ぐ視線、未来の自分以外の
なにものでもないサイン、ちゃんと
見逃してはいないから、過去の僕へ向けた
眼差しが巡る軌道を愛した、どうせいつかは
消せない指紋だらけになる宝もの、変わらずに
包む手のかたちを なぞってみる、
意図など
伝わらないまま走り抜ける詩が
風のように
舞い上がる街で、声にしてみたこと、きみは
忘れて走り出しても、よろこんで
溶けて行く
その目で引き寄せて、しなやかな腕に
込められた想いが重なる みなもから
伝わるやわらかさ、この足が
間違えながら向かえる あしたのような
匂いがしたこと、いつも
ぼやけて見えないものを信じられた
きのうのこと、
とても嫌いになれないまま受け取った
鍵の
ひんやりとした部分で指を
遊ばせていること、
きみにも言わずに 新しいドアを開けた、
だれも
たずねてこない思い出に
今日の海が どこまでも広がる、
忘れたくないこと、うれしくて包み込んだ、
未来からの視線に 胸で答えて
見つめ返した
どこでもない空のはしっこ、
だいじょうぶ、
僕がいる場所。






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