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丸まったブタ肉と皿についたハヤシライスと奥さんとわたし

わたし
「また、ギュッて丸まってるやん」

奥さん
「油断してるとギュッてなっちゃうんだよね」

何がギュッと丸まっているのか……?

冷凍から解凍を通り過ぎて、レンジで温められ、縮こまった豚肉は、一部が白くなり、ギュッと丸く固まって、こんな感じになっています。


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ブタや牛のコマ切れを塊のまま、強火で熱すると、肉たちが一致団結して、このように丸くなったりしますよね。

この部分は、噛むとガシガシして、味もあまり沁みません。貧乏性で、もったいない爺さんのわたしは、これを見ると、とても残念な気持ちになります。

なぜ、もっと彼の個性を伸ばしてやることはできなかったのだろうかと……。

なので、どんな肉でも冷凍→解凍は慎重に行い、火加減にも気を遣いながら調理していきます。

対照的に奥さんは何をするのもダイナミック。いつも最短距離を行きます。

車を運転していても、内輪差でタイヤ擦るギリギリのスリルを楽しんでいるかのごとく、最短を走ります。ちなみに運転はめっちゃ上手い。

自分でも「生き急いでいるかもしれない」と言うほど潔く、回り道も好まない人です。新しい路地を見つけたら、必ず入って迷子になるわたしとは正反対。


そんな奥さんの料理は基本、中~強火

炒め物は香ばしく、煮物は照り照り、揚げ物はカラッと絶妙。仕事から帰って、4人の子どもに最短で最高のものを作る熟練の技。そうやって料理を作る過程で、ブタ肉が犠牲になってしまうのです。

それを何とかして欲しいと伝えると、

「手の込んだ料理は、あなたの方が得意だから、休みの日に作ってね。ありがとう」

ぜんぜん聞いとりゃせん!

でも、ここまで潔いと、それ以上言えず、丸め込まれる感じです。すべて計算なのでしょうか。

このようにして、わたしは、ちょっとずつ料理が上手くなっていきます。


🐽     🐽     🐽


あと最近もう一つ、妻にお願いしたこと。

ハヤシライスの皿ベトベト問題です。

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奥さんの作るハヤシライスは、死ぬ前に食べたいベスト10に入るぐらい好きなのですが、肝心なのはその後。

奥さん食べた後、ハヤシライスの皿、めっちゃ重ねるんです。

ちょっとキーッてなりませんか?

な、ならない……ですと……わたしだけ??

洗い物担当大臣として抗議します。

「本来、そんなに力を入れて洗う必要のなかった皿の底まで、全力で洗わなきゃいけないから、時間もかかるし、洗剤もったいないやん」

これに対し、奥さんは冷静に

「底もいつも綺麗に洗うものでしょ。私はあなたの洗い残しもいつも黙って洗っているのよ」と言われて……


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となるわけです。

思い返してみると、わたしの家事に対し、奥さんが、とやかく言ってくることはまずありません

「これは、こうやって欲しいなぁ」という事はたまにあっても、ぬるぬるの洗い残しがあったとすれば、黙って洗いなおしてくれます。

洗濯でも、天地表裏も分からないメガネザルのようなこやつを適当にひっかけて干していたら、何も言わず形を整えて干しなおしたりしています。

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なあ助けあっていこうぜ」という無言のメッセージです。

これを見ると、お釈迦さまの手のひらの上を飛び続ける孫悟空のような感覚になります。

「ワタシノ イッテイルコト ツタワリマスカ?」
行動が、即座にコトバに変換されて、ビンビン伝わるのです。

そうして自分でも、気付かないうちにどんどん守備範囲が広がっていきます。ハヤシライスの皿を汚し続けるのも作戦なのでしょうか。


🍛    🍛    🍛


あと容易に褒めてくれたりもしません。これは子どもに対してても同じです。

でも、ふとした時に「仕事忙しいから、ほんと助かるわ」とか「こんな家事してもらえて、私は幸せもの」とアイメッセージを送ってくるツンデレ野郎です。

「あなた、少しぐらい手伝ってよね!」ではなく、「私は、こんな手伝いをしてくれる旦那さまがいてラッキー」って言われたら、手伝いたくなりますよね。

そして、やり始めた家事に慣れて、少しサボると「あなたのセクションよ」ときっちり結果にコミットを求める家事ザップ。あなたも入会してみませんか?

こんな感じで、基本、あまり期待せず、サポートするスタイルを貫いているから、わたしも子どもたちも料理を作って、奥さんを喜ばせたくなるのかもしれません。


奥さんとは、好きなものや趣味も違います。好きな食べ物だけは同じで良かったね。と言うぐらい性格も違います。

でも目的は一緒。プロセスが違うだけです

家事力が鍛えられていくにつれ、奥さんと似たようなプロセスになっていくのだから、夫婦って面白いものですね。

これからも、ブタ肉をギュッとさせたり、ハヤシライスの皿をベトベトにしたりはしませんが、最近は、そうなっても仕方ないよね。

と、ちょっと大きくなった自分がいます。

違いを許せたり、認めあったりできるようになると、さらに夫婦はおもしろくなる。


と三蔵法師のような奥さんから学んだnoteでした。





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