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文藝春秋とnoteで開催した、「#未来のためにできること」投稿コンテストの審査結果を発表します!

2022年8月1日から約1ヶ月半にわたって開催した、よりよい未来のために、あなたがやりたいと考えていることや実際に行動していることにまつわるエッセイを募集した「#未来のためにできること」投稿コンテスト。期間中(8/1-9/20)には、7,928件もの作品をご応募いただきました!「未来のために、今取り組むこと」について考えさせられるすばらしい作品を投稿いただき、ありがとうございます。

noteでの応募作品一覧は、こちらをご覧ください。

審査会にて、審査員である谷尻誠さん・角田光代さん・新谷学さんの3名と、文藝春秋 note担当による選考の結果、下記のとおり受賞者が決定いたしました。

なお受賞作品は、雑誌『文藝春秋』2023年1月号(12月9日発売)・文藝春秋digital文春オンラインに全文掲載されています。

グランプリ

ただ美しいドレスをつくる #未来のためにできること

わたしが未来のためにできることは、ただ美しいドレスをつくること——。ドレスの仕立て屋・リメイク作家のタケチヒロミさんが、自身の仕事への想いをつづった作品が、グランプリに選ばれました。
審査員からも「もともと日本は着物を最後まで使い続ける文化があったので、その現代版ととらえると価値のあることだと思いとても共感した(谷尻誠さん)」、「好きなことをしているのが今の時代にも合っている。花嫁さんたちも、環境にいいからというよりは、そこに別の物語があるからという背景がすなおに書かれていて、生活に根差している点もいいと思った(角田光代さん)」、「肩肘をはってがんばるのではなくて、美しいドレスを作ることが結果的にSDGsにつながっている。正直な感情がわかりやすく、ストレートに伝わってきた(新谷学さん)」「自分の好きなことが、自然にSDGsに結び付いている作品であり、押しつけがましくない日常生活に根付いた活動に好感が持てた(文藝春秋note担当)」と評価され、活動の有意義さ、そしてまっすぐな気持ちを表現したことによる共感性の高さもポイントとなりました。

『文藝春秋』に掲載されるチャンス! という文言に惹かれて応募しました。いまわたしはドレスの仕事をしながら通信制大学で文芸を学んでいますが、これはnoteがきっかけでした。書くことはわたしの人生を豊かにしてくれました。ですから、noteとの連動企画で『文藝春秋』に掲載していただけるなんて、ほんとうに夢のようです。そして、ドレスのことを書いて選んでもらえたのもうれしいです。このたびはどうもありがとうございました。

タケチヒロミさん

優秀賞

生き残った特攻隊。

戦争について、自分の言葉でまわりに伝えていくという結論には共感しながら、おじいさんの「タオルが上手に畳めた」というひとことがいいですね。印象に残る場面として、とても効いていると思いました。

角田光代さん


買い物は「未来への投票」だと言われた話

環境に配慮した買い物は、小さく抜本的に始められるいいアクション。かず&みなさんのような意識を持つひとが増えれば、作り手もそういうものを作るべきだという意識に変わっていくのではないかと思います。

谷尻誠さん


【女子アナ】辞めましょ。

文章が、非常にリズムがあって上手だなと思いました。また、最後の「私たちの明るい贖罪の旅」という部分について、「女子アナ」という言葉に対する反感ではなくて、自分たちも加担してきてしまった反省も込めて、新しい未来を見たいという点がいいと思います。

角田光代さん


世界の誰かの未来のために。#未来のためにできること

東南アジアの子どもたちを積極的に支援する姿勢に感銘を受けました
。(新谷学さん)家族の定義が大きく変わりゆく社会に生きているので、こういう価値観を認めていくことは必要だなと共感しました。(谷尻誠さん)


「誰か」を「あの人」にかえていく

「あの国の人は」と考えると差別の問題は生じやすいですが、個人を知っているとそのようには考えられないなという想いはずっとあって。誰かではなく知っている人に変えていくと気持ちも変わる、という点に共感しました。

角田光代さん


なるべく砂を残したい。

文章に元気があって読みやすく、なにげない一場面を鮮やかに描くことで、テーマにつながるものがじんわりと伝わってきました。SDGsのエッセイとして、このような伝え方は個人的にも良いなと思います。

新谷学さん


妊娠を喜び合える社会に

この作品に書かれていることは、多くの職場で起こっている、あるいは起こっていたことだと思うので、広く共感を呼ぶ内容だと思いました。大変実感がこもっていて、説得力もありました。

新谷学さん


プラスチックは永遠に

「ほかでもない私が彼らに死を与えていた。」という一文がとても印象的。自分はポイ捨てなどしていなくても、プラスチックを使うことで結果的に自然界に影響を与えてしまっている、ということを強く訴える力がありました。

角田光代さん


平和へのバトンタッチ

戦争を世代を超えて語り継ぐことの大切さを改めて感じました。
(新谷学さん)おじいさんの最期の言葉が印象的です。愛情に限らずそういう感情を持ち合えることが平和な社会につながると思います。(谷尻誠さん


未来の生き方は限界集落に聞け

最先端ですね。私も北海道にある敷地を買い、自給自足ができる場所を作ろうとしているのですごく共感しました。(谷尻誠さん)先住しているお年寄りから生き方を学ぼうとしている姿が、非常に美しいです。(角田光代さん



姪と地球

具体的なアクションではないものの、6歳の子が106歳になる未来を見るという視点が面白かったです。(角田光代さん)同じく、100年という単位で見るという点がすごくいいなと思いました。(谷尻誠さん)



冷蔵庫からSDGsを考える

年長者に「SDGs」と言ってもなかなか伝わらないこともあると思うんです。そんなときに、こういう伝え方もあるよという、わかりやすい例を提示してくれていいいなと思いました。

角田光代さん

各審査員からの総評

谷尻誠さん

普段は文章を審査する機会がないので、とても楽しく読ませてもらいました。建築家として建築を評価するときに、それが問題解決なのか、あるいは問題提起なのかという点に立ち返るのですが、今回は問題解決の範疇にあるものが多かった印象です。次への提案があるとより良かったと思う作品もありました。ただ、未来のためにできることを自分ごと化して実際にアクションしている人も多く、たくさん共感を得られました。

■角田光代さん

どういうエッセイが集まるのだろうと思っていましたが、非常におもしろかったですし、作品を読んで「こういうことでいいんだ」と気付ける作品が多数ありました。以前から「SDGs」という言葉をうまくキャッチーな日本語にできないかなとずっと考えていました。今回そのような表現は見つからなかったのですが、今後もし見つかれば、もっとSDGsが定着していくのではないかなと思っています。

■新谷学さん

SDGsは一歩間違えると絵空事に思われがちですが、作品を読ませていただいて、真面目に誠実に、心底これが大切だと思って日々取り組んでる方がこんなにいるのかと驚きました。それが言語化されたことによる説得力も感じました。特にグランプリの作品は、エッセイとしての文章力だけでなく、日々活動されていることが有意義であり、その両方が自然な形で結びついていたと思います。

・・・

投稿期間は終了しましたが、未来のためにあなたができることについて、あらためて考えるきっかけになれればと思います。

ほかの投稿作品についても、以下URLよりぜひご覧ください。

コンテストを振り返って

以下、文藝春秋 note担当からのコメントです。

「note」と「文藝春秋」。
姿・形は大きく違っていても、創作(書くこと)を大事にする想いは共通のものです。
その両者が読者やクリエイターたちと一緒に未来を考える企画がこの「文藝春秋×note 文藝春秋SDGsエッセイ大賞」でした。
環境、エネルギー、安全保障、気候変動、教育など、山積する課題から目を背けるのではなく、自分ゴト化していきたい、それがスタート地点でした。
お陰様で我々の予想を遥かに上回る7,928点の応募をいただきました。
すでに自分ゴト化して動き出している方、新たにスタートを切ろうとしている方、確固たる信念をお持ちの方……、
その内容の濃さは、応募点数以上に我々の期待を上回りました。
この場を借りて心からお礼申し上げます。
創刊100年を迎えた「文藝春秋」もこの先の100年に目を向けて、読者やクリエイターの皆さんと、豊かな未来を切り開くための発信を続けていきます。


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