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【全24回】友情・努力・勝利などいらない

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少年漫画の三要素が自分の人生には無縁だった話。
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あとがき

あとがき

普段はnoteのマガジンをフォルダとして利用している。先に記事があって、それを分類するためにマガジンがある。本来はマガジンが先にあって、そのテーマに沿って記事を書くのが自然なのかと思う。

それを実際にやってみたのが前回までの話。

僕の記事は基本的に500字程度の自問自答なので、どんなに些細なことでも何か取っ掛かりがあればそれなりに納得感のあるところに着地する。書き始めれば何とかなる。

件のマ

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なるようになれ

なるようになれ

友のために身を削らない。
目標に向かって努力しない。
勝つことに気力を割かない。

三週間にわたって友情・努力・勝利について考えてきた。いろいろ理屈をこねたが、すべての根底にあるのはたった一つの単純でわかりやすい理念である。

頑張らなくていい。

友情・努力・勝利の物語はおしなべて主人公が頑張っている。頑張る過程において苦労は美化あるいは簡略化され、その何倍もの見返りが輝かしい成功として肯定的に

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負け犬の論理

負け犬の論理

為せば成る。やれば出来る。今日からお前は富士山だ。

最後のみ松岡修造さんの語録から引用。
まあ富士山かどうかはさておき、これはたしかにそうだと思う。身の丈に合った目標設定は大前提となるが、大抵のことは頑張れば何とかなる。

ただし、相応のエネルギーが要る。僕は熱血漢からは程遠い男子なので、普通に過ごしていたら血はたぎらない。自らの意思で何かを燃やして加熱しなければならない。

このときに消費する

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ガッツが足りない

ガッツが足りない

最近だとスプラトゥーン2に対する諦めがとくに早かった。最近といっても6年前になるが、前作の評判を聞いて対人ゲームと知った上で発売日に買ったのに一度も対戦することなく積みゲーの仲間入りを果たした。

そもそも戦っていないので負けていないし、悔しくもない。勝利を諦めたというより、挑戦することを諦めたのである。

少なくとも購入した時点で挑戦する意思はあった。仕事は忙しかったが、ゲームを遊ぶ時間くらいは

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取扱い注意

取扱い注意

なりたい自分がいるからできない自分が生まれる。夢を追わずに生きる僕には基本的に「なりたい自分」はいないのだが、厄介なことに「できない自分」は競争によっても生まれてしまう。

悔しさは人を成長させる。

明確な勝負だけに限らず、勝手にライバル視して勝手に負けた気分になっていたものを含めると数えきれないくらい多くの敗北感を味わってきた。

その悔しさをバネにしたから今日の自分があるのは間違いない。現状

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負けず嫌い

負けず嫌い

子供の頃、父とゲームをしては負けてよく泣いた記憶がある。勝利について考えるなら敗北とも向き合わなければならないだろう。勝ちたいと思わない、むしろ勝ちたくないと思いながら、同時に負けたくないという気持ちもある。

ゲームというのは「はさみ将棋」だ。将棋の駒のうち歩兵だけを使って遊ぶゲームで、自軍の駒で相手の駒をはさんだらその駒を取ることができる。

全滅まで行かなくても一定の差がついた時点で決着らし

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勝利の栄光は誰の手に

勝利の栄光は誰の手に

賞レースなどでよく耳にするフレーズである。
栄光を辞書で引いてみた。

久しぶりに聞いたよ、ほまれ。

つまり勝利にはもれなく栄光がついてくる。とくに賞品が設定されていない場合でも勝てば名誉だけは得られるということだ。闘争本能がなくても、モテに興味がなくても、名誉欲があれば勝利へのモチベーションになる。

イラナイ。名誉べつに欲しくない。

名誉欲は承認欲求とほぼ同じものだと思う。しかし、言葉の持

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勝利の美酒

勝利の美酒

強い男がモテるのであれば、普通の男子なら女子に格好良いところを見せたいものだろう。闘争本能が過去の遺物だとしても、モテは勝利に対する十分なモチベーションになり得る。

ただ、僕は闘争本能だけでなく、女子にモテたい願望もない。なんかもうオスとして致命的な感じがするが、ないものはないのだから仕方がない。ちなみに男子にモテたいわけでもない。

不特定多数からチヤホヤされたいと思わないし、たとえこちらから

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時代遅れの男性像

時代遅れの男性像

強くなければ個体として長生きできないだけでなく、子孫の繁栄もままならなくなる。動物のオス同士が一匹のメスを巡って争う例があるように、オスには強さが求められる。闘争本能はオス特有のものだとする見方もある。

その名残が人類に残っているとしても、もはや時代にそぐわないだろう。強い男性がモテるというイメージはそれこそ漫画や映画の影響だと思われるが、ことさら世代間ギャップが大きそうな価値観である。

人間

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生存戦略

生存戦略

基本的に社会は勝てば何かが得られるように設計されている。数に限りがある物品はもちろんお金のような分配できるものも全員には配らず勝者に多く与えたりする。競わせて成長を促すためだ。

そんな競争社会に生まれてきたからパブロフの犬のように条件反射で勝利に垂涎するのではないか。あくまで後天的なものであり、元々人間には勝ちたいという欲求はなくて、劣等感から逃れるために相手より優位に立ちたいだけではないか。

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スポーツマンシップ

スポーツマンシップ

僕はスポーツマンでも何でもないので見当違いなことを言っているかもしれないが、ルールに則って正々堂々と戦うことはたぶん善悪の話ではない。「正しい」とか「誓う」とかの言葉に酔って観客が選手に人間性を求めるのは筋違いだと思う。

選手宣誓のアレはダーティプレイを牽制している。参加者のほとんどはルールが守られる前提で技を磨いてきたのだ。勝敗は技の優劣を競うためにあって、それ以外の要因で結果が決まることは望

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次は勝利について

次は勝利について

勝利にも色々な形がある。一番メジャーなのは勝負事で相手を負かすことだ。力で圧倒したり、知恵で出し抜いたり、点数を多く取ったりして相手との優劣をはっきりさせる。

広義には敗者のいない勝利もある。夜中にラーメンが食べたいのを我慢したときに誘惑に勝ったなどと表現するが、誘惑さんはべつに負けたと思っていない。他にも寒さや病気に勝ったりする。

それらはしばしば努力の原動力になる。勝ちたいから努力する。努

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青い鳥(後編)

青い鳥(後編)

メーテルリンクの青い鳥を思い出す。

貧しい兄妹が幸せの青い鳥を探す旅に出かけるが、見つけられずに家に戻ると飼っていた鳥が青かったという話だ。大昔にアニメで観た。

「夢はきっと叶う」風に言えば「幸せはきっと身近にある」となるだろう。きっとと言いながらどちらにも確信はない。夢は叶うかもしれないし、叶わないかもしれない。幸せは身近にあるかもしれないし、ないかもしれない。

同じ不確定なものなら僕は身

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青い鳥(前編)

青い鳥(前編)

努力と素質が結果に影響するのは間違いない。

ただ、血のにじむような努力をしたとか、持って生まれた素質があるとかはぶっちゃけ個人の都合に過ぎない。夢は得てして社会や環境との関与を必要とし、必然的に自分ではどうにもならない力に左右される。

容姿に恵まれて歌とダンスが上手くても偉い人の目に留まらなければアイドルにはなれないのだろう。金メダル獲得のために努力を惜しまない天才も同世代にスーパー天才がいた

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