【幣原発案説の虚妄(第5回)】9条幣原発案説の亡霊(7年前に書いた文章)
<まえおき>
笠原十九司氏の『憲法九条論争』批判をこの調子で続けていくと、何十回経っても連載が終わりそうにないので、同書への批判はいったんここで脇へ置き、今度は、近年の幣原発案論者のもう一人の重鎮である堀尾輝久氏の近著『地球時代の平和への思想』(本の泉社、2023年)に焦点を当てたい。堀尾氏は「平野文書」に依拠することなく、幣原発案説を主張しているという意味で、むしろ伝統的な幣原発案説の系譜に連なる人である。本書の中には、堀尾氏が『世界』2016年5月号に寄稿した論文「憲法