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空想とアイデアで生み出す物語の力

あなたの持つ可能性を最大限に開発、実現することで、もっと自分らしく生きる。
世界がひろがるアカデミー」校長の倉本美津留が聞き手となり、ショートショート作家 田丸雅智の空想とアイデアで生み出す物語の力に迫る。

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──そもそもショートショートとはどんなものですか?

ショートショートとは、簡単に言うと「短くて不思議な物語」です。空想やアイデアの力が問われる小説ジャンルですね。
なので、このショートショートを読むだけでも日常の見え方が変わったりします。

たとえば、同じコップを見ても、前までは当たり前に「ただのコップはコップだよね。」と思っていたことが、ショートショートに親しむようになると、「もしかして、コップを覗き込んだら違う世界が見えるかも?」のような感じで空想が日頃から芽生えるようになります。空想の力、アイデアの力は日常生活でも仕事でもいろんな場面で役に立つので、まずはどの作家さんのものでもいいのでショートショートの本を手に取っていただいて、読んでみてほしいなと思います。

そんな中、ぼくが普段から言っているのが、『読むだけでもいいですが、ぜひ自分でも書いてみませんか?』ということです。実際に自分で書くことで広がる世界というのは、やっぱり全然違うものがあると思っていて、読者としての読み方にもいい影響が出るのではないかな、と。

僕はいつもいろんな所で書き方講座をやらせてもらっています。
下は小学校1年生くらいから、上は80代90代の方まで。企業や少年院でもやらせてもらっているのですが、いつも「まずはお話を書いてみませんか?」と。

でも、いきなり「書いてください」と言われても、多くの方は戸惑いますよね。やり方なんてわからないし、自分には無理だ、と。
そこで講座では、そんな方でも大丈夫なように「誰にでも書ける」と謳っているメソッドをご用意しています。穴埋め形式でアイデア発想から作品完成までが出来るようになっているので、現場でもほんとに皆さん書いてくださっています。

作文とか国語が苦手な人ってすごく多いと思うんですよね。でも、この方法を使えば、そんな方でも全く問題なくショートショートを書くことができます。その経験で「文章を書くって面白いな」「創作って面白いな」「意外と書けるもんなんだな」と感じてほしい。

書き方を習ったら「プロを目指さなきゃいけない!」訳ではまったくなく、趣味としてでも親しみつづけていただけたらいいなと思っています。
もちろん、プロを目指していただく分には僕も嬉しいのですが、ショートショートであれば読むのもすぐですし、書くのもすぐなので、取っ掛かりとしては凄くやりやすい。かつ、やればやるほど想像できることがどんどん広がって、「こうであるべき!」「こうでないといけない!」という足かせからもどんどん自由になっていきます。それが日常を変えていくヒントにもなりますし、とっても日々が楽しくなるんですよね。

能動的にもなれる、ということでショートショートの執筆っていうのは趣味としてもとってもお勧めですし、気づくものがあります。今回何らかの形でまずは体験。話を聞くだけじゃなくて、皆さんにも書いてほしいなという気持ちは凄くありますね。

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──今回受講してもらう中での目標は『楽しむ』こと。

いつも言っていることなんですが、講座で一番大事にしていることは、とにかく『楽しむ』ということなんですね。
ショートショートを書くことで、最終的に身につくものは色々あります。
文章力は分かりやすいところですが、ほかにも例えば発想力。それから、広げたアイデアをつじつまを合わせながらまとめないといけませんので論理的な力・まとめる力。作品を介して人とやり取りをするという意味では、コミュニケーション力などにも通ずるものがあるとも思います。

ただ、そういった力を身につけようという意識も大切ですが、一番はあくまでも楽しむこと。なので、講座の中でも目標も『楽しむこと』です。
特に小説の創作と聞くと、小難しい感じとか、悩まないといけないとか、孤独なイメージなんかもあるかと思います。確かにプロであればそういう側面もあるんですけど、まずは楽しみながらショートショートの醍醐味に触れていただければいいなと。

それから、特に少年院でみなさんにお伝えするメッセージなんですけど、受けた後に挑戦するということ自体へのハードルが下がればいいな、という思いもあります。

ぼくの講座の内容としては「ショートショートを書きましょう」「書けるようになるメソッドがありますよ」から入って、そして実際に受けてもらって、作品ができましたとなります。
ここで「小説っておもしろいな」「創作っていいな」で終わっていただいてもいいのですが、「あれ?待てよ」と。
「今日は書けないと思っていた小説が書けたけれども、これって他のことも一緒なんじゃないか?」と。何でもやる前から自分にはできない、関係ないなどと思わずに、まずは挑戦してみる。食わず嫌いにしているだけで、ちょっと考えたら、取っ掛かりって意外といっぱいあるのではないかな?という風に気づいてほしいなというのもありますね。

(倉本)そういうことに気づいてくるんですよね、やると。

なります!なると思います!
そうなったら嬉しいとも思っています!!

──実際に書くことでわかる自己発見。

(倉本)ショートショートを作る時に入り口のHow toは教えてもらいますけど、出てくるものは結局自分の中からしか出てこないですもんね。ていうことは、自分の中に『こんなものがあったのか!?』という自己発見にもなっていきますよね。

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なります。めちゃくちゃなりますね!
特に初めて書く方はまだ書き方が分からない、メソッドに従って出てくるものを繋いでいくとできる、というものなので。意図せず書いた初めての作品には、おのずと自分が反映される傾向があって、自己発見につながる部分もあると思います。

(倉本)「意外と自分って能力あったんだ」って気づかずにきている人もいるので、それは大きいですよね。

いや、めちゃくちゃいます。めちゃくちゃ大きいです。
しかもそうですね、ときどき大人の方から「やっぱり子供のほうが頭柔らかいでしょう?」というふうに言われることがあるんですね。僕も何万人かに教えさせてもらっているんですけど、個人的に自信をもって言えるのは、大人のほうが面白い物語を書けます、ということです。
それはなぜかというと、まず頭の柔らかさは大人も子供も実は同じだと思っていて。

一見して大人のほうが頭が硬そうに見えるのは、常識とか思い込みとかルールなどの、いうなればヘルメットのようなものを被っている状態です。
それをまずは取りましょうというのがメソッドなんですよね。
で、メソッドで取れました。ってなったら柔らかさは一緒ですよと。

次に効いてくるのが『経験』なんです。
子供の場合は、まだ経験が乏しくても読書を通じて疑似的に経験を重ねていることがあって、だから本読みの子が面白いものを書きやすいんですけど、大人の場合でいうと読書好きも含めて、別に本を読んでなくても経験ってあるじゃないですか。絶対。20年30年生きていると、ないはずがありませんよね。

「何作も書いてください」と言われると、これはまたちょっと違う話になってくるんですけど、まず1作をと言う時にその1作が書けない、下地になる経験がまったくないという大人の方は基本的にはいないんですよね。
だからどなたでも書けますし、かつ面白くなるっていうのは大人のほうが言えることです。

講座でぼくは、そんなように下地はあるのに空想する・発想するということに慣れていない方を、『開眼させる』というとおこがましいんですけど、ニュアンスとしてはそんなことをやらせていただいている感じです。
あるいは、元々その方の中にあるものを針で突くような感覚というか。そうすればあとは自然とあふれ出てくるので、その経験が今後のヒントになったらいいなと思っています。

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──最後に、どんな方に受講していただきたいですか?

これまでで僕の知る限りで一番面白い事例、顕著な事例があるんですけど。
荻窪に6次元というブックカフェがあって、そこの店主のナカムラさんという方の話なんですが、ナカムラさんは元々絵がお好きで、いわばビジュアル先行の方だったらしいんですね。文章はむしろ苦手と言うことで。

ぼくはこれまでその6次元で何度も講座をやらせてもらってきているのですが、初めて開催したときに、当日ナカムラさんも横で一緒に受けて作品を書いてくださったんですね。そうしたらその日を境に文章を書くことに目覚めたらしく、そこから毎日文章を書くようになられて。そして、なんと2019年には文章の書き方講座の本まで出されてしまいました!(笑)

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ぼくも本当に嬉しかったですね。
これは極端な例かもしれませんけど、今回受けてくださる皆さんにも、少しでもそんなふうに変化があればいいなと願っています。
それから、もうひとつよく言われることなんですが、「誰でも書けると言ったって、とはいえ自分には書けないだろう」とか「作文苦手ですから無理無理無理…」と。不安に思うお気持ち、疑うお気持ちはとてもよく分かるのですが、本当に書けるので安心してください、とお伝えしたいです。
あ、もちろん詰まった方へのサポートはあります。それも含めてなんですけど、本当に安心してもらって大丈夫なので、騙されたと思って受けてみてほしいです。

(倉本)今回、全然自分が興味ない人の授業を受けると言うことが僕は重要だと思っていて、そうなるのが面白いとも思っています。田丸さんのショートショートのことを全然わかっていない「◯◯のファンだから来ている」みたいな人とかが受講して、「え!」みたいなことが起きるというのが理想ですよね。

最高ですよね。むしろ僕のことをみなさんが知らないほうが嬉しいぐらい。
冗談半分でよく言うんですけど、万年アウェーでいいというか・・・もちろんホームがいいんですよ!(笑)ホームが好きなんですけど、でもアウェーということはオセロではないんですけど、ひっくり返せる可能性に満ちていると思うし、実際そうなんですよね。
受講者の方の中には、なんなら「小説なんて書けるはずないから、この回だけ休んでやろうかな」と思っている人もいらっしゃるかもしれません(笑)でも、そんな方でも(もちろんそうではない方も!)、まずは参加してみていただければうれしいです。そして、楽しみながら、ぜひ一緒に創作しましょう!

田丸雅智

田丸 雅智

1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。
現代ショートショートの旗手として執筆活動に加え、坊っちゃん文学賞などにおいて審査員長を務める。また、全国各地で創作講座を開催するなど幅広く活動している。
ショートショートの書き方講座の内容は、2020年度から使用される小学4年生の国語教科書(教育出版)に採用。
17年には400字作品の投稿サイト「ショートショートガーデン」を立ち上げ、さらなる普及に努めている。著書に『海色の壜』『おとぎカンパニー』など多数。
田丸雅智公式サイト

世界がひろがるアカデミー

世界がひろがるアカデミーとは、各分野で成功した12名の特別講師から、実体験、考え方、テクニックなど、このアカデミーだけの特別授業を1年間に渡って受講してもらうことで、あなたの可能性を最大化する力を身につけてもらうためのアカデミーです。
12人12色の授業から、日常で出会うことのできない学びや刺激を得てもらい、1年をかけてあなたの力を次のステージへと生まれ変わらせることを目的としています。 「感じる力」「考える力」「伝える力」をアップデートして、昨日までの自分には見えなかった世界へ踏み出してみませんか?
https://sekahiro.jp/



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